第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部 二十句部門

一枝 唯

初めての逢引の

初めての逢引の背に青嵐


夏めいた街におののき細める目


スマホ見る君を見つけて薄暑光


夏帽子そっと直して照れ笑い


零れそなサイダーを撮るきみの笑み


人波に映ゆ六月のストライプ


白薔薇に似合う眼鏡を見つけたり


鳴き声と影だけ残す夏燕


水中花ほんの少しのアルコール


プレートの苺ソースの面映ゆさ


片蔭を飛び出るきみが愛おしい


日常に帰りたくない夏の蝶


木下闇きみの姿の溶けゆきて


万緑よ滅びの気配なきままに


西日背に東の空を切り取ろう


夕焼を引き止めるにはどうすれば


夏の月ペットボトルの先にあり


寂しさを告げる鴉や風涼し


五月雨や会えない昼がまたひとつ


茉莉花の香りで思い出されたい

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第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部 二十句部門 一枝 唯 @y_ichieda

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