清旧抄

磐長怜(いわなが れい)

清旧抄

短夜は 雨の帳に 片目閉じ

風遊ぶ 葉の裏は白 半夏生

御影石 蝸牛の跡は 長々と

荒南風よ 殴れや殴れ この阿呆

雨上がり 咲き初める香に 青揚羽

あなた待つ 風鈴寺が 暮れかかる

踊りゃんせ 会いたいあなた 見えずとも

ヒヨドリを 真似る水笛 返事なく

梅雨空に 蛙も人も 恋になき

鈴虫の 密かに交じる 夜がくる

雲流れ 天上に降る 曼珠沙華

感傷は 野分が斬って 捨てようか

推敲も 十六夜の下 まよう指

振り向けば 十月桜 手招いて

マヨイガで 月を丸呑み 十三夜

すすき薙ぐ 風に我が身の 澱も散れ                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

十日夜 案山子の顔も 誇らしげ

短日は つるべ落としよ さあ帰ろ

初雪や 山茶花の色 紅にして

非人情 なれず仕舞いの 草枕

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清旧抄 磐長怜(いわなが れい) @syouhenya

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