07_エピローグ
//SE 蝉の泣き声
「うえぇ、晴れたら蝉の泣き声が聞こえ始めたきたぁ……」
「蝉が鳴くとじめじめ熱くなってきた気がするよぉ」//嫌そうに
//SE 穏やかな風の音
「あ~、良い風」
「じめじめするのは嫌だけど、私、雨上がりのこの空気感は好きだなぁ」
「うん、そうだね。もう夕方になっちゃったもんね。そろそろうちに帰ろうか」
「それにこのまま濡れたままじゃ本当に風邪引いちゃうもんね」
//SE 立ち上がる音
「ゆっくりできた? ふふっ、じゃあ良かった」
「私もとてもリラックスできたよ!」
「一緒に雨宿りしてくれてありがとねっ」//楽しそうに
//SE 足音
(二人並んでバス停から離れる)
「……私ね、気が付いちゃったんだ」
「さっき、私があのバス停のトタン屋根みたい君のことを守れたらなって言ったんだけど、それはほんの少し違ったみたい」
「君の存在が、私を雨から守る屋根になってくれてるんだなって」
「私にとってのバス停は君なんだなって」
「君はトタン屋根なんかじゃなくて丈夫な屋根だけどね」//笑いながら
「え? 意味がよく分からない?」
「えー! せっかく今、良い話しているところだったのに!」
//SE 穏やかな風の音
「それにしても風が本当に気持ちいいね~」
「夕方の風ってしんみりくるなぁ」
「このまま服も自然乾燥できないかな?」
「分かってますぅー。ちゃんとお風呂に入って早く着替えないとね」
「あっ!」
「見てみて! 虹が出てるよ!」
//SE 田舎の自然音(遠くで蝉が鳴いている)
「綺麗ー」
「ここって田んぼと山しかないところだけど、とても良い所だよね」
「……」
「えいっ!」
//SE 彼女が腕を組んでくる
「お互いびしょ濡れだからくっついても大丈夫なんでしょ?」
「ふふっ、そうだね。今更そんなこと気にしても仕方ないよね」
//SE 足音(田舎道を二人並んで歩く)
「ねぇ、今日は君の家に泊ってもいい?」
「親がいる?」
「じゃあ無理かぁ」//残念そうに
「じゃあ私の家に泊っていっちゃう?」
「えへへ、そのうち君のお父さんとお母さんにもちゃんと挨拶しないとだよね」
//SE 田舎の自然音
「……挨拶といえばね、私、夢があるんだ」
「卒業したらやりたいこととかじゃなくて、その先のもっと大きな夢」
「えっ? 知りたい?」
「ふふっ、じゃあ特別に教えてあげるから耳貸して」
//SE 彼女がこちらに近づく音
「ねぇ、身長差があるんだからもうちょっとかがんでよ」
//SE 衣擦れの音
(彼女の声が耳元に近づく)
「いい? ちゃんと聞いてね?」
「ふぅ……」//深呼吸
「――私、将来は君のお嫁さんになりたい」//耳元で優しく囁く
「ダメ……かな?」//不安そうに
田舎の黒髪彼女はびしょ濡れでもあなたを癒したい ~夏の雨、バス停のトタン屋根の下で~
~FIN~
田舎の黒髪彼女はびしょ濡れでもあなたを癒したい ~夏の雨、バス停のトタン屋根の下で~ 丸焦ししゃも @sisyamoA
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