B1.既に落ちてるバター猫
受験戦争を勝ち抜き、国立玉梓大学に入学した。だからかどうかは分からないが、俺はすっかりバーンナウト、燃え尽き症候群だった。授業に出ないし、東京で新しく出来た友達とパチンコ三昧。
──一回生のうちに単位はとれるだけとっておけ。誰かが言っていたけれど、俺はそんなの完全無視。親元から離れたこともあってか、自分のやりたいことばかりやって、大学には殆ど行かない。でも勿論、こんなんじゃダメだ的な考えは念頭に置いて、人生を無難に憂いつつ、結局のところ楽しく生きていた。
パチンコ仲間と金銭的にトラブった。トラブルは発展し、乱闘になる。殴りまくった。蹴りまくった。血みどろの戦いだった。俺は病院送りになった。
で、退院した直後に俺は
「え、
「言いました。なのに、大丈夫って……」
「そうなの?見えないからさ」
「老け顔ってことですか」
「……いや。ごめん、でもまじかぁ。私、君を犯罪者にしちゃったのかも。一緒に出頭しにいく?死刑になっちゃうかもしれないけれど」
「嫌です」
「そう。奈巳くん。君って最低なんだね」
昼間やることも無いから、俺はやっとこさ大学に通い出す。その日は丁度、学園祭が行われている日だった。緋山さんがサークル長を務める文芸サークルの出し物に、顔を出しに行き、緋山さんから合同誌を購入した。
「緋山さんって、どんな話を書いてるんでしたっけ?」
「そんなの、読んでからのお楽しみだよね」緋山さんはホープの箱を揺らして笑う。
俺は大学図書館に行って、自習用の机で合同誌を開く。
緋山さんの作品は最後の方に載っていた。内容は「バカップルが依存性の高い薬物に触れてしまい、その後、金銭的においても社会的においても、様々な苦難に直面し、最終的に自殺を図る」そんな小説だった。俺は難しい顔で読んだと思う。苦虫を噛み潰した顔で読んだと思う。しかし、読了した。
とことん、その薬物の危険性について他の違法ドラッグと比較しまくる話だった。
とことん、カップルはその薬物に依存し、副作用によって変貌を遂げていく。
とことん、彼らのタガは外れていき、孤独になっていく。家族とも絶縁、二人きり。
とことん、カップルは互いに依存していく。
とことんを繰り返して、最終的に自殺する。最悪な話。後味の悪い話。
読み終えた頃には既に空には月が昇っていて、俺は興奮しながら、SNSのDMを介して緋山さんに感想を伝えた。
「読みました」
「どうだった?」
「なんか怖い話ですね。重たいというか。こう、胸糞というか」「でも、面白くない?私は面白いと思うんだけど……」
「分からなかったっすけど、最後は良かったです」
「最後まで読めたの?」「まあ」
「凄いね!君ってもしかして読書の才能あるのかも?」
「そう?つうか、読書の才能ってなんやねん」
「笑」
「笑」
「提案なんだけど。うちのサークル入らない?」
「正直迷ってます」
「入った方が良いよ。友達作りにもなるし。ほら、言ってたじゃん。喧嘩しちゃって、今、私以外に友達居ないんでしょ?」
俺はそんな感じで文芸サークルに所属する。所属人数は意外と結構多くて、百人くらい。飲み会も週一で催されていて、俺も最初の数回は参加した。ただ、俺は一人かサシくらいでしっぽりやるのが大好きなタイプと学ぶ。多くても四人くらいで遊ぶのが好きだと知った。で、友達が三人出来た。
先ず
次に
最後に
ネコバースBA/仮想現実と先輩の首輪 名無し/筆名考え中 @turbo-foxing
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