1回目、2回目

 学校に行き、彼女に再会した私は大粒の涙を流した。彼女は私を心配そうな目で見つめた後、表情を変え、

「土日会えなかっただけなのに大げさやな~」

 そう笑いながら言った。

 その後は前と同じように私たちは学校で一緒に過ごし、件の時間にあの場所を通って下校することになった。私はルートを変えるように必死で頼んだのだが彼女が言うことを聞かなかったのだ。

 果たして・・・

 やはり、あの田んぼ道で電動キックボードは現れた。しかも彼女に向かってものすごいスピードで突っ込んできていた。

 私は過去起きたこと(この周回では、今から起こること)を変えるために、彼女を今にも襲ってくる電動キックボードの前に立ちはだかった。 大きな鈍い音が周辺に響いた。

 電動キックボードは私を勢いよくよけたがために横転し、運転手がそこから転げ落ちていたのだ。電動キックボードのナンバープレートはまたもや確認できなかった。

 まあそれはいい、これで、彼女が救われた。

 そう思ったときのことだった。何か大きなものが、近づいてきて、私の視界は真っ暗になった。

 しばらくして、意識を取り戻し重い瞼を開くと、私の目の前にはトラックの荷台と足で踏んでしまったガムのように押しつぶされたその運転席が見えた。

 体全体が鉛のように重く、身動きがとれない。そんな状態で力を振り絞り私は、どうにか顔だけを動かして、周りを出来うる限り見渡した。電動キックボードの運転手・・・それと彼女が倒れているのが見えた。どちらも血まみれだった。その様子を確認した後すぐに、爆発音がして、私の意識は途切れた。

 ピピピピピ

 二回目のループが始まった。

 私は二回目では、朝から何回も帰り道のルートを変えるよう頼んだ。何度も頼んだ甲斐があって、変更後の帰り道にあるコンビニでスイーツを私が彼女に買い与えるという条件付きではあるが、ルートの変更が許された。

 二人で楽しく新しく配信されたネットゲームの話で盛り上がりながら歩いていると、寄る予定のコンビニにあっという間についた。

 彼女はシュークリームを購入した。

 コンビニの前で立ちながら、シュークリームを満面の笑みで頬張っている彼女の様子は、小さい子供のようでかわいかった。

 コンビニの中のゴミ箱ににシュークリームの袋を彼女が捨てるのを私は駐車場で待っていた。

 それがいけなかった。

 彼女が自動ドアから出てきて私に向かって手を振りながらこう言った

「お待た・・・」

 そのとき、鈍い音がした。


 気づいたら時すでに遅し。電動キックボードが彼女を轢いていた。

 コンビニの前によくある鉄製のコの字型の車止めに彼女は頭をぶつけ意識を失っていた。駆け寄って私は泣き叫んだ。

 すぐに救急車で運ばれたが、彼女はやはり死んでいたことがその日のうちにわかった。私は悲しみのあまり、自宅マンションの屋上から飛び降りた。だが、


 ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

  

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