第2話 リベレータとそれから
『リベレータ』とは、生まれながらにして
この世の全ての生物、物体には魂が宿っている。
魂には5つの基本属性がある。『火』『水』『風』『土』『雷』、生物はこの5つの基本属性の魂を必ず持ち、いずれかの魂を色濃く持っていると、その属性に準じた能力も行使できる。
人間を含む生物にとってこの5つの魂は、必要不可欠であり、どれか一つでも欠けてはいけない。これはこの世界の常識で誰もが知っている。
その魂を持たずしてこの世に生を受ける人間が一定の割合で存在するのだ。
魂を持たない=魂から解放された者、として世間ではそういった存在を『リベレータ』と呼称する。
名前としては大層なものなのだが、世間では魂を持たないことは、生命として成り立っていない、すなわち人ではないと認識するのだ。その狂気じみた思想を加速させるのが、リベレータの寿命にある。
リベレータは必ず20歳で死を迎える。理由は明らかになっていないが、その短命が故に、リベレータというだけで強い迫害を受ける。
奴隷制度、この大陸では法律として認められている。富裕層の人間どもが、生活を楽にする目的で、奴隷を家畜のように
奴隷は、ある程度の金になることから、その金目的で多くのリベレータが奴隷として売られ生涯を終える。
そしてこの子供もそのうちの一人。おそらくリダの村で生まれ育って、リベレータとわかり、奴隷として売りに出されたのだろう。
俺がこの子をリベレータと認識したのは、単なる予測ではなく、リベレータのとある外見的な特徴を見ることができたからだ。それは、この子の左首にある紋様だ。形としては中央に眼の様な丸い紋様があり、そこから上下に蔓の様な紋様が2本ずつ伸びている。この紋様は、生まれた時にはなく、ある程度成長した時にふと浮かび上がってくる。
それ故、多くの親は、もしかしたら自分の子供がリベレータかもしれない、という不安を抱きながら我が子を育てることになる。そしてリベレータとわかった暁には、あれだけ愛情を込めて育てたのにも関わらず、人としての認識をやめ、突き放すのだ。子供にとっても、ついさっきまで幸せたくさんの家庭の中で過ごしてきたのに、突然の避けられない現実を突き付けられて、平然としていられようか?
もちろん、全ての親がそういう思想を持っているわけではないが、これがこの世界の残酷な現実なのだ。
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