第2話 いざ西の都ルストへ


 トボトボとリスタの街から出ようとすると、さっきの商人ギルド内にいた、巨乳の女鑑定士さんが、こちらに走ってきた。


 言わなくてもわかるだろうが、巨乳の女性が走るとあれだ、その、揺れるのだ。まあそれを拝めただけでも、豪運なのかな?


 そんなことを考えていると、息を切らしながら女鑑定士さんに言われた。


 「も、もう一度だけ、水晶玉に両手を翳してください」


 「いや、何度やっても……」


 「翳してください!」


 す、凄い圧だな。胸も近いし、もう少しで当たりそうだ。


 僕は女鑑定士さんの巨乳──ではなくて、必死さに負けて、もう一度だけ水晶玉で鑑定してみることにした。


 商人ギルド内に入ると、もう全員終わっているようで、ガランと静まり返っている。


 「では、お願いします」


 言われるがまま、水晶玉に両手を翳すと──水晶玉が割れた。


 うわーーー!!! これ弁償しろとかって流れですか?


 「やっぱり、偶然じゃなかった」


 「え?」


 「さっき鑑定した水晶玉も割れていたんです。その意味は、鑑定値が超えると水晶玉が割れてしまうんです。この意味は貴方の幸運が99を超えていると言うことです」


 紅潮した顔で瞳を輝かせながら、説明しているが全く意味が分からん。


 「今すぐ! ここから西の大都市ルストに向かって下さい! あそこなら999までの鑑定が可能なので」


 あっ! これ鑑定士魂に火を付けちゃった感じですか?


 「でも、鑑定してどうなるんですか?」


 「私はこの鑑定士の仕事は数年しかしていませんが、こんな事例聞いたこともありません。レベル1で99超えには何か意味あるはずです! で、す、か、ら!」


 「わ、分かりました! でも路銀が金貨30枚しか無いので……」


 「大丈夫です! そう遠く無い街なので、馬車で五日ほどです!」


 「い、五日も!?」


 「断るんですか? もしルストで鑑定してもらえれば、金貨10枚払うと伝書鳩で報告しますが……」


 うお! 足元見られた! 今はとにかくお金がないと始まらない状況だ。それにもう、この街にもいられないのだから。


 「わ、分かりました。では馬車で向かいます」


 「本当ですか? では馬車を用意してきます。ああ、それと、この街では馬車の数が少ないので数日待って貰うと思いますが、よろしいですか?」


 「もう、なんでもいいです……」


 半ば精神状態が、自棄っぱちになっている。



 ────数十分後────



 「ラッキーですよ! えっと──」


 名前かな?


 「ピーターですけど」


 「す、すいません。ピーターさんラッキーですよ! すぐに馬車の準備が出来ました!」


 そして、巨乳の女鑑定士さんに言われるがままに、馬車に乗る僕。

 はあ……あの巨乳ともお別れか。


 さらに女鑑定士さんは忘れていた……ルストに入るには、門の衛兵にギルド通行許可証を見せなくてはいけないことを……。

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