第4話「ギルド、そしてクエスト」

思わず自らの正体をギルドの中で明かしたシルバは、自分が王宮に追われていた事を思い出すが……。


(ヤべ、いつもの癖でつい名乗ってしまった……王宮に追われてるのに……。)


(大丈夫だYO。大……シルバは王様達の前で自分はダイナセーバーの1人、ダイナシルバーだって言っていないからだYO。)


(そ、そうだったな……。)


急にテンション高めで自己紹介をしたと思ったらヒソヒソと話をするシルバとシャインザウルスの様子を見て「この人達大丈夫か?」と感じたアシュレイは、それはそうと早く手続きを済まさせようとシルバに促す。


「ねぇ。」


「なんだ?」


「受付の人固まってるよ。早く手続き済ませなよ。」


「そ、そうだな。おーい姉ちゃん?」


「……はっ!シ、シルバさんの冒険者登録ですね!では冒険者カードをお作りいたしますね。このカードは冒険者としての証明書であり、自分のステータスを確認する為にも使われるものなんです。今からお作りいたしますので少々お待ちください。」


「あぁ。」


受付の女性に冒険者カードを作る時間待っていてほしいと言われたシルバは、アシュレイと共に数十分程ギルド内の椅子に座って時間を潰し、そして受付の女性に呼ばれたシルバは受付で冒険者カードを受け取った。


「これで貴方も冒険者ね。初心者はEランクからのスタートだけど、冒険者として活躍していけばランクは上がるわよ。」


「そうか!ステータス?を見れるって言ってたけど……ここを押せばいいのか?」


先程から「ステータス」というものが何なのか気になっていたシルバは、カードに記されていた丸いマークをポチッと押して自分のステータスを確認する為のウインドウを出現させた。


「なるほど……これが俺のステータスか。」


「一体どんなステータスなのかし……ら……!?」


以下、シルバのステータスだ。



古代戦隊ダイナセーバー

6人目の戦士

白銀の閃光 シャインシルバー


変身アイテム

キラメキブレス シャインチェンジャー


使用武器

キラメキ剣 シャインブレード


身長 195cm

パンチ力 5.5t

キック力 13.3t

ジャンプ力 18.8m(ひと飛び)

走力 4.8秒(100メートル)


使用可能なダイナミックカード

シャインザウルス

バーンラプトル

アイスラプトル

ダイナアクセラー

マッスルザウルス

スピードザウルス

パラソルドン

モクモクドン

キコエラプトル

ミエラプトル



シルバのステータスウインドウに写された彼のステータス表記を見て、アシュレイは鳩が豆鉄砲をくらった様な表情になってしまった。


「……何これ。」


「何これって……これがステータスってやつじゃねぇのか?」


「いやおかしいわよ!普通、体力200、筋力100、速度80、耐久力95、魔力150って風に映されるのよステータスは!こんなステータスの写され方初めて見たわ!」


「そーなのか?」


「うーん……でも、パンチ力?とかキック力……っていうのがある程度高いみたいだから、モンスター退治とかはできるみたいね。魔族の相手をするとなるとキツイかもしれないから、とりあえず初心者用のクエストを受けましょう。とりあえず3日程生活できる程のお金を報酬金として貰えるクエストを__」


「これにするぜ!」


アシュレイが今からクエスト選びをしようと提案しようとした時にはシルバは既にクエストボードから張り紙を持ってきており、その内容は「3つ首グマ4頭の討伐」だった。


「早っ!ていうかそれ危険度B級モンスターの討伐クエストじゃない……貴方には早すぎるわ。別のものにしなさい。」


クエストのレベルはB級と上級者向けのクエストなので、アシュレイは即座に別のクエストにしろと言うが……


「いや、もう受注しちゃったよ。」


「は!?私に相談してからにしなさいよ!!」


「わ、悪かったよ!でも……」


「でも何よ!」


アシュレイはシルバの勝手な行動を咎めるが、シルバはそのクエストを受けた理由を彼女に説明しようとする。


「ここの依頼人の説明を見てくれ。「私の村にはモンスターを入れない為の結界が貼られていたけど、魔族に結界を破壊されてモンスターがいつ入ってきてもおかしくない」だとよ。困っている人間を放っておく訳にはいかねえだろ!」


「で、でも貴方は初心者冒険者で……」


「俺の仲間が言っていた言葉だ。相手がどれだけ強くても、その相手に苦しめられて困っている人がいるからにはヒーローが逃げる訳にはいかない……てな。」


シルバが言ったその言葉は、ダイナブルー、雷堂鱗也(らいどうりんや)が自分に言ってくれた言葉だ。

弱き者を敵から守り抜き、正義を貫く……それがシルバ……いや、白亜大雅が進む事を決めた道である。


そして、シルバの決意を感じたアシュレイは彼が3つ首グマの討伐に行く事を許すことにしようと決めた。


「そう……危なくなったら帰還の魔法ですぐにこの街に戻ってくるわよ。」


「じゃあ……?」


「行きましょう。3つ首グマの討伐。C級冒険者の私で良ければお供するわよ。」


「マジか!ありがとな!」


シルバはアシュレイにクエストに行く事を許された事が嬉しく、彼女の手を握って感謝の意を示す。

だが、純粋に嬉しさから彼女の手を握ったシルバに対して、男性と手を握った事が無かったアシュレイはテンパってしまう。


「〜!!て、手を気安く握るな!!」


「ご、ごめん……。」


「い、行くわよ。目的の街まで馬車で行くから。」


「その必要は無いぜ!」


「え?」


クエストの目的地はこの王都から10キロ以上離れた所にある村「カルデ村」で、その距離を移動するには馬車は不可欠なのだが、馬車を借りようとするアシュレイにシルバはストップをかけ、そして「馬車よりも速いもの」での移動を提案する。

その馬車よりも速いもの、それは……


[ダイナアクセラー!サモンゴー!]


ビュウゥゥゥゥゥゥン!!


「な、何これぇぇぇ!!」


「ははっ!速ぇだろ!俺様専用の愛車、ダイナアクセラーだぜ!」


その速度に驚きを隠せないアシュレイに、シルバはダイナミックカードによって召喚した大型バイク、ダイナアクセラーを自慢げに紹介する。

2人はダイナアクセラーに乗りカルデ村へと続く道を走っていく……。





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異世界召喚された戦隊ヒーローの追加戦士、追放されたので我が道を行く ヒカリ @karutake

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