【短歌連作】あるドルオタの日々

けいりん

あるドルオタの日々

サイリウム振る一瞬を切り裂いた君のウィンク時間よ止まれ


音の出ぬマイク片手に輝いて天使の君がヒーローになる


「おめでとう」僕が千回言うよりも君自身の歌君を寿ぐ


ただ君の喜ぶ顔が観たいからお金を払うこれも愛でしょ


君の歌とコール&レスポンス響きがつなぐ僕らの逢瀬


揺れている光の海を一瞬で己れの色に染める歌声


会いたくてただ会いたくて会いに行く敢えなく終わる愛だとしても


始めからかなうはずないこの熱が多分私の最後の恋だ


「大切なお知らせ」の文字見るたびに不吉な予感陰を落として


地下深く灯りを点し女神へと祈りを捧ぐ我らが祭祀


会える日を求め続ける会えぬ日の寂しささえも今は愛しい


チェキの上踊れペン先シンデレラ一分の鐘すぐに鳴るから


「本心はわからないだろ」と言う友の本心だってわからないけど?


終わる日を知ってそれでも会いに行くあと何回と指折り数え


「ありがとう ごめんね」なんて言うくらいならやめないで とは言えなくて


ぎこちなくハートを作る二つの手今日が終わりとまだ知らぬげに


「忘れない」そんなの信じちゃいないけど嘘も忘れられたらいいのに


人の波越えて届いた歌声が灯した炎今も心に


今はもういないあなたの歌声が今もこの耳震わせるんだ


一瞬に過ぎ去る音と光る刻記憶の中で鳴り止まぬ愛










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