第97話 祭りの屋台の出し物と、再びタレ作り


 六怪ろっかいの皆には食材集めで助けてもらったが、屋台の出し物は僕が考えねば。


 祭りと言えば──定番の焼きそばは外せない。後はたこ焼きだが……食材にタコが無いんだよな……集めた食材で──おっ! キングスパイダーを使って、たこ焼きの中に入れればカニが入った、たこ焼きになるぞ。


 しかもまだ定番が残ってる、焼き鳥に、ラーメンや、ハンバーガーの屋台も出したい。


 それから、カキ氷にリンゴ飴も必須だ。水飴も作らないと。

 子供たちの為に、アイスを乗せたクリームソーダも作らないとな。

 それから、クレープもだ。


 後は──金魚すくい……てか、金魚ってそもそも、この世界にいるのか?

 まあ、ちょっと金魚に似た小魚を探しに行くとして、その後は、輪投げだな。これはすぐに準備できる。それにお面屋台と水風船の屋台と記念祭り用の、のぼり旗もたくさん作らねば。


 レンタル用の着物や甚平も作らないと──うおおおお! 頭がパンクしそうだ。 普通、祭りの準備って街の人たちが集まって、する事じゃないの? まあ大々的に記念祭りをする報告を、モンテスの住人全てを集めて伝えれば、全員手伝ってくれると思うけど。


 それにだ、今回集めた食材で、皆にステーキや焼肉も屋台では無く、無料で提供したい。というか、全ての出し物を無料にする予定だが。


 おっ。忘れてた。デッドリークロコダイルを集めたから、皆にワニの寿司や刺身も提供できるな。欲を言うと解体ショーもやりたい。


 ああああ! 忘れてた! 花火だ。


 まあ、いざとなれば。ソルに頼んで、アイツの権能で上空に巨大な炎を出現させれば、花火以上に珍しい出し物になるな。


 まだ何か足りない気がするが、他にも準備する物がある。


 そう、またしてもタレだ。しかも今回は3000万人分のタレなので、正直な所……誰かに手伝ってもらいたいが。はぁ……他に物質創造の権能を持ってる奴がいないから、僕が全部準備しなくては。


 だが、ミストスの祭りでは、タレがメインだったが。今回はタレの種類を、たくさん用意する必要が無い。なので必要なタレはもう決まっている。


 まずは、たこ焼きに、焼きそばに、ハンバーガー用のソースだ。それから焼き鳥のタレに、ステーキのタレと焼肉のタレ。最後に塩だ……まあ塩はタレじゃないけど、祭りの料理の必需品だ。なのでこの五種類になる。


 さてと、今は朝だが量が多いので、何とか今日中に作れるか心配だが、作らなくては。


 こんな時に便利なケルベロスのユニークスキル、超速行動がある。


 そして僕は、すぐさま超速行動のスキルを使い。またしてもメイドさんや執事さんに、教皇宮殿の大広間は出入り禁止と伝えた。


 そんじゃあ、やるか!


 まずはタレを入れる、巨大なビンの作成だ。今日は空想言語実現の権能が火を吹くぞ。


 「大広間の大きさの巨大なビンよ、今すぐ目の前に出現しろ」


 すると、前回よりも巨大なビンが、僕の前に具現化した。


 よし。後は作りまくるだけだ。まずは塩だな。


 「巨大なビンの中に溢れる程の塩よ、現れろ」


 成功だ。まあ、前回と同じ手順だし、驚きもしないが。


 早速インベントリに──ん? 待てよ。完全復元の権能があったな。


 ちょっと試しに、やってみるか──これは、かなり想像力がいるから、疲れるんだけど、成功すれば、かなりの時間短縮になる。


 巨大なビンの中にある入っている塩とビンよ。そのままの形で──いや、待て。もし成功したら、大広間が壊れる。


 なので、僕は急ぎ巨大城郭都市のモンテスから、遠く離れた平地まで、転移魔法陣で瞬間移動した。もちろん。目の前の巨大なビンの中に入っている、溢れんばかりの塩をインベントリに入れて。


 さっそく転移完了っと。まあ、これだけ広い平地なら大丈夫かな。


 僕はすぐに、先ほどインベントリに入れた、巨大なビンの中に入っている塩を取り出し、深く集中し想像した。


 この巨大なビンと中に入っている塩よ、大量に復元しろ。


 すると、僕が想像していた通りに、巨大なビンの中に溢れんばかりの塩が、復元された。


 うーむ。数にして200個ぐらいの巨大なビンに塩か。少し魔力をケチったかな? でも、これだけの数があれば、祭りには充分だろう。


 僕は完全復元の権能で、復元された溢れんばかりの塩が入った、巨大なビンを全てインベントリに入れた。


 さてと、お次はタレですよ〜。


 ソースに、焼き鳥のタレに、ステーキのタレに、焼肉のタレですか。


 んじゃあもう、全部、空想言語実現の権能を使って、具現化しちゃいましょうかね。


 そして、巨大なビンに溢れんばかりの、ソースと、焼き鳥のタレと、ステーキのタレと、焼肉のタレが具現化された。


 さぁ集中の時間だ──目の前の四種類のタレが入っている巨大なビンよ、完全復元しろ。


 すると、またしても、目の前に大量のタレが入ったビンが、広い平地を埋め尽くした。


 今回は、魔力をケチらなかったから、もの凄い量になってしまった。


 ソースが入った巨大なビンが500個に、焼き鳥のタレが入った巨大なビンが300個に、ステーキのタレが入った巨大なビンが500個に、焼肉のタレが入った巨大なビンが500個だな。


 まあ、これだけあれば平気だろ。そして僕は、全てのタレが入った巨大なビンをインベントリに入れた。


 これで完了──あっ……。寿司も屋台で出すから醬油が必要なんだ。


 醬油はなぁ……かなりの集中力が必要だし、集中した分、魔力もかなり減るんだよね……でもやらなくては。


 まずは空想言語実現で醬油を具現化しないとな。

 僕は、ありったけの想像力を使い醬油を具現化する為に、言い放った。


 「僕の目の前に、巨大なビンに溢れんばかりの醬油よ、現れろ」


 僕の言葉で、目の前に、溢れそうなほど醬油が入ったビンが現れた。


 取り敢えず、味見っと──おっ! ちゃんと醬油だ。


 まあ、タレと違って、醬油はたくさん寿司には付けないから、巨大なビンの数は200個ぐらいでいいか。


 だが、醬油を完全復元するのも、かなりの魔力を使う。それだけ、タレと違って複雑なのだ。


 まあ、いい。集中しないと──目の前の醬油が入った巨大なビンよ。完全復元しろ。


 すると、目の前に明かに200個以上の醬油の入った巨大なビンが、完全復元された。


 あちゃ〜、ちょっと集中し過ぎて、魔力を使い過ぎたかな。

 でも、余っても、この醬油は迎賓館の和食料理に使えるから、良しとしよう。


 そして、インベントリの中に全ての醬油が入った巨大なビンを、入れ終わった。


 はぁ……魔力量が増えたから、前のミストスの時に作ったタレよりも、たくさん作れたけど……流石に疲れた。


 てか、超速行動のスキルを使ったのに、もう夕暮れじゃん!


 ミストスの街での宴会用のタレを、王宮の大広間で作った時と一緒だな。


 まあ、いいか。あの時は30万人分で、今回は100倍の3000万人分だもんな。でも、何とか今日中に終わって良かった。


 と言うか──今更だけど、これって教皇の仕事なのか?


 でも誰もタレやソースを作る技術がないからな。今度、成分分析の権能でレシピを作って、タレやソースを大量生産できる製造所も作らなければ。


 だが、僕は大事な事を忘れていた。

 それはマヨネーズ作りである。焼そばや、たこ焼きには、マヨネーズが必需品なのだ……。


 言うまでも無いが、僕はまた空想言語実現の権能と、完全復元の権能を使い、マヨネーズが入った巨大なビンを200個も作り、インベントリに入れた。


 はぁ……マジで疲れた。


 そして僕は、ヘトヘトになりながら、転移魔法陣で教皇宮殿の自室まで転移すると、そのままベッドにダイブして眠りについた。

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