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森屋たもん

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「ドリンクバー頼む人?」って言い始めるのは何人から?五人くらいから?


僕たちが勝ち取っていた完璧な自由「お好きなお席へどうぞ」


短パンで合皮のソファに座るからふとももの裏がペリペリさわぐ


テーブルの上にスマホを置いているみんな天井にカメラを向けて


平皿に米を盛られて差し出され全体的にお供えのよう


天井の死ぬほど見た絵のアモールと天使の違いを話さなかった


僕よりも絵が上手かった大竹がさっさと看板屋を継いでいる


地元まで0mの場所にいてそれでも集まっている僕たち


“東京  122km”のアオカンが見える座席の窓が開かない


チーズinハンバーグへと刺すナイフ必ずチーズに届くと信じて


ホールには田中の妹「服飾の専門に行く」ためのアルバイト


サンダルを脱いだり履いたり繰り返しだべる森村だけが童貞


「最初から一番大切なことは絶対隠すヤな奴だった」


ドリアしか頼まないから原田にはフォークの番が回ってこない


東京の美大に行ってそのあとは戻ってくるって言うウソをつく


ウソだってことはバレててドリアって毎年少なくなってるらしい


百均の色鉛筆で僕にしか描けないみんなの似顔絵を描く


ピンピンに尖らせている鉛筆を風を集めるように握った


サブスクのおかげで引っ越しはかなり楽だと思う初めてだけど


東京で田中の妹と暮らすことは隠してファミレスを出た

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family 森屋たもん @tamon_moriya

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