第20話 「霧の中の消失 - ロンドン編」
私たち三田村香織と藤田涼介は、ロンドンに到着していた。霧がかかる街並みが古い歴史と新しい文化を融合させた魅力的な雰囲気を醸し出していた。今回の依頼は、ロンドンの有名な博物館からのものだった。
私たちは、ロンドン自然史博物館の館長、エドワード・ハドソン氏からの招待を受けていた。博物館では特別展「進化の旅」が開催されており、数々の貴重な化石や標本が展示されていた。しかし、到着早々、私たちは館長の緊迫した表情に迎えられた。
「三田村さん、藤田さん、大変です。昨夜、展示されていた貴重な化石が何者かに盗まれてしまいました。」エドワード氏は焦燥の色を隠せなかった。
「それは一大事ですね。どの化石が盗まれたのですか?」私は優しく尋ねた。
「ティラノサウルスの完全な頭蓋骨です。これは世界でも数少ない完全なものの一つで、展示の目玉でした。」エドワード氏は困惑した表情を浮かべていた。
私たちはすぐに現場の調査を開始した。博物館の警備は厳重で、外部からの侵入は考えにくかった。展示室の窓やドアには破損の痕跡がなく、内部からの犯行が疑われた。
「これは内部犯行の可能性が高いですね。」私は涼介に言った。
「確かに、展示室の状況から見ると、その可能性が高い。」涼介も同意した。
まずは、博物館のスタッフから話を聞くことにした。警備員や夜間勤務のスタッフに事情を聴取し、監視カメラの映像を確認した。映像には、怪しげな人物が展示室に入り、数分後に出て行く姿が映っていた。
映像を分析した結果、怪しい人物は博物館のスタッフであることが判明した。その人物は最近雇われたばかりのアントニー・ブライアントだった。彼の履歴を調べると、過去に美術品や貴重な遺物の盗難事件に関与していた疑いがあることがわかった。
「これは明らかに内部犯行ですね。」私は確信した。
「アントニーを調べてみましょう。」涼介が提案した。
私たちはアントニーの居場所を突き止めるため、博物館の関係者や彼の同僚から情報を集めた。さらに、彼の自宅や最近の行動を調査し、彼がロンドンの闇市場で化石を売りさばこうとしている可能性を見つけた。
私たちは警察と協力し、アントニーの自宅に踏み込むことにした。家の中を捜索すると、盗まれたティラノサウルスの頭蓋骨が無事に発見された。アントニーは現行犯で逮捕され、博物館に戻された。
アントニーは取り調べの中で、盗みの動機について語らなかったが、彼が金銭的な問題を抱えていたことが後に判明した。
事件が解決し、ロンドン自然史博物館では再び特別展「進化の旅」が無事に開催された。私たちは博物館の皆さんと共に、その成功を祝った。その後、私たちはロンドンの歴史的なパブでディナーを楽しむことにした。
パブは古い木造の内装が温かい雰囲気を醸し出しており、特製のローストビーフやフィッシュアンドチップスが人気のメニューだった。私たちはビールを片手に、事件の解決を祝った。
「やっぱりイギリスのパブ料理は美味しいですね。」涼介が満足そうに言った。
「ええ、本場のフィッシュアンドチップスは格別です。」私はローストビーフを一口頬張りながら答えた。
私たちは食事を楽しみながら、ロンドンの夜景に思いを馳せた。デザートには、イギリスの伝統的なスティッキートフィープディングをいただいた。
「ロンドンの歴史と文化を感じながらの食事は、本当に特別な体験ですね。」涼介が笑顔で言った。
「本当に。そして今日の事件も無事に解決できて、心からこの日を楽しむことができるわ。」私は満足感に浸りながら答えた。
食事の後、私たちはロンドンの夜景を楽しみながら、次の冒険に向けて準備を整えた。歴史の街ロンドンでの経験が、これからも私たちの記憶に残ることを祈りながら。
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