応援コメント

シアハニー・ランデヴ(前編)」への応援コメント

  • デュランにとってアネモネと一緒にいた時間が唯一の宝物、そして捨てられないものになってしまっていたということですね。
    もし女の子がどうにかなっているのを見逃したら、それすらも失ってしまうということになるでしょうから……

    作者からの返信

    たたみや様、応援コメントありがとうございます
    そうです、母を亡くしたデュランにとって、この時点で母との思い出も薄らいでいるデュランにとって、唯一の宝物でした
    デュランにとって、生きている理由は……『たったひとつ』しかありませんでした
    そのたったひとつを揺るがされたとき、彼には、こうすることしかできなかったのだと思います
    冷静であれば、致命傷にならない部分を撃つことや、そもそもボスに少女の命乞いをする(ボスの説得を試みる)など、比較的穏当な手段を取ることはできたはずなのですが

    末路としては……暴漢の手からアネモネを『助けた』ときと、同じ結果になりました
    血と汚濁に塗れすぎたデュランは、『人の命を助けようとする』時でさえも、血に塗れることしかできなくなっていた……

    『父』を完膚無きまでに壊したデュランが背負った因果の応報として

    『父』と呼べるかもしれなかった存在を自ら壊さなければならなかったという理由もありました

    そもそも、このマフィアのボスも、様々な人間の血と屍の上で生きてきた悪魔でした
    遅かれ早かれ、『誰か』に襲われて死ぬさだめだったボスの因果もまた、ここで終わりを迎えたのだと思います

    編集済
  • 人を知るとは その人の人生の一部を知ること

    この話のデュランしか知らない人は
    ここまでのデュランを知らない....
    こんなに残酷な人だとしか

    同じように このボスにも子ども時代は
    あったのでしょう

    登場人物すべてが ....
    デュランの父親の家族にも

    例えば デュランの異母兄弟にも
    父親が変わり果てた姿で戻ってからの
    人生があるのだと思います

    視点を変えて他の人物を主役にすると
    また 全く違う物語のように見えるでしょう

    私たちの人生も
    同じように 登場人物すべてに
    子ども時代から晩年までの物語があり

    しかし交錯した限りでしか
    互いを知らないのだと 感じます

    でも、知っていると思っている
    限りを精一杯生きるとは
    そういうことですね....

    作者からの返信

    @kitakamakura様、ありがとうございます。
    感想をいただいてから、どうお返事をしたらいいのか、ずっと悩んで、迷っておりました。
    自分の浅い内面を見透かされてしまうのではと、怯えがありました。

    しかし、取り繕っても変わるわけではないと思い、思ったままを綴らせていただきます。

    ボスにも、過去がありました。彼が暴力をいとわなくなるだけの過去が。マフィアのボスに成り上がるための苦労が。しかし、デュランにとっての逡巡の末に、彼の命は奪われてしまった。ボスには人間味がないわけではありません。人並みの感性がなかったわけでもありません。彼もまた壊されてしまった人のひとりでした。だからといってすべてが許されるわけもなく、ここでデュランに殺されなくとも、いずれ誰かに命を狙われていたでしょう。その人生の厚みを、積み重ねを表現できるような作家に、なりたいです。

    そして、デュランの異母兄弟のネイサンは、次の話で出てきます。デュランが幸せな家族に対して与えた苦痛が、どのような結果をもたらすのか……精一杯、取り組みます。読んでくださって、また、感想をくださって、ありがとうございます。@kitakamakura様のお言葉を、何度も噛み締めて、繰り返し読んでおります。

  • アネモネだけがデュランの中に残る最後の人間味ですね……。
    しかし、助けてくれて子供のようにかわいがってくれたボスが……。
    またとてつもなくつらいものを背負ってしまいましたね。
    逃げないといけないのかなあ。

    作者からの返信

    奇蹟あい様、コメントありがとうございます。
    ボスは、デュラン視点では、そう悪くない、人情や愛情すら感じる父親のような人物として意図して描いておりますが、ボスもまた、罪深い人間です。

    彼も彼の人生があり、彼も彼の選択をして、今の立場にたどり着いています。彼なりの理論があり、彼なりの美学があり、彼なりの理想がきっと、あったのでしょう。ボスもまた、環境の被害者という側面を持っています。

    しかしそれは、彼の語る理想は、多くの人生を踏みつけて壊さないと成立しない偽りの楽園でしかありません。仮にボスの理想(〝天国〟より美しい場所を作る)が成立したとしても、それは恐怖政治での締め付けにすぎず、ボスが死んだ途端元通りになって終わりです。

    犯罪組織に属するということを、人を傷つけ続けて生きるということを美化したくない……どれだけ美辞麗句で飾り立てようと、一見、どれだけ崇高な願いに見えようとも、魂からの叫びであろうと、その本質は変わらないんだと思っています。
    ボスは、デュランのIFの姿です。
    もしデュランが人間性を完全に失っていたら、どうなっていたか……。きれいなものを夢見て縋ったとしても、そのための手段が人を傷つけることしか取れなくなっていたら……結果、どういう末路を辿るのか。

    綺麗事であることはわかっています。でも、せめて物語の中でくらい、人を傷つけてはいけない……人を傷つけないという選択は正しいんだ、大切なんだ、傷つけないでいる人はすごいんだと叫んでいたいと思いました。