メッセージ6

「留守番電話サービスに接続します。ピーという音の後にメッセージをどうぞ。ピー……」


「もしもし。寝てるよね? 寝てないと困るなあー。わざわざ寝てる時間を狙う為にずっと起きてた紗香を褒め称えたまえ! マー君に会いたいよ。マー君の声が聞きたいよ。こっちはね、なんか宇宙旅行に行くみたいに大袈裟でーす。ちょっと怖いでーす」



「あのねマー君。いつもマー君が聞くやつ。何で僕なの? ってやつ。今日は特別に、その答えを教えてあげよう! マー君はね、誰よりも優しくて、誰よりも繊細で、それがとっても綺麗なんだよ?」



「紗香がさ、怪我した鳩を拾った時あったでしょ? その羽根を治したのは、マー君の手なんだよ? マー君はいつも、僕は誰かを傷つけるばっかりで周りを暗くする。って言うけど、そんなことない。」



「マー君の手は、傷付いた誰かを治す、優しい手なんだよ」



「マー君の心は、繊細で、敏感で、いつも誰かを思って動けなくなっちゃうくらい、優しい心なんだよ」



「紗香はさ、マー君のこれから先、未来を縛って苦しめる存在になるなら、お別れしたほうがいいのかなって、あの時真剣に考えたんだ。でもね……」



「マー君は優しすぎるから、お別れしたって、絶対に自分を責め続けて、紗香のことを想い続けてくれると思うの」



「だから、紗香はあえて、マー君にこう言うことにしたんだ。このメッセージを残すことにしたんだ」




「マー君。大好きだよ。大好きなマー君の手で、紗香を治して。紗香のヒーローになって下さい。紗香はそれまで、ずっとずっと待ってるから。だけどもし、この言葉が重荷になるなら、マー君の人生を苦しめる呪いになるなら、どうかこのメッセージを消去して、マー君の人生を歩んで下さい。誰よりもマー君の幸せを、紗香は願ってます。こんな紗香と一緒にいてくれて、ありがと。シシシ……!」



 目が覚めると、大量のメッセージが残ってた。


 それを聞いた僕は、しばらく床に泣き崩れてから、起き上がった。


 

 彼女に、


 彼女に会いに行かなくちゃ……



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