「太陽帆船」を読んで

@blanetnoir

 


わたしが中村森さんの作品に出会ったのは

確かまだTwitterと呼ばれていた時代のTL上で、



本の帯にも掲載されている3つの作品が

添えられたイメージ画と共に目に飛び込んできて、

とても鮮烈な出会いでした。



レジンなのかプラスチックなのか、

透明な素材に歌が白い彫りで刻まれたキーホルダーが作られていて、


どんな推しでもグッズを欲しいとあまり思わないわたしが、

これは欲しいと思ったのを覚えています。


ツイートされる作品にはどれも目を奪われたし、

サブ垢で呟かれる日常の思いや作品のリツイートを見ながら

森さんは今どんな人を想っているのだろう、と思いを馳せることもあったなあ。



わたし自身は短歌を詠んだことはないけれど、

森さんの紡ぐ歌は31文字なのに

映画のワンシーンやショートムービーを見るような感覚があって、

こんな作品をわたしも作りたいと何度も思いました。

その気持ちは今も変わらないです。



森さんの第一歌集「太陽帆船」は2024年のホワイトデーに初版が刊行され、

重版が3回かかったと聞きました。

歌集の出版事情には明るくないですが、

どんなジャンルでも重版はすごいことだと認識しています。

これからもいろんな人の手に渡って、

この美しい歌が伝わっていくんですね。



TL上では有名な歌を繰り返し目にしていましたが、

「太陽帆船」には138ページの中に歌が並んでいます。

どのページをめくっても瑞々しくて、

大変贅沢な一冊です。




ちなみにわたしは「祝祭」の歌が特別に好きで、

実は2021年3月に投稿した「黒い祝祭」はまさに

森さんの「祝祭」の歌を読んでうけた衝動と、

その時の思いを書いた文になります。



今「黒い祝祭」を読み返すと、

(こんなことを当時思ってたのか、、、)と今では懐かしくなります。

憧れの人への当時の思いを書いていますが、

憧れの人が誰なのかは、覚えてます。


当時のわたしは多彩なその人を、透明な気持ちで愛せなくて、

どず黒い自己愛、自己達成欲が強すぎて、

憧れの人と同じ才能を手に入れたくて仕方なかったんだなと

今なら冷静に分析できます。



時間が経って、改めて「祝祭」を読むと

やっぱり透き通った美しい空気の満ちた、愛の歌だなと

好きな作品で、

森さんとの出会いのきっかけだったという思い出も乗って

一番の席に君臨しています。

でもきっと、これからまた思いは更新されていくんだろうな。




作品を読んだ脳裏に絵が浮かぶような、音が聞こえるような、

五感を全て刺激されるような

そんな作品を紡ぐ森さんのこれからの言葉に

これからも一読者として触れることができれば嬉しいなと思っています。


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