#番外編② 執事たちと同窓会
上空をアオサギが一羽、飛んで行く。
二人の青年たち(?)がその晴れた空の下、同窓会へと向かっていた。
「ところで天羽」
「ん」
「おれたち向こう行ったらどうすればいいんだろう」
「というと」
「絶対に聞かれることがあるじゃないですか」
「あー」
「「お前仕事何してんのーって?」」
「いやハモるなよ」
「知らんて」
しばらく謎の沈黙がおりる。
「なんて答える?」
「うーん。——志磨は?」
「会社員、とか?前職会社員だからあながち嘘ではない」
「おい」
「なに?」
「前職がない僕はどうすればいいんだ」
「……おつかれ」
「おい」
「まあ嘘ついても誰もわからないんだから適当に言っとけば?」
「そっすね」
「「・・・・(会社名聞かれたらどうしよう?)」」
———————————————————————————————————
そんなこんなで、彼らは同窓会の会場として指定されていた店のあたりまでやってきた。
「ここ?」
「地下じゃない?」
「あー地下か」
言い出しっぺから送られてきた同窓会の概要とグー〇ルマップを交互に見ながらうなずきあった二人は、地下にあるその指定されていた店に向かって階段を下りていった。
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「おー来た」
「よっす」
「久しぶりー」
二人が店内へ入ると、懐かしの面々がこちらを向いた。
「あ、ども」
「こんちわ」
「とりま座ってー」
「ここ空いてるから」
「「あ、はい」」
言われるままに席に着く。と。
「んで、二人は今何してんの??」
「「会社員」」
「「・・・・(ハモるな)」」
「え、会社どこ?」
「えと、文原グループ系列のとこ」
「
「ふーん。天羽はー?」
「えと、月見里グループ系列です」
「ふーん。どういう系の仕事?」
「IT系かなぁ」
「出版」
「
「へーそうなんだー。——今パスタいくつか頼んだから好きなの食べて」
「「あ、はい・・・・(耐えたー)」」
聞いてきた割にあまり興味を示してこなかったことに、二人の執事(正確には一人の執事と一人の居候)たちはそっと胸をなでおろしたのだった。
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「あ゛ーーーーーーー」
「どしました」
「職業ごまかせたぁーーーーーー」
「そこか」
「もう最後のほう適当だったけどそんな疑われなかったぁーーーーーーーー」
「それはそう。てか地味に出版業界の人になってたね」
「だってすぐ浮かんだのそれだけだったんだもん」
「さすが本の虫」
「てかまんま前職言うはずるい」
「ずるくないでしょ」
「…まあね」
同窓会が終わり、店から出て、ほかの友達らとも別れた後。
二人の青年たち(?)は、職をごまかしきった安心感を爆発させた(???)。
「お嬢様達は何をしているんだろう」
「一緒に遊んでるんじゃない?」
「遊ぶったって大学生だよ?」
「たしかに」
「まあ文倉邸には鳩倉さんいるし、そっちには緑埜さんいるでしょ」
「はとくらさんとは」
「あ、知らんか。おれが今日いないから、代わりにメイドさんを呼んだんだよ。で、その人が鳩倉さんていうの」
「ふーん。どういう人なん?」
「あんまり顔合わせてないからわかんない」
「それで大丈夫と言えるのか」
「うーん、まあ帰ればわかるさ」
「まあな」
そうして話しているうちに、それぞれの屋敷へ向かう分かれ道が見えてくる。
「あ、ここまでか」
「そだね」
「じゃあまた」
「もしかしたらうちの屋敷にお嬢様たち二人ともいるかもしれないからそのときは連絡する」
「わかった」
そそう言って、二人はそれぞれの家路――じゃなくて職路(?)——についたのだった。
もちろんこの時、志磨は自分の職場である屋敷の方に二人のお嬢様がいて、二人そろって自分の部屋へ侵入されているとは夢にも思っていなかったのだった。
☞The end.
あるお嬢様と執事の話。season2 天千鳥ふう @Amachido-fu
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