最後の手紙

あれから翡翠は記憶が曖昧になっていた。でも私の事は覚えているらしい。

「和仁さん、今日はお願いしますね。」

今日はお手伝いさんだと思われているらしい。今日も渡せないか書いてきた手紙をバッグの下に詰め込んだ。

「しっかし吃驚しました。こんな風に出かけに行こうと。」

「人使い粗くてごめんなさいね。免許がなくて。」

「しょうがないですよ。」

車内は懐かしかったがどこか寂しさもあった。

「着きましたよ。やっぱり混んでますね。」

着いたと同時に暗闇の中に一輪の花が咲いた。翡翠の無邪気に笑うのは昔と同じだった。

「さてと分かっていると思いますが疲れて寝るということがないようにですよ。」

「分かってるよ。早く屋台に行きましょう。」

私たちは食べ歩きをして花火を見た。昔と変わらず屋台の食べ物は行くところが変わっていなかった。ずっと歩いていただろうか。少しうとうとし始めた。

「眠そうですけど、大丈夫ですか。」

「少し座りたいな。」

私はベンチを見つけて座った。しかし危惧していたことが起きた。それは翡翠が寝てしまった事だ。説明を考えるのだがいい説明が思いつかない。それに話を合わせないといけないのでどうすることもできない。すると大きな花火が打ちあがった。その音で起きてしまった。

「和仁ここはどこ。」

「昔来た、花火大会だけど。大丈夫。」

「約束覚えていたんだね。私全部思い出したよ。言えなかったことを言うね。」

「その前に渡したいのがあるんだ。読んで欲しいんだ。」

そうしてやっと手紙を渡した。一通の手紙だけれども3000以上の手紙。読み終わったらしくそっと耳打ちされた。

「私も同じ。待ってくれてありがとう。」

長い時を得てやっと届いた。

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3000以上の手紙 楓 紅葉 @sperk

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