第20話 終わりと始まり
藤堂樹と桜井美和は、警察署の会議室で影の男の供述を元に新たな計画を練っていた。影の男の一味がまだ活動を続けていることが判明し、彼らの最終拠点を突き止めるための準備を進めていた。
「ここが最後の拠点だ。全てがここで終わるはずだ。」樹は地図を指しながら言った。
美和はその言葉に頷き、「影の男が捕まった今、彼の一味を一掃することができれば、この事件も終わるわ。」と決意を込めて答えた。
警察のチームと共に廃工場に到着した二人は、慎重に内部を調査し始めた。工場の中は静寂に包まれていたが、不穏な気配が漂っていた。
「全員、慎重に進むんだ。最後の拠点だ。」隊長が隊員たちに指示を出した。
樹と美和は、警察の隊員たちと共に工場の奥へと進んだ。薄暗い工場の中には、影の男の一味が集まっていた。
「動くな!警察だ!」隊長の声が響いた。
影の男の一味は驚き、逃げようとしたが、警察の隊員たちが迅速に動き、彼らを取り囲んだ。抵抗する者もいたが、すぐに取り押さえられた。
「これで終わりだ。」樹が静かに言った。
一味のリーダーが冷たい視線を樹に向け、「お前たちには理解できない。俺たちの信念は消えない。」と呟いた。
美和は冷静に応じた。「君たちの計画はここで終わる。過去の過ちは消せないけれど、これ以上の被害は防ぐことができる。」
警察の隊員たちが一味を連行し、工場内は静寂を取り戻した。樹と美和はしばらくの間、その場に立ち尽くしていた。心の中に広がる達成感と共に、彼らは過去の重みを感じていた。
「これで終わったんだな。」樹が静かに呟いた。
美和は彼に向かって微笑み、「そうね、これで終わったわ。でも、新しい始まりでもある。」と答えた。
その時、樹の心には「バックスペース」という言葉が浮かんだ。過去の過ちや罪を消し去ることはできないが、それでも前に進むために過去を受け入れ、新しい一歩を踏み出すことができる。
「過去は消せないけれど、未来は自分たちで作り上げることができる。バックスペースキーで過去を消すことはできなくても、前に進むための新しいページを開くことはできる。」樹は静かに言った。
美和はその言葉に深く共感し、頷いた。「私たちの未来は、これからの努力次第でどんな形にもできるわ。」
二人は警察のチームと共に工場を後にし、新たな希望を胸に「風雅庵」へと戻った。秋の風が心地よく彼らを包み込み、新しい始まりを告げるようだった。
店内に戻ると、樹は新しいブレンドのコーヒーを淹れ、美和と共に静かな時間を過ごした。彼らの心には、過去を乗り越えた先に広がる新たな未来が見えていた。
「これからは、未来に向かって歩み続けよう。」樹が微笑みながら言った。
美和も同じく微笑み、「そうね、樹。私たちの物語は、ここからが本当の始まりよ。」と答えた。
そして、二人は新しいページを開き、未来への一歩を踏み出した。過去の影に囚われず、前に進むための新たな決意を胸に。彼らの心には、「バックスペース」という言葉の意味が深く刻まれていた。
【完結】back space 湊 マチ @minatomachi
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