雨の毛布

夏永遊楽

20

叫び出したい夏の夜 嫌な記憶も消したくないから


綿毛布 たまらないから脱いだのに 朝はひんやりの肩を抱く


夏バテか?食生活が乱れ気味 水をのんでは腹をさすさす


水のんで腹いっぱいのため息よ ごきげんいかがと日がな一日


めんどいな 夜もそうめん、夏だしいいか 氷がないからいつもぬるい


雨の音!窓にのばした手を止める 閉めてしまったら聞こえないよね


雨空は泣いてばかりで隠れるが 雨間の空はわたしを呼ぶね


あっ止んだ!空の笑顔が見たくなる 音で機嫌は想像つくのに


扇風機 部屋じゅうの紙飛んでいく 悪態づいて風量切りかえ


蛇口レバー 冬は左にお湯を待つ はやく冷えてと右にひねる今日


冷凍庫にはアイスクリーム 君じゃない さわやかな甘さ 氷菓が恋しい


いつの間に 行く人みんな軽やかで じぶんの長袖そっとまくった


これにしよう アイスコーナー品定め やっぱやめとこ、もう今日食べた


とことこと近所の散歩でつたう汗 こんなにあつくて 今年どうする?


なぜだろう「今年は暑い」ともの忘れ これが毎夏のルーティーン


冷えそうと ホットを頼んで目に飛びこむ からんと涼やかアイスコーヒー


頭からシャワーをかぶって息漏れる とろけるような汗かきの夜


雨粒が風を鳴らして子守唄 湿った空気もそう悪くない


暑いから、心もなかなか冷えにくい メランコリーもちょっとはましだね


旅に出た 都会を置いて星に会う きらめく空は高級品よ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

雨の毛布 夏永遊楽 @yura_hassenka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ