妹がVTuberとしてデビューしたら、何故か俺が有名になった

七瀬瑠華

第1話 VTuber(になる予定)の兄、相談される

「VTuber」


バーチャルユーチューバー。最近では様々な面で注目されているコンテンツだ。


そんなVTuberに妹がデビューしたことで、俺も妹も、人生が変わっていった___。






「ずっとあいつ部屋に籠もってんな…」


俺は夜宮翔よるみやかける。十七歳の高校二年生だ。今、俺が心配している相手は、妹である夜宮咲楽よるみやさくら、十六歳の高校一年生だ。勉強も運動もなんでもできる美少女、兄ながら非常に羨ましい。


「…飲み物持って行くか」


きっと勉強でもしてるのだろう。そう思ってホットミルクをお盆に乗せて、妹の部屋に向かった。


「失礼しますよー」


コンコンとドアをノックして、部屋に入ると、パソコンとにらめっこしている咲楽がいた。


「ホットミルク持ってきたよ、何してるの?」


パソコンを除くと、スライドを作っているようだ。名前、誕生日、好きな食べ物など。誰に向けて作ってるんだこんなの。


「あの、兄貴」


「どうした?体調悪いか?」


「相談があるんだけど」


妹が相談事なんて相当珍しい。きっととんでもなく深刻なことなんだろう。


「なんだ、それなら聞くけど…どうしたんだ?」


「あのね、私、VTuberになる」


「…え?」


「私、VTuberになるの」


VTuber…?自分も大好きなあのVTuberか…?


頭が混乱してくる。


「今作ってるスライドも明後日の初配信での自己紹介で使うやつ」


「そうなんだ…」


頭の整理が少しずつ追いついてきた。それで…あれ?相談って結局何だ?


「ところで、相談って何だ?」


「あ、それが…」


「それが?」


「私の初配信、成功できるように助けてほしい」


「俺が…か?」


「うん…だめ?」


妹の初配信だ。絶対に成功させたい。だが、そんな重役が俺に務まるのか……?

あまりに唐突の事だったので頭が回らない。

俺は一晩かけて、考えてみることにした__。

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妹がVTuberとしてデビューしたら、何故か俺が有名になった 七瀬瑠華 @NanaseRuka

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