第4話:初戦闘

前世の記憶を無くした。突如として告げられ、俺は少し寂しくなった。それもそうで、少なくとも地球は日本は俺が生まれ育った故郷だ。その記憶が喪失したのはやはり、悲しい。とは言っても生き返れただけ、第二の人生があるだけ有り難いと思う。


「そうか、俺の名前はカール。いい名前だ。」


【神名カールが認められました。能力として職業ベルーフに"カール大帝"・"カール=マルテル"・"カール・マルクス"の召喚、憑依をアンロックします。】


クラリスの声では無い機械音声が頭に響く。


「ご主人様、初の歴史人物の獲得おめでとうございます。」


「クラリス、どういう事?まだ飲み込めてないんだ。」


まったく分からん。何故新たな名前を受け入れただけでその様な偉人らを召喚出来るのか。


「ご主人様が職業ベルーフを使う為には"神名"と呼ばれる名前を認めなければなりません。例えば、かの有名なヴィスマルクを欲しいならば、ヴィスマルクと言う苗字、を自分の名として受け入れる事によって獲得となります。勿論例外は存在しますが・・・・・・」


つまり歴史の人物の名を自分の、俺の名前として受け入れるとその人物をゲット出来るってわけか。


「なるほど、理解した。」


―キュルルル


俺の腹がうねる。


そう、なんだかんだ言って俺は飯を食っていないので腹が減ったのだ。


「ご主人様、食べられる魔獣を知っているので戦闘の練習も兼ねて討伐してみましょう。」


「あぁ、分かった。宜しく頼む。」


「では、着いてきてください。」


俺はクラリスの後に続く。


そしてしばらく先の見えない平原を土の道に沿って歩いていた時だった。


―ガルォン!


【神撃術:クラリス】


クラリスが何かを唱えると俺の後ろで何かが倒れる音がした。

後ろを振り返るとそこには、2メートルはある漆黒のオオカミらしき動物が倒れていた。


「ご主人様、これが魔獣です。そして、今探していた魔獣でもあります。今からご主人様には、この魔獣を倒して頂きます。」


・・・・・・え?俺が倒すの?


そして・・・・・・


「やだやだやだやだやだやだ怖い!」


俺は今、あのオオカミと対峙していた。オオカミはグルルと唸りながらこちらを警戒して見ている。


「ご主人様頑張って下さい。職業ベルーフスキルを使えば余裕だと思います。」


「どーやって使うんだよ!」


そんな会話をしているとオオカミは痺れを切らしたのか襲ってきた。


―グルァウ!


「ギャーっ!」


俺は間一髪で横に飛ぶ。


「武器は?剣は?」


「そんなもの無しで大丈夫です。さぁ、職業ベルーフスキルを。」


って言われても使い方が!


その瞬間、体の奥から何か湧き上がってくる何かを感じた。


職業ベルーフスキル:カール大帝を憑依させますか?『YES・NO』】


急にホログラムが目の前に現れる。


こんな事をしている内にもオオカミは次の攻撃に入ろうとしていた。


あぁ、糞!どうにでもなれ!


俺はYESを押した。その瞬間、俺の中にもう一人の誰かが入ってくるような感覚がした後に体が熱くなり、"俺"は意識を失った。


カールの雰囲気がガラリと変わった。まるで歴戦を戦い抜いてきた戦士の風格へと。


「ここは何処だ?ゲルマニアの平原か?」


「カール様。初めまして、色々説明したい所ですが、先にあのオオカミを倒してもらいたいです。」


「うん?なんだ。狩り中だったか。分かった。久しぶりだがこの愛剣で薙ぎ払ってやろう。」


オオカミはカールに向かって走る。


カールは剣を構えた。そして、一閃。


オオカミは何が起こったのか分からないまま、体を半分にされ、絶命した。


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異世界転生-世界史に刻まれた者達と共に- 白洲蜜柑 @shirasmikan

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