【完結】back space

第19話 不意の逆襲

朝の光が差し込む「風雅庵」の店内で、藤堂樹と桜井美和は前夜の倉庫で得たデータの解析を進めていた。影の男の計画の詳細が明らかになりつつあったが、それと同時に不安も増していた。

「影の男がこれほどまでに多くの拠点を持っているとは……」樹は画面を見つめながら呟いた。「まだすべてを把握しているわけではない。」

美和はメモを見直しながら答えた。「警察の協力でかなりの進展があったけれど、全ての拠点を調査するには時間がかかるわ。急がないと。」

その時、店の扉が開き、警察の隊長が緊急の表情で入ってきた。「藤堂さん、桜井さん、至急来てほしい。新たな展開があった。」

二人は驚きながらもすぐに準備を整え、隊長の後に続いた。警察署に到着すると、会議室には緊張感が漂っていた。隊員たちが次々と集まり、新たな情報が飛び交っていた。

「状況を説明してくれ。」樹が隊長に問いかけた。

隊長は深刻な表情で答えた。「先ほど、影の男の一味が逆襲を仕掛けてきた。複数の拠点で同時にサイバー攻撃が発生している。我々のシステムも一部が侵入された。」

「なんだって？」美和は驚きを隠せなかった。

樹はすぐにノートパソコンを開き、状況を確認した。「これは予想外だ……彼らの反撃がこれほど迅速だとは。」

隊長は続けた。「彼らの攻撃を防ぐために、君たちの技術が必要だ。すぐに対策を講じてほしい。」

樹と美和は警察のシステムにアクセスし、サイバー攻撃の防御に取り組み始めた。彼らの指がキーボードを素早く叩き、次々と防御システムを強化していった。

「ここに侵入の痕跡がある。」樹が画面を指しながら言った。「このルートを遮断し、彼らの動きを封じる。」

美和も同時に解析を進め、「こっちのシステムも強化しておくわ。これで彼らの攻撃を一時的に防げるはず。」と答えた。

二人の連携によって、次第に警察のシステムが安定し始めた。攻撃の勢いが弱まると同時に、新たな手がかりも見つかり始めた。

「このログを見てくれ。」樹が画面を指しながら言った。「彼らが使っているサーバーの位置が特定できるかもしれない。」

美和もその情報に目を見張った。「これが分かれば、彼らの拠点をさらに絞り込めるわ。」

二人はすぐにその情報を解析し、影の男の新たな拠点を特定するための手がかりを探し続けた。

「ここだ、見つけた。」樹が興奮気味に言った。「彼らの主な通信拠点の一つが特定できた。」

隊長はその情報を聞き、すぐに指示を出した。「全員、準備を整えろ。すぐにその場所を調査する。」

樹と美和も準備を整え、警察のチームと共に新たな拠点に向かうことを決意した。心の中には緊張と期待が入り混じっていたが、彼らの決意は揺るがなかった。

「これで終わりにするんだ。」樹は決意を込めて言った。

美和も力強く頷いた。「そうね、樹。私たちのチームで、この事件を必ず解決しよう。」

朝の光が差し込む中、二人は警察のチームと共に新たな拠点に向けて出発した。影の男の計画を阻止し、この事件の真相を明らかにするための戦いは、いよいよクライマックスを迎えようとしていた。