第159話 魔法学園内へ

「ふぉ!ふぉ!しかし、学園内に外部の人間をむやみに入れるわけにはいかん。」


クルーラ学園長の命令で、学園内に入って良いのは3名だけ、と言うことになった。


もちろん。その3名というのは……ヤマト、キラスティ、アズームだ。


ヤマト達についてきたギャラリー達は却下された。


「なんだ。面白いものが見れると思っていたのに……。」


「はぁ……仕事に戻るか。」


ここは王城である。あたり前と言えば、あたり前だが。ギャラリー達の中には、役人か文官たちも混じっている。皆、ヤマトの決闘を見るためについてきたようだ。


暇なのか、ものすごくサボりたがり屋さん達である。


文句を言いながら散っていくギャラリー候補達を見ながら、ヤマトは呆れた。


(エ、エルフって意外と陽気な種族なのかな?)


ヤマトはエルフの国に入ってから、イメージをブチ壊されまくっていた。


ラノベに出てくるエルフ達というのは、神秘的と言うか、俗世間から離れている崇高な理念に動く人物というイメージがあったのだが……。


どちらかと言うと、人族に近い感性を感じた。


とにかく。群がっていたエルフ達は、文句を言いながら退散することになった。


シーン……。


「ふぉ。ふぉ。では案内するとするかのぅ。」


「ク、クルーラ学園長も見学なさるので?」


キラスティが意外そうな声を上げる。


「そりゃそうじゃ。こんな逸材見たことが無い。決闘を見るべきじゃろう。」


そういうと、クルーラはヤマトのほうへ視線を向けた。


「い、逸材……。私は学園長にそこまで見込まれていたのか。」


何を勘違いしたのか、アズームは、逸材とは自分のことだと思ったようだ。


目をキラキラさせて感動したような表情をする。


「では、ついてきなさい。」


それに気がついているのか、いないのか……。クルーラは、先に進んだ。


従う3名。


大きな漆黒の龍に縁どられた門を潜るヤマト達。


学園に入ると、そこは明るい室内だった。しかし、大きなドーム状の広場のようだ。


広い。


「うわ……。」


ヤマトは思わず声を上げた。


素晴らしいデザインのドーム建築物だ。青と紫を貴重としているようで、ところどころに彫刻や絵画などがセンス良く配置されている。


洗練された王宮……。そんなイメージだ。


とても、学校とは思えない。さすが国内最高峰にいる魔法学園である。


そこにはアズームと同じ服装をした者達……つまり魔法学園生徒たちが居た。


当たり前の話だが、全員がエルフだ。


(な、何て美しい種族なんだ……。)


圧倒されるヤマト。


アズームもそうだが、どのエルフも顔が整っていた。ルシナほどではないが、美少女、美少年が広場を行き交う。


皆、手足が長くてスタイルが良い。


「…………?」


しかし、驚いたのはヤマトだけでは無かったようだ。


突然の来訪者であるヤマト達を見て、生徒達は驚いていた。


一斉に、ヤマト達に注目するエルフ達。


「何?お客?」


「あ!魔法軍団長のキラスティ様じゃないか?」


「うそ!私、大ファンなんだけど!」


「何故、ここに軍団長が?後ろにいるのは?」


「あ、あれじゃない?今度うちの学園に入ってくるアズームとか言う……。」


「例の天才君?」


「そうそう……。数百年に一人の逸材の。」


「魔法剣士なんて珍しいな。」


キラスティ軍団長と、アズームを見て……ヒソヒソ……と、噂するエルフ学生達。


しかし、後ろから顔を出すヤマトを見て、魔法学園生徒達から黄色い声援が飛んできた。


特に女性は、ヤマトを見て大興奮した。


「え!?何……あの子。」


「やだ!可愛い……。超美少年じゃない?」


「キャア!ちょっと……ちょっと。アレはヤバいでしょ。」


「エルフ……なのかな?」


「でも、耳が短いぞ?人族なの?」


「まっさか。人族じゃないでしょ。」


「はぁ……。はぁ……。ちょ、ちょっと。私……話しかけてこようかな。」


「ば!おま。状況考えろ!つーか、お前は〇タだったのか。」


ヤマトは自覚が無かったが、一般的に言ってヤマトは”超”がつく美少年だ。


今まで、リリスやリーラン、ルシナに「綺麗な顔をしている。」と褒められたことはあったが、実はそれ以外の人間と交流をしたことが無いヤマト。自分の容姿に頓着していなかった。


しかし、世間に出ればこの反応である。


「な、何が起きるのかしら!?」


「この学園の入学者?」


「で、でもまだ幼いわよ?うちは早くても13歳からが入学条件……。」


「と、とにかくついて行ってみよう。」


こうして、ヤマト達は新たなギャラリーを引き連れて、屋外型巨大闘技場に向かうのであった。

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ヤマト転生。異世界転生で今度こそ夢のマイホーム! 八条院せつな @setsu7

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