I 夢の目覚め

 ずっと夢を見ていたい……

 何も知らなかったあの頃の夢。何もかもが幸せだった、彼女もいて、父も母も笑顔に満ち溢れていたあの頃に戻りたい。

「今日もまた覚めてしまった……」

 地下に埋まるこの部屋で私はあの頃の夢を見ている。

 入って数日経った頃は手狭だと思っていたが、ここに数年住んてしまっている今この部屋がちょうどよく感じる。

「今日で3年目か……」

 壁に刻まれる無数の線。これは私がこの部屋で過ごした日々、いやあの頃の夢を見た日数だ。

 動きにくい体をなんとか奮い立たせ、扉に向かう。この体はまだ16年しか使っていないというのにもうがたが来てしまっている。

 この体で生きて16年。幸せだった頃から10年も経ってしまった。

「私の生きる意味とはなんだろうか。私がここで夢を見つづける意味とはなんだろうか……」

 自問自答が止まらない……誰かと話したい……この思いを共有したい。

「アリーシャ、君に会いたい。この思いを聞いてくれ」

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恋愛短編集 少しお休み中 猫部な茶都 うなべ @tyanomiya_3

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