第2話 人生最初の日
マニーレックは母、フリエット腹の中から父、トズロッドのご子息として生まれた。
「第一の国 教師の国へ。」
生まれた瞬間、skiqquと呼ばれる謎の生命体から、声が聞こえた。
これからこの小さな赤子のエルフは、少年となり、青年となり、この世界を一つにする。世界を救う。
へその緒がついた赤子を母、フリエットは両手に抱きしめた。
それから6年がたち、マニーレックは生まれて自分がプレイヤーという階級に生まれた事を知った。
「スキック。ねえこえきこえる。スキックってば。」
[ご用件は何でしょうか。マニーレック様。]
「ボール遊びでもしない。」
[不可能です。ご主人様。」
このスキックという謎の生命体はAIのように聞かれた質問になんでも答えてくれる。
生まれた時から彼の声が聞こえていたため、マニーレックは少しずつ言葉を覚えていった。
「スキック。もう学校に通う年になったよ。気が合う友達見つけられるかな。」
[きっと見つけられると思います。]
マニーレックは学校に通う年齢になっていた。
この国はシャトール王国。教師の国と呼ばれている。戦闘魔法が盛んで教師ランキングが設定されており一位が王様になっている。
「NPCの分際で口答えするな。」
「レナフィ。もっと思い切り殴って見てください。」
この国は転生前の宙気貝炊が生まれた場所だった。しかし前世の記憶はまだないため、マニーレックは気が付かなかった。
「おいこらやめろ。NPCをいじめるな。」
マニーレックはNPCをいたぶるレナフィらに虫唾が走り止めに入った。
「あ、誰だあのチビ。」
「どうやら殴られてえようだな。」
レナフィらに目をつけられたマニーレックは殴られてしまっていた。
「おい。こら。誰に向かって口聞いてるんだ。」
レナフィらにみぞおちや肩を殴られマニーレックは意識を失いそうになっていた。
「やめなさい。雑魚がもっと雑魚を打ちのめしてるの見るとイライラするの。」
レナフィらは相手が誰だか気付かずマニーレックと同じ態度を取った。
「お前もやられてえようだな。」
軍団の一人が彼女の存在に気が付いた。
「レナフィさん待ってくだせえ。あいつもしかして銀翼のジェシエルですぜ。」
「まじかよ。あの年間生徒ランキング4位のやつか。ちぇ。ずらかるぞ。」
ボロボロになったマニーレックを見て彼女は予想外の言葉を放った。
「ダッサ。女子に助けてもらう男子ってどうなの。もっと力をつけなさい。」
そういうと彼女は去っていった。
「生まれ変わったら女子がいいな。」
マニーレックは思わず願望を吐いた。
マニーレックが家に戻ると母のフリエットが心配そうに体を確認した。
「ボロボロじゃない。どうして服がこんなに汚れるの。誰かと喧嘩でもした?」
マニーレックは母親に泣きついた。
「うわーん。怖かったよお。」
年頃の少年にはあまりに強烈な出来事だった。
しかしマニーレックはジェシエルの言葉を思い出した。
「ダッサ。」
マニーレックはしばらくして泣き止むのをやめ親に相談した。
「もっと強くなりたい。」
「いいわ。教えてあげてトズロッド。」
「ああ分かった。」
裏庭でマニーレックは父親のトズロッドの稽古を受けた。
「違う。もっと腰を下ろして前かがみになる。
まずは剣を振る速度を上げないとな。速さは力になるし相手の隙をつけるようにもなる。」
「はい。トズロッド父様。」
それから剣術や格闘術を教わった。
「回し蹴りはもっと強く相手の膝を狙え。」
「はい。」
「手刀はもっと早くしないと攻撃にならないぞ。」
「はい。」
「よし今日の格闘術はこれくらいでいいか。次は魔法術を教えよう。」
「ま、魔法。」
トズロッドの魔法授業が始まった。
「まずは水魔法だ。水晶玉のように球体を手で操作する感覚で動かせ。」
「見えない水晶玉。わっ。」
水魔法はマニーレックの服に付きながら落ちた。
「水をためるのはうまくいったが落としてしまったようだな。」
「服がびしゃびしゃだ。」
もっと感覚的に触るように意識するんだ。手から擦り落ちないように威力を込めて放て。」
「見えない水晶玉。手で触るイメージ。」
マニーレックの手の先に水の球体が現れていた。
「それで放つ。」
すると水の球体は分裂しシャワー状になって消えてしまった。
「くそっ。」
トズロッドはマニーレックの肩に手を置いた。
「仕方ない。最初はこんなもんだ。少しずつ上達していけばいい。」
それで一日の修行は終わりを迎えた。その日の夜マニーレックは明日から学校に通うという事実にとても緊張していた。
「学校うまくやれるかな。スキック」
[マニーレック。あなたが親切なら周りも優しくなるでしょう。]
それからスキックはある話を始めた。
[マニーレック。今からあなたには前世の記憶をお見せします。学校に入る前の日の夜にここ情報を伝えてほしいと神から仰せたまっています。]
「ぜ、前世の記憶を見せる。」
それからマニーレックの脳裏には前世で起きた出来事が映し出された。
「昔はNPCだったんだ。選挙を変えようとして殺されている。」
マニーレックはその情報から現状と照らし合わせ始めた。
「今の階級はプレイヤー。NPCにはできなくてもプレイヤーならこの国を変えられるかもしれない。」
マニーレックは神様との会話を思い出していた。
「生まれ変われるのは3回まで、これで一回目。無駄使いはできないな。」
そうして前世の記憶を見せられたマニーレックは瞳を閉じて寝始めた。
IGNITE DELETE LIE 貝袖 萵むら @yumakureo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。IGNITE DELETE LIEの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます