第2話 呪い

中田カナタさんのお母さんである中田恵子さんの話をきいている。

しかしこの部屋は、少し恐い雰囲気を醸し出している。私がそう思っているだけかもしれないけど。

「ひとつ、ますみさんでしたっけ、貴女に訂正する所があるとすれば、それは娘の名前は亜由美よ」

カナタじゃないのね、じゃあ人違いだった?

「たまにいるのよ、うちの亜由美がカナタさんだ!とかいう人が。なにを調べるかわからないけど、わたしの娘を勝手に悪霊にしないで」

もの凄い剣幕で怒られてしまった、まあ自分の娘を勝手に悪霊にしたら、そりゃ怒るわよね。

わたし悪い事したのかも。わたしだったら追い返しているわね。

「すいませんでした、でも何で亜由美なのにカナタさんって間違われるんです?」

「はあ、全く貴女は神経がずぶといらしいわね!しょうがないから教えるけど、なかたを並べ変えるとカナタになるでしょ。それにうちの亜由美は黒魔術とかに凝っていたから、かも知れないわね」

黒魔術に凝っていた?どういう事だろうか?

「黒魔術に凝っていたってどういう事です?」

恵子さんは少し呆れ顔になる、そしてしばしば考え事をしているみたいだった。

多分話していい内容かどうかを考えているんだろう。

「もう、貴女は亜由美に似てるわね、性格が。あの子も神経は図太かったから。」

ため息を付いてから恵子さんは

「亜由美は小学六年生まではそんな事もなかったんだけど、中学1年生になった頃から、虐めにあっていたの、それで黒魔術に凝りだしたのよね。あの娘の悩みをもう少し聞いてあげてれば、自殺しなかったかもしれないのに。もういいでしょう、帰ってくれないかしら」

「はいわかりました」



優花は何故か実家に居たらしい、本人も何で実家に居たのか、解らないと言ってるみたいだ。

さらに稲穂を幼稚園に迎えに行ってなかったみたいだった。だから本当に何があったのか不思議だ。

「貴方ごめんなさいね、今日の事は本当に…」

俺は我慢できずに優花を抱きしめた

「どうしたの、貴方」

「生きてて良かった、俺…優花がカナタさんに殺されたかもって……本当に良かった」

俺は強く抱きしめた、優花も俺の頭を撫でた

すると稲穂が急に

「こいつを殺さなかっただけ、良かったと思えよ、お前らは本当に運がいいな。中田恵子の家にお前ら一緒に行け!いいな!じゃないと今度はこいつを殺す」

なんだ稲穂が別の人間になったような、そんな感じだ。しかし誰だ?

そうしていると、稲穂は倒れた

「稲穂大丈夫か?」

稲穂はそのまま眠ったみたいだ


次の日

早川は俺の姿をみるなり、走り出してきた。

「心配したんですよ、優花さんどうでしたか?」

「無事だったよ」

「警部が今日から暫くの間は休暇を取れと、言ってました」

「解った」



呪いのカナタさんという都市伝説は、瞬く間に世界に浸透していった。

そして噂が噂をよんで大事件となった。みんなカナタさんを信じる者ばかりだった。

カナタさんの特番を組まれる事が増えた、そしてカナタさんを語る人間も増えていった。

「順調ね、わたしの計画は誰にも邪魔をさせないわ。わたしは全てを恨むわ、この世の全てを」

一人の人物は何かを企んで居るようだった。



俺たちは言われた通り中田という人の家に来た、俺はチャイムを鳴らした。

「はい、何でしょうか?…亜由美?あなた亜由美なの」

「いえ、違いますよ、この子は稲穂です」

「わたしいなほだよ、あゆみじゃないよ」

と言われると、がっかりした様子だった

「すいません、うちの亜由美の幼稚園の頃にそっくりだったので、どうぞ中にお入り下さい」

家に上がると、リビングに案内された。そして何かを感じた。

これは何なんだろうか?亜由美という娘に稲穂が似ているのか?

中田さんはアルバムを持って来たそして、幼稚園の頃の写真を見せてきた

確かに稲穂に似ていた、というより稲穂にしか見えない位にそっくりだった。

「多分、稲穂ちゃんは亜由美の生まれ変わりなのかもしれない、ってごめんなさいそんな訳無いわよね」

「でも、そう言う気持ち分からないでもないですよ、僕でも貴女の立ち場だったら言っていたかもしれませんから」

「そう言ってくださると助かります、電話でききましたよ、多分稲穂ちゃんに乗り移ったのは亜由美かもしれないです」

「亜由美ちゃんの事を訊いてもいいですか?」

「はい」

俺は一呼吸置くと

「まず、亜由美ちゃんは学校では虐められていたみたいですけど、恵子さんはどのタイミングで知りましたか?」

「亜由美が自殺してからです」

「亜由美ちゃんが恨みそうな人物に心当たりはありますか?」

「いいえ、ありません」

「亜由美ちゃんは何か趣味がありましたか?」

「黒魔術です…ああそう言えば、春川ますみって人がうちに来て、そう教えました」

春川ますみって宮川仁美の同僚の春川ますみなのか?

「その人今どこに居ますか?」

「たしか、民宿で泊まるとか言ってましたね」

「わかりました、優花と稲穂は近くの交番に居てくれ、そこなら安心だからな」



あの娘が憎い、ああ春川ますみあの娘が剛をとったんだ!!なのにあの娘平然な顔をして!

カナタさんに呪って貰うしか無いわね、カナタさんなら殺してくれるわ…クククッ



私は民宿を出ると帰りの電車に乗った、でも手がかりは何一つなかったな。

まあ仕方ないわよね、仁美何でカナタさんに殺されたんだろう

次の瞬間、電車が急に速度を増した。一体何があったの?

私は運転席まで向かった、しかし運転席には誰もいなかった、なんで?!!まさかカナタさん?

そして電車はどんどん速度を増していった。

どうなるの?電車は停まらないの??一体どうしたらいいの?電車はそのままレールから外れた!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カナタさん @kodaitiseiryu2024

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る