ララ・ライフ
ろくろわ
ララ・ライフ
良知 愛来。
彼女の名前は初対面で正しく呼ばれたことはない。
それが彼女の名前。
そんな彼女は大抵の人からは『らちちゃん』や『あいちゃん』『あいらちゃん』『らっち』等の愛称で呼ばれる。
ただ一人、アイツを除いて。
「ララ。おはよう今日も可愛いね」
「ララって呼ぶな!可愛いって言うな!アホ
朝から馬鹿みたいに大きな声で私の事をララと呼ぶこの男は
「なに言っているんだララ。いつも俺は可愛いっているじゃないか」
「だからあんたアホじゃないの?」
私は知ってる。
私の事を可愛いと言ったその男前の耳が赤くなっていることを。あぁ、自分で私の事を可愛いっと言うのが恥ずかしくて照れるのならば、無理して言わなければ良いのに。
広志の方が百倍可愛いよ。
「まぁまぁそんなに怒らないの。ほら、ララお菓子をあげよう」
「おい、私がお菓子で釣られると思うなよ?広志」
おい、広志。
なんだその可愛い巾着とその中に入ってるいろんな種類のお菓子は。ギャップか?ギャップなのか?格好いいと可愛いのギャップを狙ってるのか?
お菓子?そんなもので全然釣られちゃうよ私。
「それじゃあララ。これならどうかな?ララの好きなバンドのライブチケットが手に入ったんだけど一緒に行かないか?」
「おっ、それは気が利くな!じゃあそれは一緒に行こうか」
「結局ララは物に釣られるのな!じゃあ今週の日曜日に」
そう言って広志は自分の席に向かっていった。
私は知っている。
自分の席に向かうただの男前が小さくガッツポーズをしていたのを。それに私の好きなバンドのライブチケットを買うためにバイトをしていた事も、渡すシュミレーションを何度もしていたことを。
何なの、あの男。
私のライフは彼の行動で既にゼロなのである。
日曜日、私の胸のドキドキは飛び出さないだろうか?何処かに1UP落ちてないだろうか?
私は今から日曜日の為に心を鍛えるのだった。
了
ララ・ライフ ろくろわ @sakiyomiroku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます