みず

@mojaraw

第1話

透明なおたまじゃくしが子の目から一夏でもう立派な姿に


乾くより何かにどっぷり溺れたい苦しければ狂おしいほど


夕立ちに打たれてやっと冷静に熱くなりがち僕らの季節


夕立ちの過ぎるを待つに考えることのあまりに楽天に過ぐ


雨の後川でなく鯉を見に行く人とは違う安堵捕らえに


足すものも引くものもなく金魚鉢それは大きな一滴の水


固まった氷溶けゆくその時のやわくなるさまあったかいさま


学校で育てたきゅうり君みたくとても青くて瑞々しいね


目の前の海を見てただ畏怖の念たくさん生んでたくさん奪う


夏が来て輪郭上に蜃気楼排水口だらけの体だ


まっぷたつメロンの果汁飛び散った君の涎も負けてはいない


誰しもが水に形はないという波渦の造形美やいかに


ガガーリン地球は青かったという名言は水あってこそ生まれたものだ


水色は水を描きたい人たちの思いが色を着けたのである


チュアブルは噛むだけでいいと言うけどついつい水を汲みに行きがち


これ以上旨さの濃ゆいモノはない君の作ったしゃびしゃびカレー


固まったこの世を溶かし流すのは潤いのあるあなたの言葉


誰だもう水に香りを付けたのはそこに記憶も付いてしまった


潤いが正義のように言うけれどザラついてたいときだってある


虹が出て嬉しく思うその理由は普段見えないあなたが見える

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