第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト

出井櫃人

パン三斤分の詩

ジャム塗りて初夏のさざなみパンの面に

ダービーや左手にパン千切りつつ

軽く焦がすパンも父の日のおはよう

パン屑を拭く腕だるき梅雨入かな

夏風邪や味噌汁にパンふやかされ

虹の朝パンはラップに羽根たたむ

五月野にサンドイッチの白しづか

風薫るたまごサンドに指の跡

団扇もて払ふ羽虫やパンに飽き

食パンの黴を削ぎては輝かす

子へ置きしパン乾きゆく夏至の床

指の蜜パンに擦りつけ木下闇

蟻地獄パン屑落とす指神話

爆音の西日を拭ふパンの耳

冷蔵庫パンを臓器としてゐたる

パン浸すミルクセーキは月の蝕

朝凪や即席ラスク転がりぬ

パン・胡瓜・玉子・胡麻ドレ・一行詩

バターナイフ涼しく濁るまで使ふ

我が肉のパンに近づく熱帯夜

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第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト 出井櫃人 @de_bid

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