参拾ワ『呪いの木』

  近所の公園の入口前に幹の太く

  しっかりした大きな木がある。

  その木には呪いかけられ、今だに

  解かれていない。

  呪いの範囲は?一体どんな呪いが

  かけれられているのか?

  古い新聞の小さな記事に書かれていた

  のを思い出した。


『xxx公園入口前の木、呪い効果はxxx公園全体だ。奇妙な事に朝から夕方まで何も起きない。危険なのは夜––––であり。その呪いは––––である。』


  肝心な箇所がインクで滲み文字が

  潰れて読めない。

  ネットで古い新聞を見るには、元に

  なる新聞を画像で取り込む他手段が

  ない。

  現代と違い記事の作成、画像編集作業

  がPCやタブレット端末で作成して

  おらず、全てアナログである。

  まして素人が勝手に掲載しているもの

  なら尚更画像処理が悪い。

 『呪い木』のはじまりはいつからだろう。

  少しでも「木」について情報が欲しく

  なったSNS動画投稿サイト、

  ビデオグラファーのユーザーで

  オカルト系ユーザー朝顔あさがおは図書館に

  向かった。


  朝顔は一冊の本を手にした。

 【呪われた大木たいぼく

  本の内容を説明するとこうだ。


『遙昔、古代日本國こだいにほんこくが出来てまもない頃、伊邪那岐命いざなぎのみこと伊邪那美命いざなみのみことから生まれた神、木の神である久久能智クグノチ神が自身の分身である大層大事にしていた【木】を日本國に住む若者が伐採したのがはじまりである。

若者の職は杣人そまびとだった。

彼は樹木を伐採は仕事なので、「自身に非はない」と化現けげんした神の前で平然と言い放つ。詫びる所か敬意すら感じない若者に神は憤慨し若者に呪いをかけた。

呪いにかかた若者は見る見るうちにで大木へと変貌してしまった。

若者の帰りが遅く、心配になった父親が探しに森林へ行くと、大木の前に身に覚えある斧を発見した。父親が斧を持つと久々能智神が父親の前に化現した。

父親は神にこうべれたまま、神に尋ねた。


「私の息子をお見かけしませんでしたか?」


神は何も言わず父親の後ろを指差す。父親は振り返り大木を見た。

神は低い声で言い放つ。


「お前も杣人だろう。ならば分かるだろう……。目障りなその木を根っこから切って家に持ち帰れ」


父親は神に命じられるまま持っていた斧で大木を切り始めた。

すると頭の中から身体が引き裂かれる時の叫び声と、何かに謝罪している声も聞こえる。

父親は頭の中から聞こえる声になんとか耐え抜き、木を家に持ち帰り玄関前に植え替えた。その日の夕食時、嫁に息子の事を話た。だが、信じて貰えなかった……いや、信じたくなかったという方が嫁の本音だ。

夜、父親は外に植えた木の幹を撫でながら


「お前の過ちは父である私が責任を持つよ」


と優しい声で言った。

翌日の朝目を覚ますと夫の姿はなく、家の中を探した。

それでも見つからず家の外を出ると……夫は植えた木の枝で首を吊っていた。

嫁は泣き叫び木の神を呪ったという』


  朝顔は本を閉じ、首を傾げた。

  呪いの始まりは僅かながら分かった

  気もする。

  しかし毎日誰かが、公園入口前の木で

  死ぬ理由がさっぱり分からない。

  まだ調べなけば……。

  そう思いふと同じビデオグラファーの

  ユーザーであり、最近視聴者数で

  悩んでいた奈歩友人で検証してみよう

  と図書館を出て連絡をした。


  終

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佰物語 砂坂よつば @yotsuba666

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