青空に手が届く
空式
青空
運命というものを、信じている。
ある日運命と出会い、流されるままに全力を尽くし、何かを掴み取る。そんな眩しい青春にずっと憧れていた。
人間、普通に生活していたら何かに出会う事なんてない。何かを求めているくせに、何者かになりたがっているくせに。誰もその何かを知らない。
もしその機会があるなら、命だって迷わず賭けるだろう。
/1
……まあ、そんなのは思春期によくある悩みなのだが、それをいつまでも引きずっている大人もいるわけで。
小さくため息をつく二十五歳、社会人七年目。青春メンタルを手放しきれない哀れな男である。あと十年もすれば、そういうのに諦めも付くものだろうが、おっさんと呼ばれるには、俺はまだ若すぎる。
この六年はあっという間だった。今日は何食おうとか、帰ったら何しようとか、そんなことを考えていたらいつの間にか数年の時間が過ぎている。
夏の日差しは容赦なく町に降り注ぐ。青春をしていたころはこれがエールにも思えたが、今となっては殺人光線としか思えない。
大人になるにあたって、さしたる障害も試練も待ってはいなかった。流れに流され、いつの間にか社会に放り出されていた。子供の頃は全く想像もつかなかった大人の世界は、案外近くに存在していた。
——さて、そろそろ本題に移ろうか。まあ、俺の人生に本題も何もないんだけれど。強いて言うならば、帰った後に何をして暇をつぶすか、ぐらいだろうか。
無駄な思考、行きつくことのない妄想。ぼんやりと牛丼を口に運びながら考えたことは、店を出て3歩歩いた頃にはすべて忘れてしまっていた。
午後の仕事を終え、狭いアパートへと帰る。給料日前で金もないので、今日は寄り道も無しだ。
ドアを開ける。鍵は面倒だから閉めていない。仮に泥棒が入って来たとして、盗んで得になるものなんて、なにもない。
靴を脱ぎ、リビングに入る。
見慣れないインテリアと目が合う。机の前で正座をし、カップラーメンをすすっている。
部屋を間違えたか。否、どこからどう見ても俺の部屋だ。
じゃあ、この我が物顔で、俺の夕食を食べているこの女は。
「……誰?」
「あ、すいません。お邪魔しています」
目の前の女は丁寧な所作でお辞儀をした。背中まで伸びた真っ黒な髪、上品な目鼻立ち、小奇麗な服装も相まって、どこかのお嬢様のように見える。
「えっと……なんで? いや、なにやってんですか」
見た目は良くても、どう見ても泥棒、危険人物だ。
「今朝、宿を追い出されまして……ここの鍵が開いていたので、お邪魔させていただきました」
「そう……。なんで追い出されたんですか?」
権力闘争とかだろうか。——今時そんなものがあるのかはしらないが。
「おそらく、家賃を払わなかったからだと思います」
家賃。案外、地に足が付いた問題だ。でも、この人、お金に困っているようには見えないのだけど。
「なんだか、腹が立ちますよね。ああやって、上から目線で命令されると」
「———」
「水道やら電気やら、赤色の紙なんか使って、ああいう威圧じみた事されると、反抗したくなるじゃないですか」
言葉が出ない。社会知らずというやつなのだろうか。にしても、あまりにも度が過ぎている。
「——大丈夫?」
「? ——全然、平気ですよ」
首をかしげる目の前の女。
正直、何が何だかさっぱりわからない。
「まあ、お腹空いてるなら、なんか食べに行きます?」
とりあえず、状況を自分の理解の及ぶ形に持っていこう。謎の人物が堂々と家で食事をしてるという状況よりかは、見知らぬ人と食事に来たという状況の方が、幾分か自然だろう。——自然か?
状況が自然かどうかは別として、自然な流れで謎の女を家から追い出すことには成功した。そうして、今はファミレスの片隅に向かい合って座っている。
こうして見ると目の前の女は、思わず目が離せなくなるような、綺麗な顔をしていた。下心というのだろうか、まあ、こうして出会えたのも幸運なのに、それ以上の何かを期待してしまう。それはきっと、普通なら学生時代に得れる思い出。
「そういえば、名前、なんていうんですか?」
「かや、迦夜って言います。東迦夜」
「迦夜さん。僕は……や、——巴です」
苗字は山田、山田巴。名前だけを答えたのは、きっとつまらない自尊心。ありふれた苗字を避け、自分を表す、より特別なものだけを答えた。
「——巴さん。改めて、今日はありがとうございます」
「いいんですよ、ところで、何食べます?」
柔らかな空気が流れる。張り裂けそうだった心臓は気配を消した。
無難に、楽しく会話をしながらの食事。誰かと食事をするのはいつぶりだろう。正月か、お盆か、それを除くなら、成人式の日か。
あっという間に時間は過ぎ、そろそろ店を出ようかという時、目の前に伝票が立ちふさがった。
「——」
会計は1600円。手元には400円。カードは限度額。
「——ごめん、助けて」
「私、文無しですよ」
ああ、そうだった。腹が減って他人の家に侵入するような奴が金を持っているはずがない。
「もう少し、ゆっくりしていきましょうか」
幸い、カードの締め日は今日だ。今日をこのまま乗り越えれば、限度額はリセットされる。
「——出れなくなったんですか」
「まあ、そうですね」
「——よかった。今日、新月なんですよ」
そう言うと、迦夜さんは陰になって消えた。
訳がわからない。幻術か、それとも良家のお嬢さんはは透明人間にでもなれるのか。
一つだけ理解できたのは、俺をおいて逃げやがったということぐらいか。
それから数時間、どうせならと腹いっぱいに食べ物を詰め込み、カードで支払って店を出た。
大変不本意ではあるが、俺は明日も仕事に行かなくてはいけない。帰ったらすぐに寝てしまおう。
ドアを開け、ほどほどに散らかった部屋を歩き、布団へと向かう。
「——こいつ」
残念ながら、布団にはすでに先客が居た。ふざけるなよ。
どれだけ面の皮が厚いのか、目の前の妖怪は穏やかな顔で寝息を立てている。
まあ、正直、少し嬉しくもある。たった一瞬の非日常が、もう少しだけ続くのだ。慣れ親しみ、日常と化した退屈は、この数時間だけ、すっかり姿を消している。
さて、明日は少し早起きをしよう。普段朝食は取らないが、明日は特別だ。
/2
「ところで、聞きたいことがあるんだけど……」
「はい、どうぞ」
迦夜さんは食パンを口に運ぶ。
「あれ、何? 消えたやつ」
「——ああ、あれは月の投影です」
言葉に対する理解が及ばないまま、説明が続けられる。
「地球人も、他の星に行ったときにはできると思いますよ。異星の生物同士でしか通用しない目くらましのようなものですね」
ニュアンスはなんとなく理解できた。だが、それが現実のものだとは到底納得できない。
「で、昨日は新月でしたから」
「——じゃあ、迦夜さんは」
そういえば、かぐや姫にそういうシーンがあったような。
迦夜、迦具夜比売命。かぐやひめのみこと。古事記に記された人物。そして、竹取物語のかぐや姫との関連性も考えられている人物。
——なんて、安直な偽名。
「そう、私は月から来ました」
「じゃあ、あの?」
「かぐや姫とは別ですよ。普通の罪人です」
そりゃあ、常識知らずな行動をとるわけだ。地球の常識など、知ってる訳が無い。
「……なにやらかしたんですか?」
「聞いちゃうんだ。デリカシーが足りませんよ」
「ああ、ごめん」
「別、気にしませんけどね。反省も後悔も、してませんから」
表情を一切変えずに話す迦夜さん。
「他人と関わろうとしただけなんですよ」
「? それが、罪?」
俯きながら皮肉気に口元を歪め、迦夜さんは語る。
「今の月は、完全に一人で生きていける世界なんですよ。定期的に不死の薬さえ飲めば、肉体を維持する必要もない。各々が電子空間で自分の理想の世界を作って過ごしている。確かに、争いはなくなりましたよ。かぐや姫みたいな、かわいそうな人が出てくることもなくなりました。でも、それに意味があるんでしょうか」
迦夜さんは俯いたまま、不安定な声で続ける。
「成長も、発展もない。月の生き物は、もう増えることは出来ません」
だから私は殺されなかった。そう呟いて、彼女は窓の外に視線を向けた。
「いづれ、迎えが来ます」
「迎え?」
「罪人を地球に送るのは、宗教的理由って感じなんです。穢れてしまったといえ、地球は母なる星。そこで生まれなおすことで罪を洗い流す。そんな考えです」
追放ではなく、禊。
朝食はなくなった。非日常が目の前にあろうとも、目の前の日常から逃れることは出来ない。
「……最後に一つ、いい?」
隣の部屋へと引っ込む直前、迦夜さんの方を振り返る。
「地球は、どうですか?」
月がユートピア的な場所だということは理解できた。その月の住民から見て、地球はどうなのだろう。
「最悪ですね。人は馬鹿ばっかりだし、意味のないものばっかりが幅を利かせてるし、金やら何やら、しがらみばっかりですし」
迦夜さんは窓の外を見つめながら話す。
「——でも、すっごく、楽しいです」
花のような笑み。きっと彼女は、心から笑っている。
/3
「ところで、かぐや姫のこと、かわいそうな人って言ってましたよね。あれ、よくわからなくて」
迦夜さんと出会ってから数日、相変わらずこの宇宙人は図々しく俺の部屋の一部を占拠している。
こちらとしては、まんざらでもない。月の話も面白いし。
「かぐや姫は月の王からの求婚を断り、そのせいで地球に送られた。その後しばらくして月から迎えが来たのは、王が変わったからです。反乱の大義名分になったんです、あの人は、流石に理不尽でしたからね。……その後も都合よく担ぎ上げられ、利用され、時には攫われたりもして、最終的には処刑されました」
「へぇ……あの後に、そんな」
「その頃は戦争ばっかりだったそうですから。最終的には超兵器が大暴れ。戦場ではみんな共倒れ、電子世界に引きこもってた人たちばかりが生き残り、今の制度が生まれた。って感じです」
「——超兵器とは?」
気になる。だって男の子だもの。
「疑似ブラックホールとか、なんかすごいビームとか。……詳しくは知りませんよ。科学者じゃありませんし。そんな目を輝かせないでください」
まあ、そういうものか。俺だって、手元のスマホがどういう仕組みで動いているのかは全く理解していない。
「——ロボットとかは?」
「大きな的ですよ。攻撃力ばかり発達して、星すら砕けるようになって。だから、争う必要のない世界を作ろうとした。その結果が今の月です」
満ち足りていれば、一人で完結していれば、誰を羨む必要もないし、奪う必要もない争いなんて、起こりようがない。
「でも、他の星に侵略したりしなかったんですか? そんなに技術力があるなら」
「月の中心には……。いや、駄目です。言えません」
「禁則事項、的な」
「そうですね。言ったら消されます」
「消されるって」
「記憶消去。実質的な死ですね」
そこまでの禁忌。——というか、月の中心に何かある、そして月は未知の超技術を抱えている。ここまで伝わった時点でまずいのではないだろうか。
「単語に反応するタイプなので、大丈夫なはずですよ」
確かに、今までの会話で固有名詞、特にSF的な謎物質の話はほとんどされていない。命にもかかわることだ、その辺はちゃんとしているのだろう。
「……そういえば、迦夜さん、昼間は何してるんですか?」
ずっとここに居るというわけでもなさそうだし、どこかに出かけていることはわかるのだが。
「外出歩いてますよ。ふらふらと」
「文無しで?」
この辺りはいわゆる地方都市と呼ばれるような地域で、商業施設は一通りそろっているものの、金がないと何もできない。
「はい。楽しいですよ」
「——何が?」
「人、いっぱいいるじゃないですか」
迦夜さんは心底楽しそうに言う。
雑多な街は馬鹿らしくもあるけど、月では見られない風景なのだろう。
「でも、電子世界でも街とか作れないんですか?」
「作れますよ。けど、全部私の意志で作られるので、つまらないんですよ。あまりにも期待どうりすぎる世界は理想的ではありますが、私は人に理想は求めていないので」
理想が具現化した世界。いまいち想像がつかない。
理想がすべてかなうような世界で、理想を持つようなことはあるのだろうか。俺はずっと、現実ではかなわない理想を夢として、ぼんやりと望み続けてきた。けどそれが叶ったら、満足するのだろうか。否。きっと、際限なく求め続ける。それが生きるということだ。でも、想像力にも限度がある。欲望が底をつき、求めるものすらなくなったら、俺はどうなるのだろう。
——望みのない生活なんて、想像できない。だって、ずっと足りていない。満ちていない。
「ほとんどがくだらなくて、しょうもない人間ばっかりなんですけどね。それがいいんですよ」
だからきっと、迦夜さんは他人に手を伸ばしたのだろう。
「へえ……。そうだ、今日は一緒に出掛けます? 僕、仕事休みなので」
「——そっか、土曜日ですね。——もうそんなに経っちゃったんですか」
迦夜さんは悔やむように呟く。
「……帰るんですか?」
「まあ、はい。次の満月の日に」
空気がどっと重くなる。迦夜さんが月に帰るのは決まっていることで、個人の意思じゃどうこうできないようなものなのだろう。
「帰るのは決まったことですけど、今を楽しまない理由にはなりませんからね。さあ、どこか行くんでしょう?」
いつもよりも明るい声色で、迦夜さんは話す。
「そう、ですね。とりあえず、外出ましょうか」
ささやかな非日常もあと10日、そう思うと寂しい気もするが、元に戻るだけだ。元々、俺は一人で、普通な人間だ。そうすることを選んだのも、俺自身なんだ。
部屋を一歩出ると、全身が生暖かい空気に包まれる。玄関から出ると、焼けるような日差しが容赦なく皮膚を焼いていく。
「——やっぱ、戻りましょう」
「? 暑いって聞く気いますけど、そんなにですか?」
首をかしげる迦夜さん。そういえば、月の人間は不死身だとか。死なないんだったら、体が不快感という名の危険信号を発することもない。ということだろうか。
「いや、月は暑いので。それに比べれば、地球は快適ですよ」
「あーー。なるほど」
10分ほど歩いて、町中に出る。駅前は多くの人がごった返している。夏休みの学生、スーツを着た社会人、これから旅行に出かけるような装いの老人。
「普段はずっとここで立ってるんですよ」
「ずっと?」
「言い過ぎでしたね。日に数時間程度です」
それでもかなり多いと思う。
「で、巴さん。どこか連れて行ってくれるんですよね」
「圧かけないでくださいよ。何も考えてないので。というか、……僕、そんなこと言いました?」
何も考えていないといっても、この辺りで遊べる場所なんて限られている。
「——映画とか、どうですか」
迦夜さんは俺の提案にあっさりと同意し、近場の映画館へと足を運ぶことになった。
——映画か、迦夜さんは普段電子世界に居て、普段から創作の中に居るようなもので、あれ? 間違ったか、俺。
「……サムライシャーク」
ここで起死回生の一手、俺たちはサメ映画を見ることにした。一人では絶対に見ることはないが、絶妙な低予算感とトンチキな展開は、迦夜さんの好みには会いそうだ。
チケットを取り、劇場の中へと入る。席にはまばらに人が座っている。
「ほら、みてください、あれ」
迦夜さんの視線の先には一組の男女。垢抜けない感じの男と、すっきりとした印象の綺麗な女。
「どう思います?」
「まあ、普通に、羨ましいなあって、思いますよ」
「——なるほど。そっちでしたか。自分より醜いくせに女を連れている男に対しての、妬ましい。誘われて断り切れなかったであろう女への、同情。——その二択だと思ったんですが」
「——俺はそんなに捻くれてません」
一体俺のことを何だと思っているのか。
「別に、嫉妬も安い同情もしませんよ」
真横に座る迦夜さんを見る。
満たされてない人間の嫉妬。上から目線の同情。あの二人を、俺は下からでも上からでもなく、真横から眺めているのか。
それは、たぶん――。
「へー。俺とかいうんですね、意外です」
「誰でも言いますよ、俺は」
普段使う機会がないだけだ。
「まあ、いいでしょう」
映画の内容は、戦国時代を舞台に、サメと武士の戦いを描いたもの。ラストシーンは焼け落ちる本能寺でのサメと信長の一騎打ち。
結果は僅差でサメの勝ち。サメは瀕死の体で信長の遺体を運び、丁重に弔い、その場で息絶えた。信長の遺体が発見されなかったのは、そういうわけなのだ。
——なんだこれ。
「映画館っていいですね。風情があって」
ポテトを口に運びながら、迦夜さんが話す。
「ノスタルジー、みたいな?」
「まあ、そうかもですね。そうですね……わざわざ不便なフィルムカメラで写真を撮るようなものですよ」
多少違った視点ではあるが、迦夜さんは映画館を気に入ったらしい。
「あ、映画も面白かったですよ。ちょっと訳が分からなかったけど」
「地球ではどこにでもサメが出るんですよ。気を付けてください」
「そうなんです?」
「都市部にはあまり出ませんけどね。アスファルトで地面を固めてるのは、地面からサメが出てくるのを防ぐためなんです」
全部嘘だ。
そういえば、高校時代には適当な嘘に根拠をこじつける遊びをよくしていた。聞かされる側としては迷惑極まりないだろうけど、楽しかった思い出だ。
「適当言わないでください。事前に一通りは勉強してますから、騙されませんよ」
「月でも勉強とかあるんですね」
「こっちとは違う感じですけどね。頭が繋がってますから。知りたいことは知りたいと思った瞬間に知れている、みたいな」
それは、感覚としてはいまいち掴みづらいが。
「いいですね。それ」
「つまらないですよ」
即答だった。
「こっちに来てから、ネットワークとの繋がりもなくなって、くだらないことばかり考えてるんですけど、これが案外楽しくて」
「楽しいことは、くだらなくて役に立たないものですからね」
そうですねと笑う迦夜さん。
「さ、次、行きましょう」
そこからも適当に、くだらない会話を交わしながら、街を歩き回った。
緩く、生暖かく、それでいて永遠と続くような時間。それはまるで子供時代のような、夢のような一瞬。
「……お腹、空きましたね」
いつの間にか太陽が姿を隠し、一面の闇が空を覆いつくしていた。
今夜は星がよく見える。——遠くにある、月も。
「あそこ、行きましょう」
迦夜さんが指さした先は、チェーンの居酒屋だった。デートの締めとしては風情もへったくれもありゃしないが、俺たちはどちらも風情なんて求めていない。
雑多な喧騒に包まれた店内。席に着くと、雑多の仲間入り。
「ここ、実は何回か来てて、お気に入りなんですよ」
慣れた手つきで注文をする迦夜さん。宇宙人の舌には庶民的な味が合うらしい。
「味も好きですけど、雰囲気が好きなんです」
「雑多な感じ?」
「まあ、そうですね。いろんな人が居て、——予想外なのがいいんです」
予想外。不完全や理解不能な事、一人では出てこない想像。
少し、迦夜さんの趣向を誤解していた。彼女が求めているのは自分が想像できないもので、決して不完全なものが好きなわけでは無い。ただ、結果として不完全なものを求めているように見えるのは、完全で、理屈の通ったものなら容易に想像できるからだろう。不老不死で、無限の知識があり、自分の想像がなんでも形になるような世界なら、尚更。
「まあ、退屈だよな」
「——そうなんですよ。自由だけど、閉塞されてて、なんというか……」
迦夜さんは早口でまくし立てる。
感覚としては理解できる。小学生の頃は夏休みが退屈で仕方がなかった。
「というか、酔うんですね。宇宙人って」
「毒は効きますよ。死なないだけで」
不死身とはいえ、生き物としての作りはそれほど変わらないのだろうか。
「そういえば、月の人って、いつから居るんですか?」
「昔話ですね。元々は地球に住んでいたんですよ、月の人って。それが別れたのは大洪水、シュメルの洪水の頃です」
創世記や、ギルガメッシュ叙事詩などに記述がある伝説のことだろう。
「箱舟を作ったってやつですよね?」
「その時、私たちの先祖は宇宙へと逃げることにしたんです」
「へえ……」
なんだか、実感がわかない。でも、目の前の彼女は、そしてその言葉は紛れもなく事実なのだろう。それが、どうしようもなく、誇らしい。
新しく開けた世界。自分だけの特別。
傍観者でしかなかった人生、でも、こうしているとまるで自分が主人公になれたような気がする。
「……いやあ、よく食べましたね」
1時間ほどを過ごし、俺たちは店の外へと出た。
生暖かい空気の中、風を浴びながら歩く。
空はあいかわらずどこまでも深く、俺には想像できないほど遠くからの光がまばらに散らばっている。
「——月、遠いですね」
横合いから声が聞こえる。
迦夜さんは柄にもなくしおらしい態度で、空を見上げている。
「——ですね」
「巴さんは、昔からここに住んでるんですか?」
「いや、地元はもっと田舎です」
「どんなとこだったんですか?」
「なんにもないとこですよ」
電車は2時間に一本だし、近くには田畑すらない、山の中。
本当にくだらなくて、ばかみたいな場所。
「でも、まあ、そこそこ好きでしたよ」
「じゃあ、なんで、こっちに出てきたんですか」
言葉に詰まる。
理由なんて、決まっている。あんな不便なところでこれ以上過ごしたくなかった。でも、それ以上に。
「漠然と、何かを変えたかったんですよ」
「——変わりましたか?」
「いや、なんにも」
どこに行っても、結局俺は人並みでしかなかった。
「まあ、出て来てよかったとは思ってますよ」
地元を出る日、駅の改札を通る時、俺は一度振り返った。本当は、このふざけた土地に中指を立ててやりたかったけど、そうはしなかった。できなかった。
心の底からこの場所が嫌だった。1秒でも早く出て行きたかった。でも、歪んでいくあの風景から俺は、目を逸らすことができなかった。
空を見上げる。宙ではなく、地続きの遠くを見る。嘘みたいな風景は、間違いなく俺の始まり。だからこそ、俺は大手を振って、あの場所に向かって言えるだろう。
「馬鹿野郎———!」
叫ぶ。遠く、遠く、空へと向かって。
今日、生まれて初めて、本気で叫んだ。
ようやく、わかった気がする。俺はあの場所なんかじゃなく、あそこで過ごした時間が忘れられないだけなんだ。
だから、馬鹿なんだ。
この声は——どこまで届いただろうか。
「うるせぇ!」
どこかから怒鳴り声が飛んでくる。
誰に伝えたいわけでも、届けたいわけでもなかったけど、俺の声は、どこかの誰かには届いたようだ。どうやら、迷惑だったみたいだけど。
不思議と、笑みがこぼれる。笑いは声になって、響いていく。
「はは、あはははは!」
暑い夏。にぎやかな街のはずれ。見慣れた街並みだけど、どこか違う場所のようで。それはまるで、友人と駄弁りながら無為に過ごした時間のようで。
見飽きて、無意味だけど。多分、俺は一生、この景色を、この風景を、忘れることはないだろう。
「……なにやってんですか。酔いすぎですよ」
ああ、楽しい。楽しかった。
「愛を叫んでたんですよ」
ゆったりとした足取りで、家への道のりを歩く。精一杯ふざけて、目一杯笑いながら。終わりなんて、考えないように。
/4
日々は驚く暇もないほどの速さで流れていく。それは慣れからくる錯覚なんかではなく、心の底から、楽しかったからだろう。
迦夜さんは間違いなく、俺を日常から一歩抜け出させてくれた。
ああ、満足だ。これが永遠に続けばいいのに、なんてね。
空を見上げる。月は残酷にも輝いていた。
「今日、近くで花火やるんですよ」
「夏祭りですか? それは、……いいですね。行きましょう」
迦夜さんは立ち上がる。角度が悪く、その表情を見ることは出来ない。
「さ、そうと決まれば即、行動ですよ」
——余計なことを考えるのはやめだ。たとえ最後だとしても、今日は楽しいものであってほしい。
電車に乗り、隣町へと向かう。
まさに異界というべきか、地続きの非日常としては最大の景色がそこにはあった。
溢れる人だかり。闇を照らす提灯。どこからともなく漂ってくる食べ物の香り。
「——わぁ」
迦夜さんが感嘆の声を上げる。
「やっぱ、いいですね」
昔から、俺はこの景色が好きだった。現実に居ながら、どこかに連れていかれているようで、たったひと時でも、全てを忘れることができた。
だから、電車で何時間もかけて、俺は毎年祭りに出向いていた。
特に好きなのは帰りの電車だ。祭りの、非日常の余韻を噛みしめながら、景色を頭の中で何度も反芻する、あの瞬間が好きだった。あの時だけは、喪失感に浸る自分が、まるで世界の中心になったような、そんな気がするのだ。
だから、今日は、そんな喪失感も、せめて最高の形で噛みしめたい。
「さ、行きましょう」
人の波に逆らわず、いつもよりかなり遅いペースで歩く。
「巴さん、あれ」
歩きながら、迦夜さんは何度も俺を呼び止める。金魚すくい、クレープ、スーパーボールすくい、焼き鳥、きらきらしたのをすくうやつ。
「やりましょう」
ポイを片手に口を斜めにする迦夜さん。
「さっきからすくってばっかな気がするんですけど」
「理解したというか、……掴んできたんですよ」
「いい大人がなにやってんですか」
「と、言いながら二人分のお金を払う巴さん」
「——どうせなら」
俺はお祭りには毎年のように足を運んではいるが、こういう屋台で遊んだのは、今日が初めてかもしれない。
「——12!」
「はい、15!」
「嘘っ……絶対なんかずるしてますよ!」
「コツを掴んできたといっても所詮は宇宙人。夏祭りの本場で育った俺に勝てる訳が無い!」
破れたポイを片手に騒ぐ成人2名。
「まあ、意味の分からない理屈は抜きにして、普通に、俺も上達してるんですよ」
「へぇ……」
迦夜さんは流し目でこちらを見る。
「さて、そろそろ花火ですよ」
「あれ? まだ時間ありますよ」
確かに花火が始まるまではあと30分ほどある。
「あ、知ってますよ。穴場みたいなところに行くんでしょう」
迦夜さんはニヤリと口元を歪める。
「そんなもんないです。地道に場所取りですよ」
「えー」
「なんだかんだ、決められた場所が一番見やすいんですよ」
この近くで人が来ないであろう場所はいくつか知ってはいるが、どれも視界が悪かったり、川からの距離が遠かったりと、花火を見るにしては、どれも微妙な場所だ。
「まあ、この辺でいいでしょう」
地面に腰を下ろす。周囲にまばらに歩いていた人は、だんだんと数を増していく。
迦夜さんは物憂げな顔で夜空を見上げる。
「これ、渡しときます」
迦夜さんはポケットから緑色の液体が入った小瓶を取り出す。
「これって?」
「不死の薬ですよ。ほら、かぐや姫とかにも出て来るでしょう?」
確か、かぐや姫は別れ際に、帝にこれを渡していたはずだ。
「まあ、お察しの通り、お別れなので」
「——」
言葉は喉の奥で詰まる。わからない。別れなんて、自然なものだと思っていたから。
「迎えが来ると、もう何もできませんからね。私の意思とは関係なく連れていかれます。——天の羽衣の技術の応用です」
「じゃあ、もう――」
「いつ来るかはわかりませんよ。まあ、せめて、花火は見てから帰りたいです」
静まり返った空気。
周囲の雑音は耳へと入らない。
真横を向く。月明かりに照らされた彼女。夜空を眺め、星を探す彼女は。
「多分、すっごく、綺麗ですから」
——明るく、笑っていた。月のように明るく、それでいて、悲哀に満ちた、そんな雰囲気の表情。
俺は、精一杯に口角を上げた。言葉は出なくても、せめて、あの笑顔だけには、答えるべきだと、そう思ったから。
/5
光の線は空へと登る。音と共に弾けて、暗闇に光を写す。
それは、一瞬の輝き。されど重なり、絶え間なく。
赤、青、緑、様々な光が、真っ黒な空のキャンパスを彩っていく。
「消えてしまうから、美しいと思うんです」
笛の音が夜空に響く。彼女はまだ、真横に座っている。
「美しいものって、だいたいが期間限定なんです。そうでもないものもたくさんありますけど、毎日見てると、飽きてくるってものでしょう?」
音と共に光に照らされた彼女の横顔は、俺なんかじゃどうしようもできないなんて、一種の諦観を覚えるほどに、美しかった。
「私たちが普段見ている景色も、案外、美しいものかもしれませんよ」
彼女は空を見上げている。空なんて曖昧なものに、彼女ははっきりと焦点を合わせている。
「——だったら、いいですね」
「……やっぱり、全然捻くれてないんですね」
彼女の目線は、今や、目の前に向けられていた。
「いいことだと思いますよ、それは」
そう言ったっきり、迦夜さんは何もしゃべらない。
やがて、花火が終わるころ、彼女はその足を一歩前へ――。
***********
——これまで、俺は自分のことを普通だと称してきたが、そういえば、俺は一度だけ、世の中でいう所の普通という枠組みから外れかけたことがあったのだった。
それは中学の頃、忙しさからか、輪郭の掴めない不安に耐えきれなかったのか、詳しくは覚えていないが、俺は学業を放り投げた。
授業は寝る。宿題はしない。テストは白紙。
——それでも、そんな、何のために学校に行くのかわからないような状態でも、俺は毎日机に座っていた。
いっそ不登校になればよかったのに。自分も、教師も、そっちの方が楽だっただろうに。そうしなかったのは、多分、怖かったからだ。
俺は将来なんかどうでもいいと心の底から思いながら、決定的に道から外れることだけは出来なかった。
証拠に、俺は高校に進んでからはある程度真面目に学生をすることができた。あとが無くなって、半端者はようやく道を決めた。流されるままに、無難な方へ。
*******
花火が終わり、空は静かな黒色に戻る。
たった一瞬、瞬きをする間に、迦夜さんは俺の目の前から姿を消した。
仕方ないことだ。わかっている。こんなことは、何度も経験してきた。
永遠に続くかと思えた退屈な夏休みは、過ぎて見れば一瞬だった。
ずっと子供で居られると思っていた。気付けば俺は大人だった。
祭りは終わる、そうして、誰もが日常に帰るのだ。
夢からは覚めないといけない。だって、俺の/彼女の居場所は、ここじゃないんだから。
寂しいけれど、名残惜しくて仕方ないけど、夢から覚めたなら、戻らなくては。
月を見上げて、何かを探す。輝く光は柔らかい。太陽はとても直視できないけれど、月なら目は潰れない。
ポケットから不死の薬を取り出す。
空に向け、緑色の液体を光で透かす。
「———ああ」
光を通して、朧げに浮かぶ。
雲と、空を飛ぶ馬車のようなもの。
それはゆっくりと、空へと遠ざかっていく。
「なんだ、そういう――」
瓶のふたを開け、中身を一息で飲み干す。
そうすると、はっきりと、空を飛ぶものが見えるようになる。
迦夜さんはずっと、空に浮かぶあれが見えていたんだ。
——迦夜さんが月に連れ戻される理由として、不死の薬の効果が切れるから、そう語っていた。なら、迦夜さんが不死の薬を持たされているはずがない。なら、作ったのだろう。
なぜ。
いつか再会するため。否、薬の効果は三か月で切れてしまう。
なら、多分、この景色を、俺に見せたかったからだろう。そして、連れ戻してほしいから。
迦夜さんは助けてとも、帰りたくないとも言わなかった。理由は痛いほどわかる。怖いからだ。社会の、迦夜さんだと月の、常識から外れてしまうのが、怖かったから。
その気持ちは俺も知っている。だから、あの頃から十年ほどたって、あの時俺は何を求めていたのか、理解しているつもりだ。
俺は、誰かに手を引いてほしかった。一緒に逃げてしまおう、そう言って、どこか遠くに俺を連れて行ってほしかった。
迦夜さんは俺にとって、間違いなく非日常だった。退屈な日常から、一歩抜け出させてくれた。だから、俺は期待していた。このままどこかに連れて行ってくれるんじゃないかと。
「——そんなの、大間違いだ」
俺が、連れていく。
そうだ。必死になって誤魔化して、何やら感傷に浸っていたけど、お別れなんてしたくない。
だったら、続きをしよう。
道は開いた。ようやく、走るべき道を見つけた。
どこかに行きたかったんだろう?
——なら、後は走るだけだ。
/6
指先をナイフで切り裂く。指先から零れた血は数秒後に、時間が巻き戻るかのように指先へと戻っていく。そして、傷は完治した。否、初めから無かったことになった。
――このタイプの再生なら、いける。
これは、教室の隅で考え続けた妄想だ。それが現実で実行できるなんて、本当、わからないものだ。
用意したのは、鉄板が二枚と、チェンソー。
鉄板はL字に組み合わせる。そのうち片面は、俺が乗れるほど大きく。
そうして、チェンソーで俺の足を切断する。足は再生しようと俺の体に近づくが、鉄板に阻まれて再生できない。だが、再生しようと俺の足へと近づく力は働き続ける。それを動力にして空を飛ぶ。
馬の目の前に人参をぶら下げるようなものだ。
材料をそろえて、町工場に侵入する。
鉄板を溶接する。
近くにあった荷車を拝借し、鉄板の下に固定する。
――多分、これで飛ぶだろう。
場所は道路、急な一メートルほどの起伏。これをジャンプ台にして、空へと飛ぶ。
ここまで三十分。空へと登る車はまだ視界に映っている。
ずっと、憧れていた。全力で戦う少年に。全力で夢を追う少女に。
画面越しに見たその姿は、どうしようもないほど眩しく思えた。
——もし、もしも、俺にその機会があるのなら。
「命だって、惜しくはない」
ようやく巡ってきた幸運。一生に一度の大舞台。
だから、精一杯に格好つけて、ゼロになるまで、出し尽くして。
「——よし」
両手で頬を叩く。
鉄板の上へと乗り、チェンソーで両足を切り落とす。
視界が途切れる。
刺すような、灼けるような痛み。
思考なんて、無意味だった。
それでも体を動かすのは、焼き付いた意思。
加速する視界。再生しようとする足は加速度的に力を増していく。
空気を切り裂いて、飛び立った。
バランスをとって、方向を定める。
月へ、輝くあの場所へ。その直線上に、あの馬車は飛んでいる。
空は、想像以上に近くにあった。
広大で、何もない空間。どこにも、俺を遮るものはない。
下は見ずに、前へ。
思考に意味はない。
それの原因は痛みと、もう一つ、精神汚染のようなもの。迦夜さんは曰く、天の羽衣の応用。かぐや姫でも、人々は戦う心を失ったという描写がある。
よって、思考は出来ない。ならば、思考などする必要をなくすればいい。
要は、あの馬車を破壊すればいいのだ。幸い、俺も迦夜さんも、ちょっとやそっとのことじゃ死にはしない。
馬車へと近づいていく。
白紙の思考。
やることは単純。ただ、バランスを取り、前を向くだけ。それともう一つ、トリガーを引くだけ。
馬車と鉄板が衝突する。
一瞬、彼女と目が合った。
それは、指先を動かすには十分だった。
手元のトリガーは着火ライターのもの。それは、鉄板に括りつけられたガス管に繋がっている。ガス管は左右に二つ。この馬車を破壊する程度、造作なく行えるだろう。
閃光、爆炎。
その中で、手を伸ばした――。
「————」
爆散する四肢、途切れた視界の中、何かを掴んだ。——気がした。
「——巴さん!」
目を開く。
俺の手は確かに、迦夜さんの手を握っていた。
月を背に、彼女は笑う。
「もう……死ぬかと思いましたよ」
「俺も、二回は死んだ」
目を合わせて、また笑う。
「でも、すっきりしました」
迦夜さんは振り返る。
見上げずとも、星空は目の前に広がっている。空は深く、黒く、無数の鮮烈な輝きを包み込んでいる。
そして目の前には、大きな、大きな月が――。
「帰るもんかーーーー! バーカ!」
叫んで、また笑う。
俺は、後ろを振り返っていた。
青い星、緑の星。山に囲まれた閉塞したあの場所も、アスファルトで覆われた狭苦しいどこかも。ここからは見えない。
——けれど、こんなにも。
街の喧騒は聞こえない。わずらわしい虫の声も聞こえない。
——けれど、だからこそ。
全部が嫌いで、どこかに行きたくて、でもいざこうして遠くから、今まで自分のいた場所を振り返って見ると。
——ああ、こんなにも、綺麗だったなんて――。
落ちていく。星の力に引かれ、真っ逆さま。
「私、どうなっちゃうんですかね」
迦夜さんは十分笑ったのか、一息つくと、小さく呟く。
そういえば、荷車は借りたまま返せなくなってしまった。ガス管はその辺の家のを引っこ抜いてきたし、俺も立派な犯罪者だ。迦夜さんの抱えている問題なんかと比べればちっぽけな悩みかもしれないが、それでもなんだか怖くなってきた。
「ま、何とかなりますよ」
たとえ怖くとも、何もないよりはましじゃないか。
結果として、俺がこれからどれだけのものを失うかはわからない。夜空に飛び出して、その結果が墜落なのか着地なのか、理想はそのまま羽ばたくことだけれど、なんにせよ、得たものは変わらない。
たとえ世界に拒まれようと、成長の末にすべてを失おうと、人生は、日常は、そう簡単には終わっちゃくれない。
その壁を叩き割ったのだ。俺は、俺たちは、どこまでも走っていける。
青空に手が届く 空式 @abcdefddd
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