第2話 不思議な訪問者
早朝、工房で作業をしていると、外から何やら賑やかな足音が聞こえた。ドアを開けると、立派な衣装を身にまとった男性が慌てて立っていた。彼は中年の男性で、整った髪型ときちんと手入れされた口ひげが印象的だった。高貴な雰囲気を漂わせながらも、その表情にはどこか親しみやすさがあった。
「おはようございます、アルトさん!私はリチャードと申します。遠方から参りました商人です。あなたの作る魔法具の噂を聞きつけてやってきました!」
アルトは目を見開きながら礼儀正しく挨拶を返す。「おはようございます、リチャードさん。わざわざこんな遠くまで、ありがとうございます。」
リチャードは大きく息をついて、「いやぁ、ここの道は複雑で、何度も迷いましたよ!」と言いながら、地図を取り出して見せた。地図には、無数の矢印と「ここはどこ?」というメモが書き込まれていた。
アルトは思わず笑いながら、「それは大変でしたね。でも、無事にたどり着けてよかったです。」と答える。
リチャードは胸を張って、「その通りです!さて、私はある特別な魔法具を作ってほしいのです。しかし、その材料は非常に珍しいもので、森の奥深くにある古代の遺跡でしか手に入らないのです。」
アルトは一瞬考え込んだが、挑戦を受け入れることに決めた。「わかりました。お手伝いしましょう。」
リチャードは興奮気味に、「本当ですか!それは素晴らしい!ただ、遺跡は非常に危険な場所で、誰も近づきたがりません。」と言いながら、まるでその危険さを楽しんでいるかのように笑った。
アルトは苦笑しながら、「それなら、私たちも準備を整えないといけませんね。」と答える。
リチャードは若い頃から世界中を旅しており、様々な文化や人々に触れてきた。彼の豊富な知識と経験は、多くの商人たちに尊敬されている。しかし、彼の陽気で冒険心溢れる性格は、しばしば予想外のトラブルを招くこともある。
リチャードの依頼を受けることにしたアルトは、早速準備に取り掛かった。工房の奥にある道具棚から、必要な道具を一つ一つ取り出していく。そこへリナとエリックがやってきた。
リナは明るい金髪をショートボブにしており、緑色の瞳が特徴の小柄で華奢な女性だ。彼女は村の薬師として、村人たちの健康を守っている。アルトとは親友であり、いつも彼をサポートしている。
「アルト、私も一緒に行くわ。あの遺跡には薬草もたくさん生えているって聞いたことがあるから、きっと役に立つはずよ。」
エリックは逞しい体格で、黒髪を短く刈り込んでいる。鋭い目つきと無精ひげが特徴だ。彼は村の鍛冶屋であり、武器や防具の製作と修理を行っている。アルトとは長年の友人で、頼りになる存在だ。
「俺もついていくよ。あの遺跡は危険だって聞いてるし、アルト一人じゃ心配だからな。」
アルトは二人の申し出に感謝しつつ、少し笑って答えた。「ありがとう、リナ、エリック。君たちが一緒なら心強いよ。」
準備が整った頃、リチャードが再び現れた。彼は大きなリュックサックを背負い、手には何やら奇妙な装置を持っていた。
「さあ、出発の準備はできましたか?これが私の最新発明、迷子防止装置です!」
アルトは目を細めてその装置を見つめた。「それは何ですか?」
「これはね、このボタンを押すと、どこにいても私の位置がわかるんですよ!」と自信満々に説明する。しかし、彼がボタンを押すと、装置は突然音を立てて煙を吹き始めた。
リナは驚いて声を上げた。「リチャードさん、大丈夫ですか?」
リチャードは顔を真っ黒にしながらも笑って答えた。「はは、これはまだ試作品でしてね。まあ、道中で改良しましょう!」
エリックは呆れた表情で肩をすくめた。「そんな装置が本当に役立つのか?」
アルトは笑いながら、「まあ、何事も挑戦ですからね。」と言って出発を促した。
3人と1人の冒険隊は森の奥深くへと進んでいった。道中、リチャードは様々な話をして皆を楽しませた。彼の冒険談はどれも一筋縄ではいかないものばかりだった。
リチャード:「ある時、砂漠のオアシスで迷子になりましてね。その時に出会ったのが、砂漠の精霊だったんですよ!」
エリックは皮肉を込めて笑った。「それは本当にあった話なのか?」
リチャードはにやりと笑って、「まあ、信じるか信じないかはあなた次第です。」と言った。
アルトはこの陽気な雰囲気に包まれながら、次第に目的地である遺跡が近づいているのを感じた。「みんな、ここから先は特に気をつけて。遺跡はもうすぐだ。」
リナは真剣な表情で頷いた。「了解、アルト。何が起こるかわからないから、注意して進みましょう。」
遺跡に到着したアルトたちは、その古びた外観と薄暗い内部に驚きを隠せなかった。
アルト:「ここがそうか。リチャードの言っていた材料は、この遺跡のどこかにあるはずだ。」
リチャード:「では、行きましょう!ただし、何が出てくるかわからないので、慎重に!」
遺跡の奥深くへ進んでいくと、アルトたちはその古びた外観と薄暗い内部に驚きを隠せなかった。壁には古代の魔法文字が刻まれ、長い年月の経過を物語っている。
アルト:「ここがそうか。リチャードの言っていた材料は、この遺跡のどこかにあるはずだ。」
リチャード:「では、行きましょう!ただし、何が出てくるかわからないので、慎重に!」
エリックは剣を手に取り、リナは薬草の入ったポーチを腰に下げて準備を整えた。彼らは慎重に進み、遺跡の中心部へとたどり着く。そこには、長い間放置されていた宝箱があった。
アルトが宝箱に手を伸ばすと、突然、遺跡全体が揺れ始めた。地面が震え、巨大なゴーレムが姿を現した。その目は冷たく光り、侵入者を排除しようとする意志が感じられる。
アルト:「ゴーレムが守っているなんて予想外だ。みんな、気をつけて!」
リナは冷静に周囲を見渡しながら、「この薬草を使って罠を仕掛けるわ!」と声を上げた。
エリックは剣を構え、「よし、俺が囮になる。アルト、リナ、準備を頼む!」と言い放ち、ゴーレムに向かって突進した。
ゴーレムの攻撃は強力で、一撃で石を粉砕する。しかし、エリックの素早い動きでその攻撃をかわしながら、リナとアルトに時間を稼ぐ。リナは手際よく薬草を使った罠を仕掛け、アルトはその間にゴーレムの動きを観察する。
アルト:「ゴーレムの動きには一定のパターンがある。リナ、罠をその足元に仕掛けてくれ!」
リナは頷き、素早く行動に移る。彼女が仕掛けた罠が発動し、ゴーレムの動きを一瞬止めた。その隙を突いて、エリックはゴーレムの弱点である胸部を狙って剣を突き刺した。
ゴーレムは大きな音を立てて崩れ落ち、その場に動かなくなった。エリックは息を整えながら、「よし、これで一安心だな。」と呟いた。
リナは微笑んで、「みんな無事でよかった。」と答えた。
アルトたちは材料を持ち帰り、リチャードの依頼通りに魔法具を作る。リチャードは大いに喜び、新たな依頼を申し出る。
リチャード:「あなたの技術に感銘を受けました。今後もぜひ協力をお願いしたい。」
アルト:「もちろんです。またいつでもお越しください。」
遺跡での冒険を終えたアルトたちは、村へと帰還する。夕暮れの中、アルトはふと立ち止まり、仲間たちを見つめた。
アルト:「今日はみんな、ありがとう。君たちのおかげで無事に任務を果たすことができた。」
リナは照れくさそうに笑いながら、「私たちチームだからね。」と言った。
エリックは肩をすくめて、「まあ、これが俺たちの仕事だろう。」と答えた。
アルトはその言葉に微笑み、「そうだな。これからも一緒に頑張ろう。」と決意を新たにした。
**作者より**
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