恋の未来は一つだけ

成田要

第1話

突然だが、私、高校二年生、二階堂春は恋をしているらしい。

相手は一つ年下の佐藤健くん。これといって話したこともなければ関わったことも少ない。見た目は小柄で、顔はアイドルのように整った顔立ちというより日本人ばなれした風貌で、私の好みである。お調子もので、だけど誰に対しても優しい、友達が周りにいつもいる人気者だ。

だけどムードメーカーというほどでもなく、クラスの少ないグループで青春を謳歌しているような感じ。

そんな健くんのことが好きで、好きで、好きでたまらない私には昔からとある能力がある。それは、恋をした相手とのこれからの未来を予知できるということ。昔からそうで、この人に告白したら、この人と付き合ったら、この人とデートをしたら、など、恋をした相手ならば結末が分かるのだ。

なので、私にとって恋愛とは退屈なものであり、毎回答え合わせをしているようなものなのである。

だけど、健くんだけは未来が読めないのだ。どう想像しても予知をしようとしても分からない。だからこそ、私は健くんのことが気になって仕方がない。

だが、ただ一つ。

一つだけ分かることがあるとするならば。

私は将来、健くんに殺される。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋の未来は一つだけ 成田要 @yugitora

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ