第4話 Flow of World

暗かった視界に光が現れ、まぶしいと感じたアルクは無意識に目に手やって光を遮ぎった。

徐々に明るさに慣れていき目の前には想像もしていなかった世界が広がると

声が聞こえた。



「みなさーーーーーーーーーーーーーーん!インペリアス国へよーーーーーーーーーーーこそーーーーーーーーーーーーー!!!」



現実世界なら、日が落ちた時間帯なのにゲームの世界は太陽が輝き昇っていた。

立派にそびえたつ門の上でプレイヤーらしき人物達が大きく手を振りながら声高々に自分たちを歓迎してくれている。

周りを見渡せば、アバター作成画面で見た魔人種の人達がぞろぞろと歩き門をくぐっていく。



(すごい・・・、今日が正式サービスってものもあるだろうけど、こんなにもたくさんの人たちが居るなんて)



アルクは、目に見えているものが仮想世界だなんて思えなく自分の横を通りすぎる人たちを見ながら、感動し立ち止まっていると、ドンと、背中に何かぶつかった。



「おっと、これはすまんかった、怪我はしとらんか?」



「あ、こちらこそすみませんでした、そちらこそお怪我はありませんでした?」



高齢の男性の声が聞こえすぐアルクは、慌てて後ろを向き頭を下げ、顔を上げてみると自分と似た服装をした高身長の白髪で紫色の肌をしたおじいちゃんエルフがそこには居た。



「ふむ、なら問題なさそうじゃの急いどるから、すまんかったの」



高齢の男性は問題がないと分かると手を振りながら早々に去っていってしまった。



(ふぅー、さっきの人がいい人でよかったぁ、気を付けないとなぁ周りに迷惑かけちゃったなぁ)



アルクは立ち止まっていた事に後悔し、少し深呼吸をすると歩き出し城壁をくぐったが。

思った通り門の先は見渡す限りの人、人、人がいろんな場所に集まっていてとても近づけそうになく何をすればいいのかも分からず自分の身の回りを調べることしかなかった。



(えぇーと・・・さっきは光景に感動して気づかなかったけど、目に映ってる赤いバーがHPで青いバーはMPでいいのかな?で、ミニマップが映ってると・・・。


で?これから何をすればいいの・・・?


たぶんあの人だかりはチュートリアルをする人の周りに集まってそうだし看板を掲げてる店にも人が多くて近づけそうにないなぁ、落ち着くまで広場でも見つけて鞄の中身でも確認してみようかな)



とりあえずやることを見つけないと始まらないと思いアルクはすれ違う人に気をつけながら噴水が中央にある広場を見つけ、空いてるベンチに腰掛けた。



「ふぅー、人込みは現実じゃないとはいえ、気疲れしちゃうな」



アルクはそんなことを呟きながら鞄を地面に置き開けて見るが、



「あれ?なにもないな、さすがにちょこっとはお金くらいあると思ったんだけど」



残念に思いながら手を鞄の中に入れるとポワンと音と共に薄い青色のパネルが現れた。



「ぉわっ!」



登録した時のような反応をしてしまい恥ずかしくて周りを見渡してみるが、誰もこちらに気づいてなかった。



(はぁ・・・28歳にもなって「おわっ」って。

恥ずかしいなぁ、もぉー・・・、急に目の前に出てくるのはやめてほしいぃ)



それでも恥ずかしすぎて顔を見られないように下を向きながら現れたパネルを見ていくと、巾着袋(銀貨5枚)と書かれてあった。



(よかったお金があって、なかったら武器も装備もなしでどうすればいいんだって感じだもんなぁ、でも銀貨5枚ということは銅貨や金貨があるんだろうか、時間を置いて人が空いてきたらお店の人に聞いてみようかな)



そんなことを思っていると、近くのベンチで腰掛けていた二人組の婦人の話声が耳に入ってくる。



「そうなのよー!!!、そういえばご存じかしら、カディアンさんのとこの息子さん将来はソルジャーになってダンジョン攻略を目指しているみたいよ」



「んまーーー!!!ってことは息子さん、ソルジャーになるために城下街の東側に居るツヴィルさんのところで学んでらっしゃるの?」



「そうなのよー!!!、そういえばご存じかしら、ルミレナさんのとこの娘さん将来はレンジャーになって世界を旅したいみたいよ」



「んまーーー!!!ってことは娘さん、レンジャーになるために城下街の南側にある兵舎に居るカナスさんのところで学んでらっしゃるの?」



「そうなのよー!!!、そういえばご存じかしら、カリアさんとこの娘さん将来はテイマーになっていろんな魔物と仲良くなりたいみたいよ」



「んまーーー!!!ってことは娘さん、テイマーになるために北の壁外近くにいるコーデアさんのところで学んでらっしゃるの?」



アルクは途中から婦人の「そうなのよー」と「んまー」の強調しすぎで、聞き耳どころではなかった。

もう聞いてよ!と言わんばかりに頭に入り込んできていた。



(ある程度聞けたしもういいかな、これ以上聞いてると夢に出てきそうだし。

あんな会話初めて聞いたよ、NPCの会話ってあれだけ強調されるのかな?次からNPCだと思う人に聞いていったほうがいいかもしれないな、・・・まぁ助かったかな次の目標ができたし、、そうなのよ婦人んまー婦人ありがとう。


よし、次の目標は職業体験だな、まずRPGなら万能職のソルジャーを学びに行くか!)



アルクは鞄を背負うと次の目標へ歩きだした。

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ゴブリン如き めも @memojp

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