【完結】異世界で、私だけバトルメカ所有って最高じゃないですか!
湊 マチ
第1話 異世界への旅立ち
三田村サクラが目を覚ましたとき、見慣れない天井が広がっていた。辺りを見渡すと、そこには彼女の知っている世界とは全く異なる景色が広がっていた。高い塔や奇妙な建物が立ち並び、空には見たこともない生き物が飛び交っている。
「ここは…どこなの?」
サクラはベッドからゆっくりと起き上がり、窓の外を覗いた。すると、鮮やかな色彩が目に飛び込んできた。青い空に浮かぶピンク色の雲、緑豊かな森、そして遠くに見える城のような建物。全てがまるでおとぎ話の中の風景のようだった。
「おはようございます、サクラ様。」
突然、扉が開き、一人の女性が入ってきた。彼女は美しいドレスを身にまとい、優雅な動作でサクラに近づいてきた。
「あなたは…誰ですか?」
「私はこの王国の侍女、リリィと申します。サクラ様をお迎えするために参りました。」
「迎えるって…どういうこと?」
サクラは混乱しながらも、リリィの案内で部屋を出ることにした。廊下を進むと、豪華な装飾が施された部屋に通され、そこには一人の少女が待っていた。
「初めまして、サクラ様。私はこの国の王女、エリザベスです。」
エリザベスは微笑みながら、サクラに向かって丁寧に頭を下げた。
「王女様…?」
「ええ、サクラ様。あなたにはこの国を救うために、特別な役割を担っていただきたいのです。」
サクラは状況が飲み込めないまま、エリザベスの話を聞くことにした。彼女の話によれば、この異世界は魔物の脅威に晒されており、特別な力を持つ「バトルメカ」のパイロットが必要だということだった。
「それで、私がそのパイロットってわけ?」
「はい、そうです。そして、サクラ様にお伝えしなければならないことがあります。このバトルメカ『アストレア』は、この世でただ一機しか存在しません。それほど貴重で強力な兵器なのです。」
「一機しかない…そんな大切なものを私が操縦するの?」
「そうです。あなたは特別な力を持っています。その力を活かして、この国を救ってほしいのです。」
サクラは信じられない気持ちでエリザベスを見つめたが、心のどこかで何か特別な力が目覚める予感を感じていた。
「わかったわ。やってみる!」
サクラは決意を新たにし、エリザベスに向かって力強く頷いた。
***
次の日、サクラは未来の兵器「アストレア」という巨大なバトルメカの前に立っていた。全長20メートルもあるその機体は、圧倒的な存在感を放っていた。
「これがアストレア…」
サクラは目を見張りながら、アストレアの全体像を見上げた。機体は鋼鉄のように強固で、美しいデザインが施されていた。
「サクラ、君がアストレアのパイロットなんだね。」
突然、背後から声が聞こえ、サクラは振り向いた。そこには三人の仲間、剣士のアリス、魔法使いのルナ、弓使いのエミリオが立っていた。
「私はアリス。剣の達人よ。よろしくね、サクラ。」
「私はルナ。魔法使いです。一緒に頑張りましょう!」
「僕はエミリオ。弓の使い手さ。よろしく。」
三人はそれぞれ自己紹介をし、サクラに笑顔を向けた。
「みんな、ありがとう。私、頑張るから!」
サクラはアストレアに乗り込み、操縦席に座った。操作パネルに手をかざすと、機体が静かに起動し始めた。
「すごい…」
サクラは興奮しながら、アストレアの動きを確認した。巨大な機体が滑らかに動き出し、その力強さに圧倒された。
「サクラ、気をつけてね。アストレアは強力だけど、その力をコントロールするのは簡単じゃないわ。」アリスが注意を促した。
「わかってる。みんな、サポートお願いね!」
サクラはアストレアを慎重に操縦しながら、仲間たちとの連携を深めていった。
***
訓練が終わり、サクラたちは学校の中庭に集まった。エルドリッジ先生が、次の訓練内容を説明していた。
「次は実戦形式の訓練だ。皆さんには、フィールドの中央にある旗を取りに行ってもらいます。注意深く行動し、チームワークを大切にしてください。」
サクラたちは一つのチームとして行動することになった。サクラはリーダーシップを発揮し、各自の役割を確認した。
「アリスは前衛で敵を引きつけて。ルナは遠距離からの支援をお願い。エミリオはスナイパーとして、敵の動きを封じてね。私はアストレアで決定的な一撃を放つわ。」
「了解!」三人は一斉に答え、サクラに向かって頷いた。
訓練が開始され、サクラたちは慎重に進みながら敵の動きを警戒した。アストレアの巨大な力を活かしつつ、敵を踏み潰しながら進む。
「サクラ、敵が来るわ!」アリスが警告した。
「了解!私が引きつけるから、みんなは中央に進んで!」
サクラはアストレアを操り、敵の注意を引いた。アリスは剣を振りかざし、ルナは強力な魔法で敵を押さえ、エミリオは的確な射撃で敵を制圧していった。
「今よ、サクラ!中央に進んで旗を取って!」アリスが叫んだ。
「わかった!」
サクラはアストレアの全力を駆使し、フィールドの中央に突進した。敵の防御を突破し、旗を手に入れた瞬間、フィールド全体に勝利のサインが響き渡った。
「やったわ!みんな、お疲れ様!」サクラは歓喜の声を上げた。
「見事だったわ、サクラ。私たちのチームワークが完璧だったわね」アリスが満足そうに言った。
「本当に。これからもこの調子で頑張りましょう」ルナが微笑んだ。
「君たちと一緒なら、どんな試練も乗り越えられるよ」エミリオが頼もしく言った。
エルドリッジ先生も彼らの成果に感心し、「皆さん、本当に素晴らしい戦いでした。これからもその力を磨いて、さらなる高みを目指してください」と褒めた。
***
その夜、サクラたちは寮の部屋で次の計画を話し合っていた。アリスが真剣な表情で言った。
「次は、もっと難しい試練が待っているかもしれないわ。でも、私たちなら必ず成功できるわ」
「そうね。私たちの絆があれば、どんな困難も乗り越えられるはずよ」ルナも同意した。
「サクラ、君がリーダーとして私たちを導いてくれることを信じているよ」エミリオがサクラを見て言った。
サクラは感謝の気持ちでいっぱいになりながら、「みんな、ありがとう。私も頑張るから、一緒に強くなろうね」と決意を込めて答えた。
そのとき、サクラはふとアストレアの機体に名前を書くことを思い立った。自分の決意を示すために、そして仲間たちとの絆をさらに深めるために。
「ちょっと、みんな。アストレアに名前を書こうと思うの。これで私たちの絆をさらに強くしたいんだ。」
「それはいいアイデアね!」アリスが賛成し、ルナとエミリオも笑顔で頷いた。
サクラたちは夜空の下、アストレアの前に集まった。エルドリッジ先生が特別に用意してくれたペンを手に、サクラは機体の一部に自分の名前を書く準備をした。
「これで…いいかな?」
サクラは慎重にペンを動かし、アストレアの胴体に「三田村サクラ」と書き込んだ。機体に触れると、まるで自分の心がアストレアと一体化するような感覚を覚えた。
「私も書いていい?」アリスが尋ねた。
「もちろん、みんなで書こう!」サクラは微笑みながら言った。
アリスは「アリス」、ルナは「ルナ」、エミリオは「エミリオ」とそれぞれの名前をアストレアに刻んだ。彼らの名前が光り輝くと、アストレアの内部からも不思議な光が放たれた。
「なんだか、力がみなぎってくる感じがするわ…」サクラがつぶやいた。
「これで私たちは本当に一つになれたね」とエミリオが感慨深げに言った。
(続く)
**作者より**
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