第4話 米国研究員

 ロバート・ジョーンズは56になる、愛想のいい爺さんとして子供たちに好かれている。

 生まれは大英帝国だが自分のしたい研究をするため、渡米していた。今はハーバードで反重力装置の爆発と歪みを研究していた。

 ドイツでの反重力装置の爆発事件は米国でも報道された。ジョーンズは爆発後の写真に見入りっていた。

 ハーバードといえど反重力装置の爆発実験は高価であまり試す事ができず、事件だろうと爆発の後をよく確認したかったのだが、画質は低くがっかりした。

 噂によると、大英帝国には米国を凌ぐ高性能な計算機があるらしく、実験ができない米国に分れをつげ、戦時中の祖国で数式を弄って研究をしようとさえ思っていた。

 そんな中、金髪碧眼、首に小さなホクロのある少女が現れた。彼女は祖国に戻る気はないかと聞いてきた。ジョーンズはこれはタイミングがいいそう思った。思い切りの良さが人生の要だと考えいるからすぐに頷くと、

「じゃあ二週間後には英国の地を踏めるよう準備をお願いします」

 と言われた、つまりは今日にでも米国を離れるぞという事だ。

 変だなぁとも思ったが、すぐさま準備をした、最近の体力の低下を予想外に思い知らされ、一人悲しかった。

 次の日の朝にまた少女は現れ、

「今日の二十時発と決まりました。準備を整えてここにいてください」

 またしても一方的な話だった。

 体力の低下を感じながらも午前中には必要なものは全て持ち、大学の教授への貸しアパート最後のひと時を楽しんだ。外は既に暗く、何でまた夜なんだろうかとか、ぼんやりと考えた。

 アパートには圧縮した蒸気で動く車が迎えにきた、青年が運転し、少女は助手席にちょこんと座っていた。

 歳を取るとどうも若者を見ると、無条件に何故かわからないが嬉しいというか、応援したくなる気持ちが湧いてくる。

 車はプスプスと言いながら、ポートにまで着いた。かなり大型の反重力船が海水に浮いていた。

 大型の船は年寄りの少年心をくすぐった。

 眠くなり始めたころ、ぼーと低く鳴いた船は沖へで始めた。蒸気機関は大概音が静かだから、ジョーンズは一等客室のアパートより優れたベットで気がついたら寝ていた。








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スチームパンク時代は陰謀の時代 澁澤弓治 @SHIBUsawa512

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