魔王なので〈めちゃくちゃアホな勇者〉を育ててみることにした!

たろまる

今日も懲りずに奴は来た!

ここは魔王城…。

世界最強な俺は今日も執事と…プライベートルームで格ゲーをしてたんや。

それで異世界で借りている執事めいぎ?のまんしょんてやつからポータルを繋げてやってるんやけどこれがめっちゃおもろくてさ…!

魔王「ムハハハ!!画面端で虐められる気分はどうじゃ~!!ウヘヘヘヘ!!」

魔王「死ねーい!!」

執事「甘いですな。」

魔王「あ、」

K.O.!!

でもやっぱあんまりかもしれんわ…。

…チュドーン!!(コントローラーの壊れる音)

魔王「オイ、シルヴァ!!いきなりのぶっぱで勝つとか恥ずかしくないんかお前ぇ!!」

魔王はぶちギレた。

執事「これも格ゲーの醍醐味ですぞ。魔王様もこの程度でコントローラーを破壊するとは…。」

執事はアケコンを掃除しながら言った。

さっきからブチギレている魔王と呼ばれている人はギーラル・アンバー。

世界最強の魔王である。そして執事はシルヴァ・ブルグという。

彼も世界最強であるギーラルに次ぐ実力者である。

魔王はこいつ、許さんと思いながらマンションの一室から替えのコントローラーを持ってきた。すると…。

執事「…魔王様。例の方が来ましたよ。」

魔王「また…か?」

執事「はい。また…のようです。」

魔王「真似すんなや。」

執事「これは失礼。」

魔王は大広間へと向かった。するといきなり目の前の城の壁が吹き飛んだ。そして砂煙の中から突然剣が魔王に襲いかかるが、魔王はため息をつき人差し指で剣の棟を勢いよくぶっ飛ばした。

一度呼吸を整え見慣れた襲撃者に向かって声を荒げる。

魔王「オマエまた城の壁壊してるやんけ!!」

勇者「今日こそお前を倒して平和を取り戻してやるぞ!魔王!」

魔王「人の話聞けや!!オマエ!!」

見慣れた襲撃者とはもちろん勇者のことだった。

魔王と勇者の実力の差は明らかであり言うなれば勇者は受験勉強をしないまま国立大学に受かろうとしているのである。つまり…めちゃくちゃアホであった。

魔王「オマエ今日で家にくるの何回目か分かるけ?」

勇者「…34!!」

魔王「72や!!後なオマエ近場やからって普通に来んのやめろ!ちゃんと手順踏んでから来いや!」

72回来られてから指摘する魔王もなかなかである。

勇者「そんなことはどうでもいい!俺はオマエに絶対勝つ!ハァァァァァ!」

勇者は力を溜め会心の一撃を魔王にぶつける。

「ぶった斬り!!」

魔王はもちろん避けずに体で受けた。しかし魔王は…。

魔王「あの…魔法は?普通雷纏った斬撃とか火のやつとかあるくない?」

勇者「…?」

嘘やろコイツ?まじで?魔法知らんとかそんなことある?こんなん逆にダメージ受けんねんけど。いくらアホでも魔法くらい使うやろ。見たことないんかあの魔法を?!流石に何回も来られて気になったから言ったけどさ?!魔王は何度目かのドン引きをしていた。

魔王「オマエ、仲間は?そういえばおらんくない?」

勇者「仲間はそれぞれの事情があるんだ。魔王城に行くと言った時から全員が祖父の病気を理由に…。」

完全に避けられてるやんけ…。気づけや。

別にギーラル自身も人間界の侵略に興味があるわけではなく共存を望むタイプだ。

そして魔王と呼ばれる所以も他の追随を許さない圧倒的な強さからきている。

魔王が人間と共存を望んでいることを知っているのはこの世界では常識になっている。しかし勇者だけが魔王を倒すというしがらみに囚われてしまっていた。

魔王「ほれ。」

魔王は勇者を掌底で容赦なくぶっ飛ばした。

勇者「ゴハァ!何度挑戦してもダメなのか…!俺には…。」

時代が変わりつつあるのにコイツだけそこに囚われるっていうのも酷いな。

それに壁直すのめんどいしな。

魔王「おい。オマエ、俺を倒したいんやろ?」

勇者「もちろんだ!」

魔王「やったら俺を倒せるようになるまで俺が強くしたるわ。」

勇者「本当か、なら頼む!!」

アホやからな。少し手を差し伸べたらすーぐきよるでコイツ!それにもう壁壊されたくないしな。…本心は壁を壊されたくないだけである。

魔王「じゃあ…決まりやな!」

魔王は手を差し伸べ2人は握手を交わした。

今ここに奇妙な師弟関係が生まれたのであった!!



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