見世物小屋

伊藤テル

見世物小屋

ただ一つ正しいことが言えますがこの世の全ては見世物小屋の者

車窓から眺める電気の無い家に未来の自分を思い恐怖する

ぬいぐるみ愛嬌振りまき生きている今日も相槌打ってくれている

同級生男子は三人女子八人転校生の私は小屋へ

この街で生きると覚悟してないしツタにまみれた知らない民家

テレビとかネット動画とかあるがどれもまともが無いことが普通

交差点の庭に並んだプランター見られることを意識している

『がんばって!パパの帰りを待っている』古い標語の古い看板

不便そう山奥にもまだ家がある点滅している黄色信号

窓の外自分は行けないあの場所に行こうと思ったことなんてないのに

父親と言い合いになりカッターで切りつけてしまった畑のマルチ

アンチコメいいね押してる編集者敵対雑誌は潰れろのごとく

どろどろでしどろもどろで愚か者そろそろだとは分かっているけど

CDのジャケ買いというあの文化もうしてないな申し訳ないな

ワイドショーSNSの声紹介自分で選んだマッチポンプ

コンテスト最終選考落選でも誰にも読まれぬネット上の小説

「ハハ、バカだ」一方的に動画を見る所詮私は再生回数

TVerで結局カスなお色気が上位にきてる銀紙を噛む

メンションを付けて燃やす気満々の投稿をして返信を無視

さようなら君の白い息 薄暗いトンネルの奥の公衆電話

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見世物小屋 伊藤テル @akiuri_ugo5

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