第21話 謎の失踪 - パリ編

私たち三田村香織と藤田涼介は、パリに到着していた。エッフェル塔がそびえるこの美しい都市は、私たちの次なる依頼の舞台だった。今回は、パリの著名な美術館からの依頼だった。


私たちはルーヴル美術館の館長、アンヌ・ラフォレ氏からの招待を受けていた。館内では特別展「フランス印象派の奇跡」が開催されており、世界中の美術愛好家が訪れていた。しかし、到着早々、私たちは館長の緊迫した表情に迎えられた。


「三田村さん、藤田さん、大変です。昨夜、展示されていた貴重な絵画が何者かに盗まれてしまいました。」アンヌ氏は焦燥の色を隠せなかった。


「それは一大事ですね。どの絵画が盗まれたのですか?」私は優しく尋ねた。


「クロード・モネの『睡蓮』の一枚です。これは世界的にも価値の高い作品で、今回の特別展の目玉でした。」アンヌ氏は困惑した表情を浮かべていた。


私たちはすぐに現場の調査を開始した。美術館の警備は厳重で、外部からの侵入は考えにくかった。展示室の窓やドアには破損の痕跡がなく、内部からの犯行が疑われた。


「これは内部犯行の可能性が高いですね。」私は涼介に言った。


「確かに、展示室の状況から見ると、その可能性が高い。」涼介も同意した。


まずは、美術館のスタッフから話を聞くことにした。警備員や夜間勤務のスタッフに事情を聴取し、監視カメラの映像を確認した。映像には、怪しげな人物が展示室に入り、数分後に出て行く姿が映っていた。


映像を分析した結果、怪しい人物は美術館のスタッフであることが判明した。その人物は最近雇われたばかりのエマニュエル・デュランだった。彼の履歴を調べると、過去に美術品や貴重な遺物の盗難事件に関与していた疑いがあることがわかった。


「これは明らかに内部犯行ですね。」私は確信した。


「エマニュエルを調べてみましょう。」涼介が提案した。


私たちはエマニュエルの居場所を突き止めるため、美術館の関係者や彼の同僚から情報を集めた。さらに、彼の自宅や最近の行動を調査し、彼がパリの闇市場で絵画を売りさばこうとしている可能性を見つけた。


私たちは警察と協力し、エマニュエルの自宅に踏み込むことにした。家の中を捜索すると、盗まれた『睡蓮』の絵画が無事に発見された。エマニュエルは現行犯で逮捕され、美術館に戻された。


エマニュエルは取り調べの中で、盗みの動機について語らなかったが、彼が金銭的な問題を抱えていたことが後に判明した。


事件が解決し、ルーヴル美術館では再び特別展「フランス印象派の奇跡」が無事に開催された。私たちは美術館の皆さんと共に、その成功を祝った。その後、私たちはパリの有名なビストロでディナーを楽しむことにした。


ビストロは古い石造りの内装が温かい雰囲気を醸し出しており、特製のフレンチディナーが人気のメニューだった。私たちはワインを片手に、事件の解決を祝った。


「やっぱりフランスの料理は美味しいですね。」涼介が満足そうに言った。


「ええ、本場のエスカルゴは格別です。」私はエスカルゴを一口頬張りながら答えた。


私たちは食事を楽しみながら、パリの夜景に思いを馳せた。デザートには、フランスの伝統的なクレームブリュレをいただいた。


「パリの歴史と文化を感じながらの食事は、本当に特別な体験ですね。」涼介が笑顔で言った。


「本当に。そして今日の事件も無事に解決できて、心からこの日を楽しむことができるわ。」私は満足感に浸りながら答えた。


食事の後、私たちはパリの夜景を楽しみながら、次の冒険に向けて準備を整えた。芸術の都パリでの経験が、これからも私たちの記憶に残ることを祈りながら。

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