第2話 「男系」による皇統継承の科学的根拠

皇室典範が定める「男系の男子が皇位を継承する」の科学的根拠について解説します。


生物学的な話になりますが、人間には細胞核内に遺伝情報を収納する46本の染色体があり、23対のペアを形成しています。そのうち、男女の性別を決定する1対の染色体を「性染色体」といいます。


性染色体は、女性は2つのX染色体(XX)、男性はX染色体とY染色体を一つずつ(XY)持っています。Y染色体は男性のみが持つ性染色体です。


子どもは父親と母親のそれぞれから染色体の半分の23本ずつを受け継ぎます。そのため、性を決定する性染色体については父親と母親から一つずつを受け継ぐことになります。つまり、母親からは2つのX染色体のうちの一つを、父親からはX染色体またはY染色体のどちらか一つを受け継ぎます。


結果的には、父親からX染色体を受け継ぐと、XXの組み合わせとなり女の子が生まれ、父親からY染色体を受け継ぐと、XYの組み合わせとなり男の子が生まれます。


性染色体のX染色体と、性染色体以外の常染色体は、子どもに受け継ぐ生殖細胞ができるときに「交差」という現象が起こり、途中に切れ目が入り、中身を一部交換します。


世代を経ると、この交差によってオリジナルの遺伝情報は徐々に失われていきます。しかし、Y染色体については交差が起こらないため、オリジナルの遺伝情報がそのまま受け継がれます。


そのため、父から息子へ、そのまた息子(孫)へと、Y染色体を受け継ぐ「男系」で皇統を継承することで、初代天皇である神武天皇のY染色体が、歴代の天皇によって連綿と受け継がれ、現代の天皇陛下や秋篠宮親王殿下、悠仁親王殿下に受け継がれているのです。


皇統の継承は、約2,600年前から男系によって護られてきました。古代の人たちにとって、男系による継承は当然と考えていたのか、それとも感覚的に科学的根拠で示したことがわかっていたのか、明確な理由はわかりません。しかし、受け継いできた伝統は科学的にも正しいのですから、これからもできる限りこの伝統を受け継いでいくべきです。


愛子さまのケースで考えると、女性ですから2つのX染色体(XX)を持っています。父親の徳仁さまと母親の雅子さまから染色体の半分ずつを受け継ぎ、性染色体については父親と母親からそれぞれ一つずつのX染色体を受け継いでいます。


つまり、「交差」が起こっていても、天皇陛下から染色体の半分を受け継いでいるため、天皇陛下の遺伝情報の50%を受け継いでいます。これは男の子が生まれた場合でも同じく50%です。そのため、愛子さまは「男系女子」といわれます。


過去には「男系女子」が即位した「女性天皇」が存在したことは第1話でもお伝えしましたが、現代では皇室典範に「男系の男子が皇位を継承する」と定められています。


愛子さまが、神武天皇由来のY染色体を持たない一般男性と結婚した場合、生まれた子どもは男女とも「女系(母親の家系が天皇)」といわれます。過去に「女系天皇」は存在しません。


「女系」の子どもには、愛子さまが徳仁さまから受け継いだ遺伝情報が受け継がれますが、「交差」が起こるため天皇陛下の遺伝情報は50%よりも少なくなり、世代を経るとさらに少なくなっていきます。雅子さまから受け継いだ遺伝情報が主体的に子どもに受け継がれた場合には、天皇陛下の遺伝情報はさらに少なくなります。


愛子さまのお子さまが男の子の場合は「女系男子」といわれますが、Y染色体は愛子さまが結婚した一般男性から受け継ぐため、男系男子による皇統の継承は断たれることになります。


愛子さまが、神武天皇由来のY染色体を持つ男性と結婚されたら、皇統の継承は可能ですが、愛子さまにも結婚の自由がありますから、結婚相手を限定することはできません。


もちろん、生物学的に神武天皇由来のY染色体を持っていれば、天皇になれるという単純な話でもありません。


愛子さまについても、国民から女性天皇を望む声が大きくなったとしても、天皇になるための教育は受けていないと考えられますし、そもそも女性が天皇の仕事をこなすことは体力的にも厳しいのです。これについては、第3話で詳しく解説します。

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なぜ愛子さまは天皇になれないのか~女性天皇と女系天皇の違いと男系男子~ @tataneko

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