第112話 首都モンテスの大拡張と、再び執務室に全員集合


 僕はバルルマヌルで仲間にした九名を連れて、首都である巨大城郭都市モンテスの野外に転移した──が、転移した先で見たものは、三年前よりも明らかに巨大化した城郭都市だった。


 あれ? この三年間で何があった?


 僕は急ぎ思念伝播でピノネロを呼んだ。


 すると、やはり三年間も留守にしていたからか、ピノネロが走ってモンテスの野外まできた。


 「きょ、教皇様。お久しぶりです。それで、教皇様の周りにいる、九名の方たちは……」


 「この九名は、全員バルルマヌルで僕が仲間にした、仲間だよ。それよりも、何だか首都モンテスが三年前よりも大きく見えるんだけど」


 僕が質問すると、ピノネロは笑いながら言った。


 「それがですね教皇様。教皇様が、三年間モンテスを留守にする前に、また大増税をしたじゃないですか。それで財政に余裕が出来たので、首都モンテスで大拡張の工事をしました。今では2000万人から3000万人の国民が住める、巨大城郭都市として機能しています。もちろん増改築もし、マギアヘイズやダミアンヘイズから流民してきた、数多くの亜人たちも受け入れ、今ではモンテスで暮らし、元気に働いてもらってます」


 「は? 3000万人だと!? アヴィドの街の三倍じゃねーか! まあ、流民して困ってる亜人たちを受けいるれたのは、良いとしてだな。流石にやり過ぎじゃないのか?」


 「では逆に、私からもご質問しますが。三年間も国を留守にするのは、やり過ぎだと思いますが」


 うっ! こいつ、痛い所を突いて来やがる。これでは反論できないぞ。


 「まあ、いいや。増改築した分だけ、ちゃんと施設は増やしたんだろうな?」


 「そについては、ご心配なく。教皇様が以前、建設された公衆浴場などの施設の作り方を教えてもらった時に、私はすべてメモに書き、その通りに作りました所、教皇様ほどの速さで建設するのは無理でも、ドワーフの街のドミールの皆様の力も借りて完成しました。ちなみに拡張したので、1000万人分の住居も完成しています」


 ピノネロの話しを纏めると、公衆浴場は東西南北に二つずつ作ったが、なんと、東西南北に四つずつ作ったそうだ。


 つまり、合わせてモンテスの街には16もの公衆浴場がある事になる。


 加えて、僕が三年前にピノネロに渡した、良き国家作りの為の施設のメモや、至高者さんに訊いて、その施設を作る為のメモまで一応だが、渡しておいた──しかしだ、まさか本当に僕の権能なしで実現させるなんて。


 「ピノネロ。お前よくたった三年で、ここまでの大事業を完遂したな……」


 「それでしたら、四獣四鬼しじゅうしきさんや六怪ろっかいの皆さんの力も借りました、それから吸血鬼の皆さんや、悪魔の皆さんの力も」


 なるほど、あいつらが全面的に強力して、たった三年でモンテスの街が、また拡大したわけね。まあ、アランやレギオンの奴らは、軍事訓練があるから、ピノネロは拡張工事の手伝いよりも、軍事訓練の方を優先させたのだろう。


 「所で……教皇様はこの三年間で、やろうとした事は達成できたのですか?」


 「もちろんだとも! 見てくれ! この頼もしい九名を!」


 ピノネロが、その九名を見ると、怖がる事もなく一名づつに挨拶をしている。


 「やはりピノネロ。肝が据わってるな……。あの面々を見て怖がらずに挨拶するなんて」


 僕が関心していると、ハーデスが詰め寄ってきた。


 「ピーターよ! 早く貴様の街を案内して欲しい」


 まあ、そうだよな。今までも大きかったが、まさか3000万人の国民が住める首都になっていたのだ。その圧倒的な大きさに、三閻羅さんえんらと六大守護聖魔の九名は、テンションが上がっている。


 てか、この三年間で、モンテスの場外を警備する兵隊も増えたな。


 まあ、それはさておき、早速モンテスの街に入りますか。


 おお! 前よりも活気に満ちている。やはり大拡張したからだろう。

 どこを見ても、人、人、人。

 何という人口なのだろう。


 しかも、街の中に入ってすぐに、市場があるのか。


 ほえ〜。


 すると、今度はザルエラが質問してきた。


 「ふむ。ピーターの街が良き街なのは理解した。我らを見ても、恐れる者がいない。が、一つ質問だ。先ほどピノネロと言う者が言っていた。四獣四鬼に、六怪に、吸血鬼たちに、悪魔たちとは。この国での主力なのか?」


 「まあ、そうだね」


 「では是非。その者たちとも一度、会ってみたいものだな」


 やっぱりそうなるよね〜。でも、一人ずつ紹介していては、時間が……。


 あっ、そうだ! こう言う時の執務室だ。


 しかし、この九名は擬人化できるのか。


 「じゃあ、全員まとめて主力メンバーを紹介したいから、全員執務室まで行こうか。所で、お前らって擬人化できる?」


 すると、その場にいる九名が大笑いした。


 「何か変なことでも聞いた? 皆、大きいから、このままだと執務室に入らないんだけど……」


 すると、エキドナが呆れた口調で言った。


 「我々は擬人化などせずとも、ピーターのような小さい肉体に、大きさを変えることは容易い。それで不満か?」


 「え? 大きさ変えられるの? それなら不満じゃないよ」


 なんだ、見た目は変わらなくても、大きさが小さくなれば全員執務室の会議室に入るな。


 あとは、主力メンバー全員に執務室に集まるように、思念伝播で伝えるだけだ。


 そうと決まれば、執務室で緊急の会議を開かなくては。


 僕は思念伝播で仕事中の皆に、新たに仲間になった九名を紹介したいから、執務室に集まるように伝えた。


 すると、三年ぶりだったので、全員が驚いて、すぐに執務室に来ると言ってくれた。


 はぁ……よかった。この三年間で忘れられていたら、どうしようかと思ったが。杞憂だったな。


 それじゃあ、久々の全員集合の執務室での会議を始めますか。


 それと、どうか皆が、三閻羅の三名と、六大守護聖魔の六名を見て、怖がらないように祈ろう。

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