第一章 理想⑤
リーヴァロバーへ行く前と序列が変わっていなければ、十三位のヴィヴィティア・ハルト。二十人いる上級
「あの……ヴィヴィさん。記憶がかなり曖昧なんですが、リーヴァロバーと戦争って……あの国とヴィシュタントの関係は良好ではありませんでした?」
「それは半年以上前の話ですね。メノウ様が意識不明の状態で国へ返されたのと同じ頃、人間の国に
呪具とは人間の生み出した技術で、魔族から
美咲の常識としては、魔族とは人間に害をなす
「そ、それはなかなか…………
「はい。メノウ様が生きていらっしゃったのは朗報ですが。
魔族は魔力に比例して
ヴィヴィの問いかけに顔がこわばりそうになったが、なんとか平静を保った。
「も、もちろんです。記憶が曖昧なので、多少……言動は以前と違うかもしれませんが」
正直言えば、今の自分は体は魔族でも心は人間寄りだ。ツノがある容姿には違和感を抱くし、人にない力を持つ魔族は
しかし、もしも
(だって、さっきから目が! 目が怖い!)
ヴィヴィが
「その……せ、戦争など、
とそこまでしゃべって、彼女の目がますます怪訝なものになっていることに気づいた。
(しまったー! 昔の私、確かにこんなんじゃなかった! 戦争とか聞いたらノリノリで先頭切って乗り込むタイプだった!)
しかしゼルのほうは、目を
「さすがメノウ様です! 目覚めたばかりで国の行く末を案じるなど……魔王
反応してくれはしたが、望んだ方向とは違った。国を導きたくなどない。
「魔王様は死んでませんけど」
ヴィヴィの言葉はゼルに
「どうぞメノウ様。私を使いお望みを果たしてください。リーヴァロバーを
「えっと……私の護衛なのは、父の命令、なんでしたっけ」
記憶が
「それは、確かに魔王様の命令ではありますが……そんな命などなくとも、私はメノウ様をお守りします。そう……ですね。魔王様ではない。私はあなたにお仕えしたいのです」
名案を思いついた、とでもいうように、ゼルは
「この機会です。どうか今後、私がメノウ様にお仕えすることをお許しくださらないでしょうか」
「仕える……?」
「はい」
「ええと……そうするとどうなるんでしょうか」
「何も変わりません。ただ、私が魔王様の命ではなくメノウ様の命で、あなたをお守りするようになります」
「……変わらないのに、わざわざ私に仕えたい……ということですか?」
「はい。メノウ様にとってはメリットしかございません。いつでも私を好きなようにお使いいただけるようになるのです」
「……デメリットは?」
「ございません」
にっこり笑って放たれた言葉に不安を覚えて口を引き結ぶ。あの、ゼルを
「何も難しいことはございません。ただ、ゆ、る、す、と口にしていただくだけでいいのです。それで私のすべてはあなたのものです」
(ち、近い……)
この
この距離で強要されればなおさら不安を覚え、助けを求めるようにヴィヴィに視線を送る。
「とりあえずうなずいておけばいいんじゃないですか? メノウ様にとってはメリットしかありませんし、お望みだった序列も手に入ります」
「序列が手に入る?」
「メノウ様の序列は三位、ゼル様の序列は二位。主従関係を
「全力で
転生したら魔王の娘 うっかり最凶魔族をスキルで魅了しちゃって甘すぎる溺愛から逃げられません! 三浦まき/角川ビーンズ文庫 @beans
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