如何にしてわたしは小学校に通えなくなったかーその1

 わたしの身長は一夜で120センチから130センチになりました。

その日はちょっと服がきつくなってる気がするってくらいですみました。

なんだか服を着替えるのが難しい感じがして、きつい感じで動きにくくなったんです。

「もえこちゃん、せがたかくなってない?」

ってお友達の桃子ちゃんが言ってきました。

桃子ちゃんはわたしと同じくらいの身長だったはずです。

でも今日はわたしのほうが高いんです。

とりあえず気が付かなかっただけで、いつの間にか以前測った時より背が10センチほど伸びていたということでみんなで納得しました。


 その次の日です。

わたしの身長はさらに20センチ伸びてんたんです!

ありえないことです。

わたしの前世がキヌガサタケだったとでもいうのでしょうか。

これで身長は150センチです。

クラスで一番背が高いですね。

少し気持ちがいいかもしれません。

とはいえ、さすがにパパもママもこれはおかしいと気づきました。

わたしのSPさんたちも驚いてます。

ママが病院で精密検査を予約してくれました。

体に合わなくなった制服を無理に着て学校に行きます。

教室に入るとみんなも驚きました。

明らかに気の所為なのではなく、昨日より背が伸びてるんですから。

「もえこちゃんシークレットシューズ履いてるの?」

「そんなことないよー? 学校指定の上履きだよ?」

靴のサイズが合わないのでかかとを踏んでいます。

お行儀が悪いですけど突然足が大きくなったのでしかたありません。

先生に注意されたら事情を説明して納得してもらおうと思っていました。

でも先生も『担当クラスの女の子の身長が2日で30センチ伸びた』という異常な出来事のほうに気を取られたようでわたしの足元は気にされてないようでした。

上履きの後ろを踏まなければならないのでは、まともに体育の授業は受けられません。

残念ですが体育は見学です。


 そのまた次の日です。

わたしの身長がさらに前日より30センチほど伸びていました。

180センチの身長はパパとママより背が高いです。

大人でもこれは日本人としては高い身長です。

わたしもパパもママもSPさんたちもびっくりしました。

今日は学校をお休みすることになってます。

病院で精密検査をしてもらうのです。

靴はすっかり合わなくなっているので足元はサンダルです。

服ももう合わないので、それでもサイズが合わないのですがママの服を借りました。

病院での検査では、あらためて身長と体重を計測しました。

身長は180センチ、体重は60.75キログラムです。

前に測った時は120センチ、18キログラムでしたのにこれはおかしいです。

そして次の検査では更に異常なことが起こったんです。

血液検査の際、どうしても針が腕に刺さらず、血液を採取できませんでした。

検査技師の人は、『どういうわけか皮膚がありえない強靭さをもっているのでは』と言っていました。

異常はさらにつづきます。

CT検査でもMRI検査でもわたしの体内の画像を得ることができなかったんです。

わたしの皮膚は針が刺さらないだけでなく、X線も磁力も通さなくなっているようでした。

お医者さんは検査の結果というか検査そのものが身体測定くらいしかできなかったと、わたしの急成長の原因として今までにない症例でまったくわからないという結論を出されたようです。

お医者さんは、「乱暴な考えですが」と前置きしたうえでとりあえず食を断ってみるという提案をなさいました。

わたしの体を作る材料は普通に考えて食べ物から来ているから、食事をしなければ成長はとまるかもしれないということでした。

病院で、お腹の中を空っぽにして行う検査や治療の前日に食べる検査食をもらいました。

腸内残留物はほとんどなく、必須栄養素と最低限のカロリーは摂取できるというふれこみです。

少なくとも今日と明日はこれだけで過ごそうと思います。


 そしてさらに次の日、わたしの身長が急に伸びはじめて4日めの朝です。

わたしの身長は昨日に比べて40センチ伸びてました。

みんなわたしを見てぽかんとしてます。

身長は約220センチ、体重を測ると約111キログラムです。

わたしに合う服も靴もなくなりました。

この身長に合う制服や普段着、靴、下着と言ったものを用意するとなると特注になります。

でも、今の身体にあわせて服を作ってもらったとしても、身長の伸びが止まらないかもしれません。

明らかに科学で説明のつかないことが起きてますが、とりあえずできそうなこととして絶食があります。

何も食べなければ身長も伸びないし体重も増えるわけがないという理屈です。

謎の急成長が止まるまで水とお茶だけで過ごしてみたいと思います。

服無しで小学校にはいけません。

成長が止まって身体にあった服を作るまでおやすみです。

わたしは勉強の遅れとか気にしないでいいですし。


 裸でいるわけにもいかないので、身体にはシーツをまきつけています。

なんだかてるてるぼうずみたいですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

女子小学生日記 @Spirits90ABV

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ