第3話 予想の斜め上を超える結果
「これは派手にやられたなぁ」
”全てを知るもの”の案内によって前住んでいたテントは見つけた。しかし、テントはダンジョンが変形する際に巻き込まれてしまったのか岩と岩の間に挟まれるようにして押しつぶされてしまっていた。
【身体強化Ⅰ】でダンジョンの壁を破壊すれば取り出すことはできるだろう。しかしテントの鉄筋から金具まで
【村田様、家を立てるのはいかがでしょうか?】
どうしたものかと悩みこむ村田の脳内に機械音声が流れる。
「家を、立てる?そんな事が可能なのか?」
【深淵ダンジョン最深部の攻略者である村田様にはダンジョンを自在に操作することのできる特権を与えられています】
【マナを消費することでダンジョン内を改良、改作することが可能です】
攻略特典みたいなものだろうか?
とりあえず言われたとおりに手のひらから壁に向かいマナを流して見る。すると、うねうねと時空が歪み目の前には大きな岩が現れた。
【ダンジョンはマナによって構成されています。つまりマナを吸収することで触れたものを消すことができ、マナを与えることでモノを生み出すことができます】
「へぇー……ゲームのクラフト的な感じか?これって吸収したマナを補充することは可能なのか?」
【可能です。しかし体内に補充されるため、ご自身のマナ貯蔵タンク量を超えるとマナ過剰摂取により体が爆発します】
爆発……!?!?
不穏な言葉を余りにも冷静に告げられ、俺は頭から冷や汗を垂れ流した。
いやいや、もう少し危機感強く警告してくれないかなぁ??おじさん危うく「そうかそうか気を付けるよ」なんて呑気に応えそうだったんだが!?
【村田様のマナ貯蔵タンク量を表示します。解析中……解析完了まで残り10秒】
「お、解析もできるのか便利だなぁ」
まぁ、ゆっくり暮らしてきただけのおっさんだから期待するほど凄いわけでもないだろうなぁ……。マナじゃなくて酒に強い肝臓なら持っているが。
【解析完了……マナ貯蔵タンク量は"一万"と結果が出ました】
「い……いちまん?」
【準一級魔術探索者に匹敵するマナ貯蔵タンク量です】
「じゅっ……一級魔術士!?」
魔術探索者とは主にスキルによって魔法を生み出しダンジョン内を探索する者の事だ。
魔術を使うためにはマナが必要であるためマナ貯蔵タンク量によって魔術士の強さが分け隔てられるといっても過言ではない。
「えぇ……いやでも、数年前に健康診断を受けた時は千とかそこらだった気がするんだが」
【恐らくダンジョンからの影響も考えられるでしょう】
「ダンジョンからの?」
【はい。ダンジョン内はマナによって満たされております。特に最深部になるに連れてマナの濃度は濃くなっていきます。つまり、最深部に長く居たことにより体がマナに適応していったのではないでしょうか?】
「なるほど……?」
確かに初めの頃は頭が痛くなったり体が怠くなったりしていたがここ数年はそんな事は起きていない。まぁ歳のせいで地味に腰が痛くなりつつあるが。
というかこいつの言う事が正しいのなら……。
「その話だと、他のステータスにもダンジョンの影響は受けていたりするのか?」
【解析します。……解析完了まで残り二分】
ステータス、それは個々のデータを数値などで表したデータ表の事だ。
主に攻撃力、防御力そしてダンジョンレベルなど。
ダンジョンレベルはおまけオプションみたいなもので、プレイヤーの力量が目視化出来るように設定されたものである。
単純にレベルが高ければ高い程強い。
ステータスの確認方法はダンジョンギルドなどで測定するかステータス鑑定などのスキルを持っていないと出来ない。
その為、俺が最後に測ったのはもう数年も前の事だ。
【解析完了……ステータスを表示します】
お、解析が終わったみたいだ。
村田国芳 年齢46歳
無職
物理攻撃力 565000/565000
物理防御力 425000/425000
(未開放)
魔法攻撃力 20000/20000
魔法防御力 34000/34000
―――――――――――――――
スキル
身体強化Ⅰ 身体強化Ⅱ 身体強化Ⅲ 身体強化Ⅳ
身体強化Ⅴ
毒素無効Ⅰ 毒素無効Ⅱ 毒素無効Ⅲ
特殊スキル
背水之陣
「……。」
な、……なな
何じゃこりゃ……。
【村田様のステータスです】
いや、分かっているとも……。うん。
難攻不落のダンジョン最深部で我が家を築くおっさんのスローライフ〜移住?そんなのする気無いけど〜 ときたぽん @tokitaponn3014
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