第5話 ありえない真相

結局、母娘がなぜ死んでいたのか警察は解明できなかった。二人には何もなかったのだ。家族仲もよく、近隣住民や知人ともトラブルは何一つ起きていない。近くで他の事件が起きているわけでもない。警察はわからなかった。なぜ母娘が死んだのか。わからないまま数年が過ぎた。


――


『今日は○○県□□市のアパートで死んでいる母娘が発見されてから〇年です。

 いまだに事件は解明されていません。…』


「うわぁ。もう〇年なんだ。結局わからなかったんだなぁ」

「ママ、あんな事件あったっけ。」

「うん、あったあった。死因がわからないって気持ち悪いね」

「んー、どうでもいいけど食事中に人が亡くなったニュースは嫌だよー。テレビ変えてよー。はやくはやくはや“ひっく”、……しゃっくり始まっちゃった」

「ふふ、食べながら話すからだよ。はやく止まったらいいねー」

「えー、しゃっくり“ひっく”止まるようにお願いしてくれないの?……“ひっく”」

「止まんないね。困ったねー。知ってる?しゃっくりって100回出たら死んじゃうんだって」

「えーやだー“ひっく”!!!死なな“ひっく”いもん!!!」

……そういえばしゃっくり100回でたら亡くなるって誰が考えたのだろう。都市伝説も意地が悪いよね……ん?いやいやそんな、まさか『娘が100して死に、それを見た母親が死んだ』とかありえるわけがない。あくまでも娘の方はしゃっくりをよくするだけ、母親の方は驚きやすいだけ。『しゃっくり100回』は都市伝説だし、しゃっくりのしすぎで死ぬということはありえないし、驚きすぎて死ぬというのもありえないだろう。でも、万が一そうだとしたら……?外傷はないし、もちろん解剖してもなにも出てこない。…………考えるのはやめよう。あまりにもありえない真相だ。そんなわけない……

「ママ……?大丈夫?顔が怖いよ……あ、しゃっくり出ない!ママ、止まったよ!!」

「え?はやく止まってよかったねー。じゃ、ご飯はやく食べちゃおうか」

まだ報道を続けているテレビの電源を消し、ご飯を食べるのを再開する。アナウンサーは切られたテレビの奥で報道を続けている。今日が終わり、明日がやってくる。事件が解明されなくても人々の生活はなにも変わらない。そうやって事件は忘れられていくのだろう。



END




――――

余談

あなたはどんな真相だと考えただろうか。

今回使った都市伝説『しゃっくり100回したら死ぬ』は本当ではないそうだ。しかし、筆者はよくしゃっくりが起きるので少し怖い。

こんな真相があればなど教えてくださると、筆者は飛び回って喜びます。

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ありえない真相 黒ずきん @19002_109

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