天界ディストピア

聖レポーター@色々連載中、予定

プロローグ

「あー、部活つかれたなぁ」

夏の午後8時頃、制服をきた黒髪の少女が夜の小道を歩いていた。運動をしていたのか疲れている様子で足取りが重く見える。

「ダメだぁ、くらくらする…はっちゃけすぎたかな…」

その少女はそう言いながら道を歩き、交差点に出た。多くの車が交差点を往来し、車の排気ガスの臭いが辺りを充満させる。

「ん…あれ?」

交差点の信号が変わるのを少女が待っていると、突如視界が歪んだ。

「うっ…あ…」

いきなり来た体の異常に、なにがなんだかわからないまま少女は車道に倒れ込んだ。

そのまま走る車の音が聞こえ

「…っ!」

声はなく、肉がグチャリと潰れる嫌な音が交差点に鳴り響いた。















_____________________________________________

「んん…あえ?」


起きたら何もない白い空間の中にいた。

この白い場所はどこ?さっきまで交差点で信号まってて…それで轢かれて


「…死んじゃったのかな」

「うん、そうだよ」

「え、誰!?」


急に声をかけられて思わず、びっくりした。振り向いてみると、端正な顔立ちに漆黒の髪、そしてひときわ目立つ純白の翼と頭の上にある光るリング。これって…


「…天使?」

「ご明察です。天国への案内人のウリエルです。これからあなたを天国へ連れていきます。」


え、いま天国って言った?私そんな生前の行いよくないような…


「自分で言うのも変ですけど、私って天国に行けるようなことした憶えないいんですけど」

「うーむ、まあ私は案内人なので詳しくは知らないですが、認められたんですよ。」

「なんかいまいち納得できないけど…まあいいです。それじゃあ、早速天国につれてってもらってもいいですか?」

「ええ、ついてきてください」


なんかよくわかんないけど…まあいっか


~数分後~


「この門の先が天国です。どうぞお進みください」

「…」

「どうされました?」

「いや、さっきまで少しパニックになってたから気づけなかったけど…ここを通ったら家族や友人と本当にわかれちゃうんだって」

「なるほど、それは確かに覚悟が必要ですよね少し待ちますよ」

「…いや、もう大丈夫です。きっと数十年後には会えるでしょうし」

「ふむ、では行きましょう」


もう覚悟は決めたんだ。幸せな日常がこれから待ってるんだ。しばらく会えなくともそれがなんだっていうのさ


「ここが天国です」

「…え」


灰色の空にゴミだらけの道、空気は汚染され鼻を刺激するガスの臭いが溢れる。ゴミは虫が群がり異臭がする。


「ここが…天国?」

「ええ、そうです。ようこそ、荒廃した天国へ。それでは」

「ちょっと!待って…あ」


消えちゃった…こんなところで、どうすればいいの…

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