柿が一つではなく、二つある。

 「柿一つ」は俳句初心者が比較的好みやすいワードなのだと聞きました。
 自然界では、柿は三つや五つ木にあっても構わないのに、何となく「一つ」と設定してしまい、一つである理由が説明できない……ということなのかも知れません。
 ちなみに豊作を祈って人為的に一つ残した柿は「木守」という、冬の季語になるらしいです。
 
 ともあれ「柿二つ」と書くととたんに揺るぎない言葉となる。

「腐らずに乗り越えたんだ柿二つ」 
 秋暮れて一つである可能性もあったのに、二つある。
 世界に二つきり傷つきながら熟れていく、大人の愛を感じさせます。
  
 そのほか色とりどりの果実の酸いも甘いも詰まった可愛い句集。
 クラゲは生きたまま食べるとライチの味がする……?
 でもクラゲが可哀想なので試さないでおこうかな。