日記 思春期 1学期 第2回カクヨム・俳句コンテスト短歌二十首連作
うおのめ
第1話
知り合って4年の知らない顔たちに色とりどりのリップクリーム
言えること言えないことを選ぶとき真っ先に決まる趣味は読書です
深海で目が退化していくように存在感を消した教室
担任の呼び名を決める人たち、ねえ、せんせいのこと知らないでしょう?
なめらかに上がる気温に気づかずに長袖のシャツどこからが夏
私だけ蜃気楼の住人なんだ たのしいたのしい体育祭だ
ぽつぽつと降り出す六月紫陽花なら雨粒さえも光にする
小さめの長傘を差しひとりでも歩いていける リュックが濡れた
地に落ちる雨のリズムではつなつの記憶をいくつか話すよ、あのね
日が当たり咲いてくように見せながら日が当たるから枯れてく 嘘つき
丹念に刷り込む日焼け止め少しでも花嫁になれますように
蝉子供公園照らされる模型を見下ろす天上人のベランダ
くるくると傘回す癖を知っていて影の内側踏みにじりたい
勉強は手段幸せになるために散らかる部屋を忘れるために
夏休みディズニーなんてしないもん四週間の余白の美学
白昼の道路に転がる蛙みたい天井のシミに意味を探した
好きじゃないのにちゅーなんて 異星間コミュニケーション 月が綺麗ね
風鈴がくらげに見えて揺れている空を知らないほどにまっしろ
暑いのにイライラするのに憎いのにアイス溶けないね うん、溶けないね
またあした→ただいま→冷房→冷蔵庫 つめたいものが夏だと思う
日記 思春期 1学期 第2回カクヨム・俳句コンテスト短歌二十首連作 うおのめ @zakonome
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