第34話
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ!!!
「しつこいスケルトンは嫌われるぞぉぉおお!!」
そう俺は今、全速力で逃げていた。
[数分前]
「【氷器:剣】ッ!!」
ザシュッ
ビキビキビキッ!!
やっぱり一本だとキツイな。
それになののように【氷器:剣】を軽くは扱えないし、今はまだ軽い動きしかできない。
走りながら宙に浮く【氷器:剣】を操るのは、今の俺には絶対に無理だ。
指定ダンジョンに来るのは早すぎたか?
少し調子になっていたのかもしれない。
スケルトンの足が遅いおかげで今は何とか捌けている。
そう。
捌ける限界は10体だ。
それ以上増えれば―—
『ボコッカタカタカタカタカタカタカタカタ』
「おいッ!!その人数はいじめだろ!!何体地面に埋まってんだよぉぉおお!!」
数えきれないぐらいに膨らんだスケルトンの群れに対して、背を向け全力で走る。
「しつこいスケルトンは嫌われるぞぉぉおお!!」
何分走ったかは分からない。
ただ、過ぎた時間の分だけなのに対しての心配の気持ちが膨れていく。
後ろを振り向く。
立ち止まっていたわけじゃないせいかあまりスケルトンは増えてはいなかった。
それでも20以上はいるだろう。
『カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ』
....うん、確実に居るな。
動きながら【氷器:剣】を扱えれば逃げることも無かったかもしれない。
レベルをもっと上げていれば違う結果になっていたかもしれない。
なのが足を掴まれた時、瞬時に行動し【氷結】で凍らせていたら....
いや、こんなことを考えていても現状は変わらない。
そして、冒険者として強くなるためにはここで逃げかえるわけにはいかない。
それに―—
「パートナー置いて逃げ帰る程、人間腐ってないからな俺」
俺は立ち止まる。
が、スケルトンは立ち止まらない。
俺の思考はいつも以上の速度で脳内を駆け巡っていた。
そして一つの違和感に気が付いた。
俺はなのの戦い方を真似していた。
【氷器】を宙に浮かせ、それを相手に向けて飛ばしコントロールする。
なのは激しく動きながら軽々しくコントロールしていたけど、
今の俺にはできない。
簡単に見えていた事は実際簡単ではなかった。
普通に考えて宙に浮いてるもの動かすなんて無理だからな?
そう。
空中でコントロールすることばかりを考えていた。
「【氷器:剣】」
目の前に氷の剣が現れる。
でかくも無く細くもない。
俺の持っているショートソードと同じ形だ。
俺の持ってるイメージが持っている物や見慣れたものに引っ張られてこうなったのかもしれない。
物凄く綺麗な剣だ。
敵を斬り付けるとその場所が軽く凍る凄い剣だ。
そう。
これは、俺が作り出した剣だ。
なら―—
「どう扱おうが俺の勝手だよな」
パシッ
剣技スキルなんてスキルは持っていないド素人だ。
だけど、これで激しく動きながら剣を振れる。
「来いよ骨野郎ッ。俺のパートナーが待ってんだよ」
???「......痛いなの....ゆうや。」
ポタッポタッ
「ゆうやは...なのが―—」
同じ時刻、廃村に挑んでいたF級冒険者が特殊な現象を目の当たりにした。
それを見て怖くなった冒険者が冒険者ビルに戻り、受付嬢に報告をした。
―—「ポータル近くにある一軒家が凍り付いていた」と
冒険者になるために買った卵から幼女が生まれました....卵から生まれるのってモンスターだけじゃないの!? 璃々宮志郎 @ririmiyashirou
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