嘘を重ねた男と、罪を重ねた男。
二人の血は繋がっていた。、
作者からの返信
愛田 猛様、この……えぐくも重たい話を読んでくださって応援コメントもありがとうございます。ご負担が大きかったのではないかと思います。ご無理をなさらないでください……。
デュランとデュランの父は、どちらも嘘つきです。デュランは痩せ我慢や、強がり、どちらかと言うと他人のために嘘をつきます。
デュランの父は自分のために嘘をつき、しかもその嘘に罪悪感を持たない精神性です。
デュランの父は、様々な女性を騙しているため、デュランやデュランの父が知らないところに血脈は広がっているのかもしれません。
……この時点で、デュランはもう後戻りができない状況になってしまっております。彼がどういう終わりを迎えるのか、描き出せるように頑張ります。
今作を読んで
「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ」というニーチェの言葉が
まず浮かんだ
その有名な言葉には 前段がある
「怪物と戦う者は 戦ううちに自分も怪物にならぬように用心せよ」
...ニーチェは『善悪の彼岸』でこう警告している
この作品は、理不尽という深淵を覗き込んでいる
目に見えない理不尽に苦しんでいる人は
現代にも多くいるだろう
ジャック氏の筆は
深淵を逃げることなく直視した試みだと
思う
作家とは作品で天地創造する神であり
聖も魔も揃えていなければ
本物にはなれない
イミテーション・ヒーローで
類いまれなほどの澄みきった読み味と
聖なる光を表した作者は
今作では 闇に怖れず踏み込んだ
ラピュタで魔法が本物になるために
シータが滅びの言葉を継承しなければ
ならなかったように...
アポロン的なるものと
デュオニソス的なるもの
人間には 二つの顔が眠っている
それを描き出そうという試みが
ジャック氏の渾身のBottom of the HELL
と言えるだろう
続きを 楽しみにしています
作者からの返信
@kitakamakura様、応援コメント、本当にありがとうございます
この話は……この話こそが、この物語の中核でした
壮絶な理不尽を与えられながらも、苦しみながらも、なぜ苦しめられた側は常に正しくあらねばならないのか、という疑問に、自分自身で答えを探すための物語でした
長い長い、自問自答でした
この話を投稿するかどうか、随分悩んでいました
私の中の怪物が叫んでいたことを、言葉に込めました
作中の主人公、デュランは、父を痛めつける前に対話を望みました
ただ恨んでいるだけなら、きっとそうはしなかった
なぜ愛してくれなかったのか 何故捨てたのか 何故 どうして
理不尽な出来事に対するその理由、その答えが父親の口から聞きたかったのだと思います
しかし蓋を開けてみれば、自己保身の言い訳ばかり
デュランが聞きたかったのはそんなことではなかったのに……
@kitakamakura様のおっしゃるとおりで、人間は一面だけでは語れないと思っていました
それを、まだ未熟ながらも、必死に言葉に乗せました
読んでくださって、ご感想もくださり、ありがとうございます
ありがとうございます……
彼は地獄から這い上がることが出来なかった。
自分の生い立ちに、あまりにも悲惨なしがらみがあったから。
天国の天使も救えなかった。
天国と地獄は交わることが出来ない。
哀しい!
作者からの返信
オカン🐷様、ここまで読んでくださり、また、ご感想と恐れ多くも星評価をくださりありがとうございます……!
ここから、結末までは、かなり体力と精神力を使って書かなければならないため、ひとまず、この物語の補完となる番外編を投稿いたしました。天国と地獄がどんな関わり方をして、どんな終わりにたどり着くのか、精一杯がんばります。
すべて終わりましたね。
とうとう終わってしまったというべきなのか。
デュランは生まれた時から最後はこうするしかなかったのかな。
1つだけ言えるのは、アネモネと血がつながっていなくて良かったなと。
それだけが気がかりだったので、そうではなかった。
作者からの返信
奇蹟あい様、この過酷な話を読んでくださり、また感想までくださり、本当にありがとうございます。
デュランは、精神が頑健な方ではない、という設定がありました。強がってはいても、強くはない。むしろ、脆くて割れやすい部分を抱えている少年、という印象で書いていました。
アネモネの両親は、天国の中でもさらに選ばれた上流階級です。デュランの父親とは全く血縁関係がありません。アネモネの青い瞳は宝石、デュランの生物学上の父親のスカイブルーの瞳はイミテーションの輝き、それをイメージしています。
デュランの生物学上の父親は、『最上層』を目指して駆け上ろうとしました。手練手管を使い、様々な、数え切れない人達の人生を踏みにじって。しかしそれでも、天国の一番高みには至ることができず、隅に居を構えることがせいぜいでした。
デュランは、悲惨な境遇に生まれつきながらも、『人を◯してはならない』という倫理観を持つ少年でした。しかし一旦、箍が外れてしまったら、もう彼を止めるものは何もなくなってしまったのです。
もし、デュランの母の体調が回復して、精神的にも身体的にも健康を取り戻し、デュランを迎えに来てくれていたら、デュランは復讐に走ることは……なかったと思います。
【追記】
復讐を達成してそこで終わりというわけではなく……せめて、物語の中だけでも、因果応報があると思いたいので。
デュランも、報いを受けなくてはなりません。
正直とてもつらいですが、時間をかけてがんばります。
想像以上で度肝を抜かれました。プロ並みの完成度の復讐描写だと思います。
ハイレベルの表現、尊敬いたします!
作者からの返信
🌳三杉令様、ありがとうございます……!
恐縮ですが、🌳三杉令様からそうおっしゃっていただけると、頑張って書いてよかったなと思ってとても嬉しいです。
プロ並み……!😲
そんなこと初めて言っていただきました😭😭 すごく照れますが、すごく嬉しいです。ありがとうございます……!
プロほどの技量があるかどうかはわかりませんが、時間と執念と、愛は込めました。こちらこそ、🌳三杉令様の作品の素晴らしさ、尊敬しております!
ジャックはその男に死よりも苦しい思いを、どうしてもさせたかったのですね。
復讐を終えたはずのジャックがどのような人生をたどっていくのか見届けたいと思います。
作者からの返信
たたみや様、応援コメントと、素晴らしいレビューありがとうございます
この陰惨な話を読んでくださったたたみや様に、報いることができるのかわかりませんが、精一杯書かせていただきます
デュランは……いえ、『私の一部』は、『母親と同じだけの苦しみを父親にも味わわせてやりたかった』『デュランとデュランの母が抱えていた痛みがどんなものだったのか、理解してほしかった』のです
少なくとも私は、そう思っています
ただ、憎しみだけしかなかったのなら、こんなことはきっとしませんでした
デュランは、対話を望みました
もし、もしも、デュランの父親が、混じり気のない本音(それが本当にクズのような動機であっても)を話していたのなら、デュランはここまでのことはせずに彼を解放していたと思います
デュランは、「どうしておれを捨てたのか」「どうして母親を捨てたのか」「どうして愛してくれなかったのか」と、本当のところを聞きたかったんだと思います
しかし、デュランの父親は、何もかも知っているデュランを、嘘で懐柔しようとしました
デュランとデュランの父の間で、対等な会話は全く成立していなかったのです
デュランは何もかもを諦めて、せめて痛みだけでも味わわせてやろうと思ったのかもしれません
母親と、デュランが味わってきた苦しみの一端だけでも、理解してほしくて……
デュランは、復讐を終えた後、出頭するのではなく、自らこの世からいなくなろうとしていました
許されることではないと、彼自身が一番良くわかっていたから
しかし、彼には、たったひとつだけ未練がありました
その未練のために、消極的にでも、生きることを望みました
しかし罪深い悪魔が生きるためには他の人間の命を食い物にしなければなりません
彼がどんな道を選ぼうとも、そもそも、長く生きることはなかったと思います
その結末を、見届けてくださって本当にありがとうございます
とても、心から、感謝しております